コルナゴ部長こと中尾公一さんレポート「熊本駅から阿蘇駅へ輪行」

コルナゴ部長こと中尾公一さんよりレポートをいただきました。
豊肥本線が全線開通しましたので、皆様もぜひ輪行体験されてみてはいかがでしょう。

熊本地震で被災した豊肥本線の肥後大津駅から阿蘇駅間の工事が終わり8月8日に全線開通した。これによりサイクリストは、4年4ヶ月振りに輪行という自転車を入れた大きな荷物を持ち、新幹線や飛行機で遠くから阿蘇を訪れる安心のアクセスが復活した。
そこで列車に乗らないと見えない新阿蘇大橋や国道57号の工事現場、それに崩壊した阿蘇大橋が現在どうなっているのか、また阿蘇の田園風景、阿蘇五岳、北外輪山の車窓からの眺めや、この路線の名物である3段式スイッチバックなど、単なる列車の移動ではない魅力を確かめるため輪行体験をしてきた。

同行してくれたのは、阿蘇満喫モニターライドのガイドとしていつも一緒に走ってくれる井上君で、私は菊池から、井上君は阿蘇駅近くの自宅からリアル感を出すためにそれぞれ自走して熊本駅に集合し普通列車で輪行。阿蘇駅に降りてからは、道の駅阿蘇が輪行車用に豊肥本線開通に合わせて始めた荷物預かりのサービスや、更衣室での着替えを体験してサイクリングをしてきた。

JR熊本駅周辺は再開発工事の真っ最中で、自転車を輪行袋に入れる作業は、電車通り側の白川口は慌ただしく、駅の中を通り抜けて新幹線口の方が通行の邪魔にならない。

乗車したのは熊本駅8時10分発の普通列車で肥後大津駅で乗り換える。ホームに行くと電車が来ていたので乗り込み、輪行袋は車椅子の方を確認してここに置き、倒れないように肩紐を手すりに結ぶことを忘れてはいけない。

最初は空いていたが、高校生がどんどん乗り込んで、輪行袋が邪魔にならないかとやや肩身の狭い思いになった。学生で込み合うのは熊本駅から10分ほどの新水前寺・水前寺までで、ここから先は比較的ゆっくりしていたが、やはり輪行でおすすめなのは、特急の「あそぼーい!」や「阿蘇1号」がゆっくりできそうで次回は特急列車で体験しようと思う。

肥後大津駅からは電車からディーゼル車へ乗り換えとなる。乗り換えといっても目の前に列車がいるから数メートル歩くだけである。いつもは2両編成じゃないかと思うがこの日は1両、当然乗客も少なくなってローカル線の味わいがある。

肥後大津駅からの列車は古くて窓も黄ばんでおり、外の風景を見たり写真を撮るにはやはり特急がいい。

立野駅から赤水駅まで200m近い標高差を走るため、列車の進行方向を2回変える「3段式スイッチバック」があるのが立野駅。ワンマンの列車だが、この日は進行方向の運転席に3名、後ろに1名の運転士で、この駅で前から2名の運転士が加わり、今までの進行方向とは逆に坂道を上るスイッチバックが始まるとディーゼルエンジンが唸りだした。

スイッチバックが終わって後ろの運転席から前に行く運転士、以前見た時は列車のハンドルを外して持っていかれたようだったが今回は見逃した。

山を越えたら、いよいよ阿蘇平野だ。

熊本市内中心部に流れる白川、それを堰き止める立野ダムの工事現場。

国道57号と新阿蘇大橋の工事現場。
崖落場所付近900mの工事ももうすぐ終わり国道57号の代替道となる北側復旧ルートと同じ10月3日開通予定、新阿蘇大橋は2021年3月予定。

ここが崩壊した阿蘇大橋、新しく架け替えられる新阿蘇大橋は600m下流になる。

豊富な湧水源の白川に合流する阿蘇谷を流れてきた黒川

二重の峠が見えてきた。

駅舎が無くなった赤水駅、内牧駅も無くなっていた。

在りし日の赤水駅

内牧駅もこのようなレトロな雰囲気だった。
現在このような昔ながらの駅舎として残っているのは宮地駅になる。

9時48分 阿蘇駅到着(1130円)
ここから隣の道の駅阿蘇にあるサイクルラック前で悠々と自転車を組み立てる。

自転車の組み立てが終わったら道の駅阿蘇の中にある観光案内所へ

道の駅阿蘇のサイトから無料でエントリーできる「とことん満喫!阿蘇サイクリング」には無料駐車場が利用できる特典があるが、輪行者には便利な荷物預かりサービスがスタートした。事前予約が基本だが当日でも空きがあれば対応可能、受付は館内の観光案内所にだから阿蘇の観光情報も仕入れることが出来る。
このプランには道の駅阿蘇のアイスの割引券や、阿蘇駅前にある「夢の湯温泉」の大浴場の割引券も付いているので、サイクリングが終わったらアイスを食べて汗を流すことで阿蘇ライドを完結できる。

輪行する人に便利なのがサイクリスト専用の更衣室。ここでジャージに着替えて荷物を預け身軽になってサイクリングがスタートできる。リニューアルした別棟の冷暖房完備の快適なトイレ、飲用の水道、道の駅内には補給食・弁当、そして阿蘇の土産などサイクリング前後に必要なものはすべて揃っている。グループでお越しの方は「道の駅阿蘇のサイクルラック前に集合」としておけば、椅子テーブルもあるので待ち合わせには絶好の場所になる。

阿蘇くまもと空港からは、JR肥後大津駅を15分おきにつなぐ予約不要で毎日無料で運行している「空港ライナー」が便利だ。ジャンボタクシーで現在はコロナの影響で定員は5名となっており、定員オーバーになった際には応援便(10~15分)が手配される。輪行の方はフライトに合わせて予約すると優先乗車も可能とのことなので下記サイトから空港ライナーの時刻表を確認のこと。

空港ライナー
https://kukouliner.com/

熊本駅から阿蘇駅まで輪行した感想として、自宅から自走して熊本駅から輪行を始めたので、自転車を輪行袋に入れる手間はあったが、車では味わえないちょっとした冒険旅行のようで単なる輪行ではなく「輪行旅」になった。阿蘇駅までの乗車時間は、普通列車で1時間38分、特急で1時間10分前後と距離の割には時間がかかるがスイッチバックがあるから仕方ない。通勤通学の人にはこの間やり過ごすか寝るしかないが、他所から来る人にとっては阿蘇の魅力のひとつとなるだろう。
豊肥本線に乗らないと見えない新阿蘇大橋付近の光景は、熊本地震の遺構と復興の象徴であり、阿蘇ジオ・ライドとしてこの近くの震災の跡を案内してきた私たち2人には目に焼き付くようだった。この列車からの眺めはこれから阿蘇の観光スポットになるだろう。そしてサイクリストには阿蘇ジオ・ライドの新たなコースとして紹介していきたい。

 

☆☆阿蘇アクセスルートのおススメはこちら!☆☆

 

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道の駅阿蘇(NPO法人ASO田園空間博物館)

TEL:0967-35-5077

HPhttp://www.aso-denku.jp/

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あかうしのあくびvol.25

 

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