2016年に発生した熊本地震から4年。肥後大津駅~阿蘇駅間が不通となり、阿蘇駅からの折り返し運転を余儀なくされていた豊肥本線が、2020年8月8日にいよいよ全線復旧しました。特急あそぼーい!も運行を再開し、以前の賑わいが再び戻ってくることが期待されています。
『坊中亭』は、その阿蘇駅構内にある食事処。阿蘇の風景に溶け込むような趣のある佇まいが印象的な駅舎ですが、店内も同じく木の温もりを感じられる造りで、窓越しにホームに出入りする列車の姿を見ることもできます。
観光特急から降りてくる旅行者、通勤・通学で利用する地元客の姿など、日常と非日常が重なり合う風景が旅情をかき立ててくれます。店に足を運ぶ人は列車の乗降客だけでなく、バイクツーリングの人やサイクリストの姿も見えるのが阿蘇らしい光景です。
「あか牛ステーキ丼」(2400円)。あか牛のステーキを丸ごと一枚、ご飯の上に載せた豪快かつ贅沢な一品です。使用する部位はリブロース。きれいな霜降りが入り、ステーキで味わうのに最適な部分です。ミディアムレアに焼き上げられたステーキは、すっと噛みきれるほどのやわらかさ。一口噛みしめるごとに肉汁があふれ、あか牛の持つうま味で満たされます。その美味しさをオリジナルのステーキソースがさらに引き立ててくれます。阿蘇の水で炊きあげた阿蘇産のお米が肉の旨みをしっかりと受けとめてくれ、一気に完食すること間違いなしです。
ほかにも「だんご汁定食」(1500円)や「たかなめし定食」(1500円)といった、阿蘇らしい郷土料理メニューも充実しています。中でも「阿蘇ハヤシライスと阿蘇の高原野菜サラダセット」(1250円)は、あか牛ステーキ丼と並ぶオススメしたい一品です。阿蘇ハヤシライスは2009年に開発されたご当地グルメで、あか牛と阿蘇産トマト、阿蘇産の米を使い、阿蘇の牛乳・チーズなどで作る「阿蘇高原みるくソース」をかけることがルールになっています。じっくりと煮込まれたハヤシライスソースはコクがあり絶品です。
オーナーの江藤寛喜さん。2008年よりこの場所で店を営んでいます。江藤さんがこだわるのは、どのメニューも必ず手づくりの品を提供すること、そしてできる限り地元の素材を使うこと。味噌、しょう油も地元産で、野菜も江藤さん自ら産直所等へ足を運び仕入れています。また、もう一つのこだわりができたてであること。だんご汁も作り置きせず、注文を受けてから作ります。あらかじめ作っておけば早く提供できるのですが、そうするとどうしても味噌の香りが飛んでしまうのだそう。地域の食材を一番美味しい状態で味わってほしいという思いが一品一品に込められているのです。
【基本情報】
住所:熊本県阿蘇市黒川阿蘇駅構内
電話番号:0967-34-2566
営業時間:10時~午後5時(OS午後4時)
定休日:木曜日
■坊中亭