コルナゴ部長こと中尾公一さんにレポートをいただきました。
この記事は自転車とサイクリングの情報サイト「Cyclist」に紹介され掲載された週のイチオシの記事として編集部員がコメントとともに紹介する週刊「エディターズ・チョイス」にも選出されました。
https://cyclist.sanspo.com/552565
栃木県那須地域を中心に活動する地域密着型のプロ自転車ロードレースチーム「那須ブラーゼン」の選手12名のみなさんが、7日間の大分合宿の合間に阿蘇の牧野(草原)を電動アシスト付きマウンテンバイク(E-MTB)で走る草原ライドの体験に来られ、阿蘇市役所の武城さんと道の駅阿蘇の下城さん、阿蘇くじゅうサイクルツアーの橋本君、アズキッチンのあづささん、町古閑牧野組合のショウ君、そして私の6名で案内した。
日本有数のリゾート地、那須高原。雄大な自然が広がる環境のなか那須ブラーゼンは、2013年より那須を拠点に日本初の観光地域密着型のチームとして発足し国内ツアーを中心にレースに参戦されている。また、自転車を活用したプロチーム運営会社ならではの観光活性化事業や、ホームタウンを中心とした交通安全啓蒙活動に取り組み、これらの事業に関連した様々なイベントやメディアにも出演されている。那須町観光協会員という側面の活動にも積極的であり、チームスポンサーに宿泊予約サイト「じゃらん」があることも同じ観光地として興味深いチームであった。
道の駅阿蘇で待ち合わせ箱石峠から町古閑牧野のビュースポットへ案内した。那須ブラーゼンのサイトには各選手のブログがあり、竹村選手は道の駅阿蘇のサイクリスト専用更衣室を見て「サイクリストに優しい道の駅」と書かれており少し感激した。
町古閑牧野組合の倉庫に着くと、組合で働くショウ君から牧野の案内と牛馬の放牧地ゆえの立ち入る際の注意事項、そしてE-MTBの乗り方の説明をされた。下城さんからは口蹄疫予防のための石灰によるタイヤと靴の消毒方法と環境保全意識の向上について説明された。
わたしたちは選手の消毒の様子を牧野ガイドとしてしっかり確認した。
「シャレ―から見上げるとアルプスの山」、そんな気分にさせてくれるのが草原の見晴らしのいい丘に張られたスノーピークグッズ満載のターフ付きのテントだ。すでに橋本君とあづささんたちによって準備万端となっていた。ここが昼食会場となり休憩したい人は椅子でゆっくり寛ぐことができるし、山の天気に備えて予備のウェアなどを置くベース基地となり、ちょっとしたグランピング気分も楽しめる。
今回は取材の可能ということで、熊日・読売・西日本の各新聞社と地元テレビ局のRKKと阿蘇TVが選手にインタビューをされていた。その後、ショウ君にカメラとマイクが向けられしっかりとインタビューに答えていたようだ。彼は長崎からご両親と阿蘇へ移住してこの牧野で働く18歳の青年で、草原ライドのガイドや橋本君のライドツアーのお手伝いもしている。そんなところが目に触れたのかも知れない。
いかにプロロードレーサーといっても、慣れないMTBのE-BIKEで、初めて走る草原がフィールドだから午前中は緩斜面を走り、午後から本格的なトレイルを走るスケジュールだ。
しかし、プロ!
私たちがE-MTBに乗らないとグイグイ走る選手の案内が出来ずE-MTBが足らないため数名には普通のMTBに乗ってもらった。
こちらはシマノレーシングの黒枝咲哉選手、実はシマノチームも11月18日から8日間の大分合宿の合間にE-MTBの草原ライドに来られており、黒枝選手からその楽しさをSNSで知り那須ブラーゼンも来られたという経緯だ。そこで大分が実家の黒枝選手も駆け付けて午前中のみ2回目の草原ライドを楽しまれた。
E-MTBに慣れたら尾根のダウンヒル体験
体感がしっかりしているので安定したフォームで急斜面もすぐ慣れた様子
下ったら次は上り、どのルートで行きますか?
選んだのは一番厳しいルート
ここはプロでも無理・・・
黒枝選手は普通のMTBだったが最後の最後、あと数メートルが登り切れず
こちらの選手は
なんとか行けそう!
「俺ならイケる!」と後ろから迫ってきた選手は上り切れず転倒・・・
地面を叩いて悔しがり上から見物のチームメイトは大笑いだった。
落車して1回転しても厚い芝生のようにフカフカした草原なので怪我する心配はない。
ただし、土がむき出しのダウンヒルは注意が必要。
午前中終了
テントに帰ったら草原ライドの感想インタビュー
テントやターフで風が遮られてポカポカと暖かい中でのランチだ。
用意したのは道の駅阿蘇でも1番人気の「2種のあか牛丼」。草原で放牧されて阿蘇の景観にもなっているあか牛、そのあか牛の特選カルビとロースを贅沢に使った阿蘇グルメの名刺代わりの逸品だ。お値段1480円と安くはないが、そこは希少なあか牛がたっぷり丼を覆っている。弁当に同梱された特製タレを駆け、温泉卵をまぶして食べれば味覚大脳を刺激する旨味に絶句する。それだけではない。丼の端にあるワサビをつけて肉を一切れ、ご飯にのせて一切れ、温泉黄身をくぐらせ一切れ、それぞれ楽しんでいるとやがて混然一体となった美味しさにうっとりとなる。丼のご飯の中には甘く似た茄子のぺろぺろ感と、小さく短冊に切られたサクサクの山芋の食感がご飯と相性抜群、脇役にも腕をふるって最後の一粒まで味わうことができる阿蘇の傑作弁当である。
続いて温かいコーヒーや紅茶に合わせるのは道の駅阿蘇の新製品開発助成制度によって開発された阿蘇のパン工房「豆の木」の「木の実の阿蘇パネトーネ」だ。パネトーネ(パネットーネ)とはイタリア・ミラノの伝統的な発酵菓子パンで、ドライフルーツやナッツ類を混ぜ込んで焼いたもの。本来の形はドーム型だが食べにくいので横長に作られている。国産小麦と阿蘇のブランドミルクである阿部牧場の阿蘇ミルクを乳酸発酵させた天然酵母使用のこだわりの一品だ。
ボソボソ感ともっちり感がちょうどよく、甘さは控えめだが乳製品の香りが爽やかで、たっぷりのナッツやドライフルーツも自転車乗りにはうれしい。那須ブラーゼンの選手も美味しいとお代わりされていた。
午後からはテクニカルなコースへ移動
その前に眺めのいいところに案内しよう
急斜面を登ると
採草後の草原と根子岳、丘の天辺からの眺めが素晴らしい。
今日走っているのは箱石峠の上にある「町古閑牧野」、他にもやまなみハイウェイ沿いの「下荻の草牧野」、それにミルクロード沿いのかぶと岩展望所近くの「西小園牧野」の3箇所が道の駅阿蘇と各牧野組合が連携した草原ライドのフィールドになっている。
このような草原は毎年3月に「野焼き」といって火を入れて焼き払わないと藪になっていく。しかし、農業の変化や野焼きをする農業従事者が減少し草原の面積は減り続け、現在はボランティアの応援により野焼きが実施されている。草原を守るためにはボランティア活動以外に、阿蘇に牛が増えることで草原の利用が増えるという「牛を増やすこと」と、草原の文化にふれ地域と草原の関わりを知ってもらうという「草原に親しむこと」がある。そこで阿蘇地域の貴重な観光資源である草原を有効活用していくことも考え、草原の魅力やそこでしかできない特別な体験を提供する取り組みを始めた。そのひとつが草原ライドであり普段は許可がないと入れない牧野に特別に入ることが許された案内人(牧野ガイド)が同行して草原ライドが実施されている。
阿蘇谷も一望
見下ろしていたフラットな草原から
急斜面を上る。でもE-MTBなら楽々、普通のMTBのアシストなんてさすがプロ
上ったら豪快なダウンヒルが満喫、E-MTBはスキー場のリフトだ。
次はトレイルライド
この後、谷に向かってそれぞれ、「大切な人」の名前を叫ばれていた。
ここからは長い下りでテクニックが必要になってくるが土煙をあげて勢いよく走られた。
すでに完璧にE-MTBに慣れて多分ここが一番楽しかったのではないかと思う。
長い尾根のダウンヒルはMTBの一番の魅力ではないかと思う。
ここは上級者向けのコースで急勾配のアップダウンが続きスリル満点!
こんなに上りが厳しい難コースでもE-MTBなら楽勝、私たちでも選手に遅れることなく一緒に走ることができる。これを上ってテントのベース基地に戻り草原ライドが終了した。
那須ブラーゼンの選手には良き休日となったようだった。そして草原を電動アシスト付き自転車で走る魅力もプロサイクリストだからこそ大きなインパクトのようだった。丘の上から深い谷の先の根子岳に向かって「会えない寂しさ」なのか、大切な方の名前をそれぞれ叫ばれていた。そんなことを思いつくのも解放感ある雄大な景観に包まれたからではないだろうか。そのような究極な非日常的体験は、カラダとココロのご馳走だったのでないかといつも笑顔で冗談を飛ばす那須ブラーゼンの選手を見て、そう感じた。
サイクリストには音楽と地域のご馳走を好む人が多い。次回お越しの際には草原ライドのあと、ゆっくりと温泉に浸ってもらい、音楽の演奏と阿蘇の美味しい食材で迎えたいものだ。シマノの黒枝選手がSNSで草原ライドの魅力を呟いたら那須ブラーゼンの選手12名が阿蘇に来た。那須ブラーゼンの誰かが呟けばどんな人が興味を示すのだろうか。阿蘇の草原という大切な資源を守りつつ有効活用することが私たちの役目であり、今後も草原ライドを訪れる方の期待に沿えるよう準備を整えていきたい。
☆☆阿蘇アクセスルートのおススメはこちら!☆☆
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