コルナゴ部長こと中尾公一さんレポート「阿蘇山麓の野焼きと新阿蘇大橋から南郷谷へ」

コルナゴ部長こと中尾公一さんよりレポートをいただきました。
3月14日に開催された「阿蘇満喫ライド」の様子をご紹介します。
4月10日(土)にも「阿蘇満喫ライド」が開催されますので、是非ご参加ください。
詳細・申し込みはこちら↓
https://www.aso-denku.jp/recommend/2021/03/0410ride/

2度延期された阿蘇山麓の野焼きが3月14日に実施され、この日開催の阿蘇満喫ライドと重なったので坊中線から赤水線にかけてサイクリングしながら野焼きを見てきた。ただし、2日前に降った雨と当日の深い霧により、予定されていた火入れの時間には草が乾ききれず、昨年のような迫力には欠ける野焼きライドとなった。それでも参加された方は草原が燃え広がると起こる火がはじける音や、走りながらジャージ越しに感じる炎と熱風、それに舞い上がった燃えカスが終日、顔に付きまとう阿蘇らしい体験になったようだ。

その後は熊本・阿蘇方面と南阿蘇を結ぶ大動脈となる新阿蘇大橋を国道57号線側からこのライドとして初めて渡り、南阿蘇鉄道の駅舎を訪ねて高森から箱石峠を越えて阿蘇五岳を周回する73kmを走ってきた。この日の野焼きはあまり燃えないだろうと町古閑牧野の市原組合長から聞いていたので、その代わりとなる南阿蘇鉄道でのサプライズを成功させるために時間配分に集中してみなさんを案内してきた。

野焼きの前日、ショウ君こと19歳の釜崎笙君主催の「野焼き体験&草原ライド」が開催されこちらにも参加してきた。2回目の開催となった野焼き体験は、妻子ヶ鼻パークヒルの先の町古閑牧野でおこなわれた。前日からの微妙な天気もあって、野焼きらしい燃え方はしなかったが、町古閑牧野の市原組合長とショウ君、それに手伝いに来られていたショウ君のご両親や姉夫妻の一生懸命楽しませようとする姿は参加者全員に伝わったようだった。

本格的な野焼き体験は出来なかった代わりに、市原組合長が阿蘇で生活する厳しさや楽しさなど語り部のようにずっと話されていた。最後には組合長の奥様が漬けられた今が旬の高菜漬けを全員に配られ、参加された方は久し振りにふんわりとした温かい気持ちになられたのではないかと思った。

ショウ君に野焼き体験イベントについての思いを訊ねてみた。
「阿蘇の草原を維持する野焼きの大切さや、大変さを実感して頂き、草原維持について関心を持って頂ければと思っています。これをきっかけに、野焼きボランティアなどにも応募していただければ嬉しいです。」

私が開催している阿蘇満喫ライドは、道の駅阿蘇や地元サイクリストの協力により毎月2回実施している。コロナ禍においては定員を20名から10名に減らして実施していたが、昨年12月から今年の2月までは休止しており今回が3ヵ月振りの開催となった。10名の参加者を案内するのは、道の駅阿蘇の下城さんと井上夫妻と私の4人で、4月24日・25日に開催される「阿蘇パノラマラインヒルクライム2021」の北阿蘇ライドのコースを経由して野焼きがある坊中線に向かった。

坊中線に出ると昨年は勢いよく燃えていたが、今年は火を付けたところだけが燃える状態で本格的な野焼きは草が乾いてくる午後からのようだった。それでも所々は燃えており野焼きの雰囲気は感じられたようだった。

赤水線に出るとこちらはよく燃えていた。その分、野焼きを見に来た車や人も多く、自転車から降りて見るところは限られていた。

赤水線の米塚を過ぎてトイレがある広場で最後の野焼き見物をして3月7日に開通した新阿蘇大橋方面に向かった。57号線に出ると平日に下見をした時と比べて異常に車が多く、参加者をまとめるために写真を撮る余裕がなく阿蘇大橋を出るまでは9日に下見に行った際の写真になる。

3月9日撮影
熊本地震により崩壊した阿蘇大橋や新阿蘇大橋を眺める展望所付近は、車と大型バイクと人で渋滞していた。出入りが多い展望所の駐車場は満車で自転車乗りには長居は無用、新阿蘇大橋を見ると巨大な橋の上に渋滞した車の列が見えた。

3月9日撮影
国道57号を阿蘇方面から新阿蘇大橋に入るには、左折する車線は車が渋滞しているため新阿蘇大橋の歩道を自転車を押して歩いて渡ったが無難。よって直進して横断歩道がある安全地帯で自転車を降り、横断歩道を渡って橋の右側にある歩道に入った。

3月9日撮影
幅2.5mの歩道は広く自転車を押しながら通行しても歩行者に迷惑を掛けるようなことはない。新阿蘇大橋の車幅7mの車道はこの程度で路側帯も狭く大型車両も多いため、自転車で走りながら橋を通ると車は中央線を越えることになり渋滞を更に招くことになる。よって観光で訪れる車が少なくなるまで、もしくは平日や車が少ない時間帯以外は、自転車は歩道の押し歩きが好ましいと再確認した。

国道57号と国道325号と黒川をまたいで阿蘇五岳の南側のカルデラである南郷谷を結ぶ新阿蘇大橋の全長は525m、その間は手すりの先に高いフェンスがあり、視界はこの程度だが長陽大橋のような足元を見た時の恐怖感はない。

3月9日撮影
橋を渡って南郷谷側の右にある展望所「ヨ・ミュール」には売店やトイレがある。駐車場は48台だが道路左側の方がメインになっており、車を停めた人は橋の下を通って「ヨ・ミュール」に行き来することになる。

左の川が南阿蘇村を源流とする豊富な湧水源から出る清らかな流水という意味の白川、架かる橋は2023年全線開通する南阿蘇鉄道の第一白川線梁、その先に建設中の立野ダム。中央が長陽大橋、新阿蘇大橋が開通したため通行量は極めて少ない。

新阿蘇大橋、下を流れるのは根子岳麓を源流とし、阿蘇五岳の北側のカルデラである阿蘇谷を流れ、火山灰を含む濁流という意味の黒川。この先で白川と合流し白川となって熊本市内を通り有明海に流れていく。

崩壊した阿蘇大橋の下流600mに架けられた新阿蘇大橋。この橋の地下には断層があり熊本地震の規模の揺れを想定した造りだという。

3月9日撮影
新阿蘇大橋の展望所「ヨ・ミュール」を過ぎて南郷谷側から振り返る。
展望所の駐車場に入る車で渋滞を起こしている。南郷谷側からの車も展望所に入る車により長い渋滞となっていた。当分の間は新阿蘇大橋を観光する目的で多くの人が集まる状況が続くと予想される。よって、しばらくは自転車で国道57号から新阿蘇大橋へのアプローチは止めて、赤水・長陽方面の149号から南阿蘇橋を通って新阿蘇大橋の展望所というルートが無難だと思う。2回、525mを自転車の押し歩きをしたが何の楽しみもない。

南阿蘇村のパンダイゴで補給して南阿蘇鉄道の無人駅、見晴台駅へ向かった。南阿蘇鉄道は豊肥本線の立野駅と阿蘇郡高森町の高森駅を結ぶ全長17.7kmのローカル鉄道。熊本地震により現在は高森駅から中松駅までの4駅7.1kmを1日3往復の普通列車と、観光列車のトロッコ列車が3月20日から11月28日までの土・日・祝日と、春・夏休み・GWを1日4往復している。

野焼きを楽しみにして今回参加されたと思うが、あまり燃えずに期待に沿えないことも想定していたので、事前情報を完璧に遂行するサプライズに集中した。南阿蘇鉄道のトロッコ列車は冬季の間は運休し3月20日から運行が始まる。そのことは皆さんに伝えていた。しかし、この日はトロッコ列車の試運転があり見晴台駅に13時34分に到着する。早く着いても退屈だ。まだ先は長い。到着時間ジャストにホームに立つことが私のおもてなし、予定が狂ったらやる気が出るのだ。

何度も紹介してきたが「午後の紅茶」のCMに出演した上白石萌歌さんが立っていたのが見晴台駅。彼女の姉の上白石萌音さんは「オーマイボス!恋は別冊で」の番組は高視聴率を上げ、実業家・渋沢栄一の生涯を描くNHK大河ドラマ「青天を衝け」では天璋院篤姫役を演じている。また、秋から放送される朝ドラ「カムカムエヴリバディ」では主演を務めることになっている。

萌歌さんは19年の大河「いだてん」に水泳選手の前畑秀子役で出演、萌音さんが出演する朝ドラの次は本土復帰から50年となる沖縄が舞台となり、萌歌さんは重要な役どころで出演することが決まっているという。鹿児島出身のこの姉妹の人気はさらに拍車がかかっているが、そもそも私が女優とか、テレビ番組とか、全く知らないのにここまで拘るのは、2023年この南阿蘇鉄道の全線開通にある。その時、上白石萌歌さんに見晴台駅のホームにもう一度立ってもらおうと皆さんを見晴台駅に案内している。

見晴台駅の駅舎ノート
全国の見晴台駅と上白石萌歌さんのファンのメッセージが書かれている。

昨年の12月30日、上白石萌歌さんがここに来られていた。もしかしたら鹿児島へ里帰りの際に立ち寄られたのかも知れない。

パンダイゴから時間配分に気を付けて皆さんを案内した。
見晴台駅のひとつ手前の、いつもだったら必ず立ち寄る、駅舎カフェのある阿蘇白川駅はパスした。駅の前で一度立ち止まり、もう一度時間を確認してスタートした。見晴台駅まで1kmくらいのところで、一緒に案内しているミユキさんに話しかけられたが、それどころではなくて、そっけない返事をした。サイコンの時計を何度も見ながら、早からず遅からず、駅を目指した。13時33分、トロッコ列車到着1分前に着いた。想定では2分前だったが、まあいいだろう。

見晴台駅に着いたら「駅舎ノートを見てもらっていると汽笛が聞こえる」というシナリオだったが、それは間に合わず駅のホームに立ったら遮断機が鳴りだした。慌てて駅の向かい側の畑へ急いだ。到着するのはみんな普通列車と思っていた。しかし、列車が近づくと独特の機関車に誰かが気付き、「トロッコ列車だ!」と叫んだ。

汽笛とともにトロッコ列車が定刻通り13時34分ホームに入ってきた。農作業のおばちゃんがいい雰囲気を出してくれた。

体験乗車していた地元の高校生が大きく手を振ってくれた。観光ガイドのような饒舌な車掌さんがメンバーに話しかけられていたが、スピーカーの調子がイマイチでよく聞き取られなかった。運転士の方は4名いらして20日からの運行を確かめられているようだった。

列車が動き出すと
今回も「プファーン」と汽笛を鳴らしてくれて、静かな、静かな南郷谷に鳴り響いた。

想定外のトロッコ列車、乗客の笑顔、車掌さんとの会話、そんな突然の出来事に参加された方には喜んでもらえたようだったし、自転車乗りが南郷谷に溶け込んだ風景になった。

道の駅阿蘇にゴールして車で帰っている途中に北外輪山の中腹が燃えているのが見えた。本来ならとっくに終わっているはずの野焼きだった。新阿蘇大橋は賑やか過ぎてもうちょっと経ってからがいいようだった。野焼きと渡り始めの橋は残念だったがサプライズのトロッコ列車は1分遅かったがうまくいった。それに熊本市内から自走の方がいたのでゴールの時間を聞かれて「16時くらい」と言ったが到着したのは2分早い15時58分だった。寒い間は阿蘇谷は走れなくて、暖かい南郷谷ばかりだったので、走り慣れてきたということだろう。

熊本地震以降、ジオ・ライドと称して阿蘇地域の震災の傷跡を案内してきた。その後は橋が両側から繋がっていくように徐々に復興する姿を見てもらっていた。豊肥本線、国道57号線、北側復旧ルート、そして新阿蘇大橋、全部ペダルを踏んで確かめた。

最後に残された南阿蘇鉄道が2023年全線開通したら熊本地震により寸断された阿蘇地域の復旧はすべて完了する。あと2年、開通式にはこの曲を見晴台駅で再現して欲しい。それまでコルナゴ部長の秘かな愉しみは続く。

(24) 上白石萌歌、HY「366日」歌唱フルバージョン公開 南阿蘇への想いをつなぐ映像に感動必至 キリン 午後の紅茶「あいたいって、あたためたいだ。もう一つの物語」篇 – YouTube

 

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TEL:0967-35-5077

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