コルナゴ部長こと中尾公一さんレポート「キッチンライド体験」です。
今が旬のあのフルーツを使い、女子に人気の甘いスイーツと、お持ち帰り用のアレを作ります。何が出来たかは読んでみてのお楽しみ。
それではどうぞ、
フランス菓子教室「ADU-kitchen」を主宰し、主に洋菓子のレシピや商品開発を手掛けられている清田あづささんのサイクリングとお菓子教室をミックスした「キッチンライド」の体験に参加してきました。
マウンテンバイク歴27年の清田さんは、昨年迎えられた還暦を機会に、「ADU-kitchen」のベースを大好きな阿蘇に移して、毎週水曜日のお菓子教室やキッチンライドを開催されています。お菓子教室は阿蘇駅近くにある「ゲストハウス阿蘇の森」のウッドデッキのテラスが会場となり、ライドは「阿蘇くじゅうサイクルツアー」の橋本君ガイドの、車が少ないフラットな道を軽く走るお子様連れも楽しめるマウンテンバイク向きのコースになります。
サイクリングとお菓子作りというちょっと不思議な組み合わせを尋ねてみると、清田さんは10年前に脳出血に患われ、その後遺症となった右半身の麻痺を、リハビリとして乗ったマウンテンバイクによって復活できたことで、自転車は健康を勝ち取る生涯スポーツであることと、33年の経験によるお菓子の魅力は、人を笑顔にさせる力があること、この2つを阿蘇の雄大な景観と、カルデラに育まれた食材によって伝えたいということでした。
今回のキッチンライドは、阿蘇サイクルツーリズムを体験するプログラムの選択肢を広げ、加えて雨天対策にもなることから、牧野ガイドグループと案内窓口の担当者を対象にデモンストレーションとして開催されました。参加されたのは阿蘇市役所観光課の宮岡さん、道の駅阿蘇の下城さん、同じくサイクル担当の東谷さん、阿蘇くじゅうサイクルツアーの橋本さん、牧野ガイドの釜崎笙君のお姉さんで牧野ガイドを目指す藤原さん、それと私し中尾の6名が体験しました。
キッチンライドのサイクリングは、通常のマウンテンバイク以外に子供さん用、買い物かご付き、電動アシストのマウンテンバイク、それにヘルメットもレンタルできて手軽に参加することができます。コースはお菓子教室の会場となる「ゲストハウス阿蘇の森」付近になりますが、この日は時より雨が激しく降ったためウッドデッキのテラスでお菓子教室のみ行われました。
お菓子教室は、食べ物を作るため清潔であることと汚れ防止を兼ねて専用のエプロンの着用から始まります。それに参加者がみんな同じ格好になると一体感になれるところもサイクリング同様重要なポイントです。ちなみにこのエプロンはワークマン製。大小ポケットがたくさんあるのでとても便利です。着るときは紐で結ぶのではなくファスナー式なので男性でも違和感がなく、BBQやキャンプでも使えそうな優れものです。前にボタンがあるので短くなってそのままサイクリングもできます。
お菓子歴は28歳ときに息子さんの誕生日に自作のケーキを作りたいというのがきっかけだったそうです。以後、お菓子ができていく過程が好きになり、夢中で勉強を重ねて気付いたときには生涯の仕事にすることが明確な目標になったそうです。以降は教える側となり「熊本フランス菓子教室」校長、2005年に開設された「くまもとパティシエ養成スクール」校長など歴任、現在はフランス菓子教室「ADU-kitchen」を展開されています。
フランス南部のプロヴァンス・アルプ・コートダジュール地方にあるエクサンプロヴァンス市と熊本市は、1980年代から民間団体により交流が始まり2013年には交流都市協定が結ばれました。その際、清田さんは熊本市から交流団の一員として派遣されて、以降、エクサンプロヴァンス市にお菓子の研究に通いアトリエの開催等腕を磨かれています。
南フランスの滞在においては、プロサイクリストとの出会いもあったそうです。ちょうど現役引退をされて、海外スポーツ指導者研修制度で、コンチネンタルチーム「ラ・ポ・マルセイユ」の監督として研修に来られていた福島晋一さんは現在も親交が続き晋一さんと呼ばれ、師弟関係ともいえる幸也君と呼ぶ新城幸也選手とは、毎年遠征されるプライベートのタイ合宿には、料理番と母親みたいな存在で同行されています。また、崇史君と呼ばれる宮澤崇史さんとは、九州に来られた時に自転車仲間から紹介されて以来、宮澤さんが執筆された料理本「自転車ゴハン」のアドバイスなど現在もご縁が続く一番の仲良しだそうです。
そんないつまでも挑戦し続ける清田さんは、福島さんや新城選手、宮澤さんなど多くの知人友人から「あづねぇ」の愛称で呼ばれています。みなさんも「あづねぇ」や「あづささん」と呼ばれたらより親しく感じると思います。私もあづささんと呼んでいますので、以降は「あづささん」と書くことにします。
この日作るのは寄せ豆腐の美味しそうなのがあったそうなので「寄せ豆腐とブルーベリーのクリーム」と、ベーキングパウダーを使わない「阿蘇の卵のパンケーキ」、そして持ち帰り用として「ブルーベリーのシロップ漬け」の3品になります。
テーブルにはそれぞれ料理器具がプラスチックの箱に用意されています。
電池式のハンドミキサー、泡立器が2種類、透明の容器、ヘラが2種類、スプーン、真空パックに入った小麦粉、ステックシュガー、ゴミ袋、四角い布、マジックペン、貼り紙、計量カップ。
足元の袋には、スキレット、軍手、鍋置き、ドリップコーヒー。
そして持ち帰りOKのパンケーキのレシピが書かれたファイルが可愛い。
見れば簡単そう、でも実際作ればベーキングパウダー無しなので難易度は高そうです。
最初の一品は、ブルーベリーと
寄せ豆腐を合わせたクリームは、道の駅阿蘇で素材を直感で思いついたそうです。
ブルーベリーをすり鉢でつぶします。
次に泡立器で寄せ豆腐と生クリームを混ぜながら好み応じて1袋3gのスティックシュガーとハチミツを入れます。全員モーター音を響かせながら真剣です。
段々と液状になっていく変化に何かワクワクしてきました。甘いのが苦手な私はステックシュガー1袋、ハチミツは気持ちだけ入れました。
潰したブルーベリーと、生クリームを溶かした寄せ豆腐をヘラで混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やして最後に頂きます。ブルーベリーと寄せ豆腐が実に旨そうにクリームになりました。手間は掛かりますがこの楽しさは初めての経験です。
メインとなるパンケーキは本格的です。
波野地鶏の卵を割りスプーンで卵白と卵黄に分けてボールに入れ、それぞれ好みの量の砂糖を入れて泡立器で混ぜます。懸命に混ぜます、混ぜ続けます。
卵黄に阿部牧場の牛乳を入れ軽く混ぜ、ビニール袋に入った小麦粉を空気と混ざり合うよう振って入れます。卵白を卵黄に少しずつ入れタイミングは忘れましたがゴムヘラで混ぜてパンケーキの生地が完成していきます。
パンケーキの工程はざっくりでは駄目なので、あづささんがそれぞれに指示を出されます、それも優しく。離れていても「混ぜている音で分かる」と言われてびっくりでした。的確にアドバイスされて、今までサイクリングやBBQで何度もご一緒しましたが、別人を見ているようでした。やはり本職のお菓子作りになると、小さなあづささんが大きく凛として見えて、やはり熟練の校長先生でした。
カセットコンロで使用する屋外用のコールマンのオーブン。温度計も付いていてこれは便利です。スキレットにバターを入れてオーブンの外で温めてパンケーキの生地に入れます。
生地をスキレットに入れると、やっとパンケーキの姿が見えてきました。
取手に自分の名前を書いたシールを貼ってオーブンに入れます。しばらくしてあづささんの指示でオーブンを開けるとパンケーキの出来上がり!バターの香ばしさがテラスに広がります。
素材は卵1個に小麦粉、卵の力、恐るべしです。
仕上げはホイップクリームを掛けてブルーベリーは間隔をあけて並べました。それに粉砂糖を粉雪のように振り掛けます。この工程はお菓子作りでよく見るシーンなので、少し上から振ると見事な出来栄えとなりました。
宮岡さんはブルーベリー集中型。
冷蔵庫で冷やしていた寄せ豆腐とブルーベリーのクリームも試食。
甘さ控え目で、ブルーチーズなどにトッピングしたらワインに合うかもなんて想像しました。
余ったブルーベリーは火を通してシロップ漬けにして自宅へのお土産です。
砂糖の多さにはびっくりしましたが、無添加の愛着の逸品は朝食のヨーグルトに添えると最適そうです。
あづねぇ直伝のパンケーキには感動しました。手間は掛かりますが幸せ感に浸る美味しさでした。それに「作る過程」が楽しいですね。今回感じたのはサイクリングとミックスですから、「料理」教室でもなく、「和菓子」教室でもなく、やはり「洋菓子」教室がサイクルスポーツにとってもフィットするように思いました。それに飾り付ける楽しさには魅了されましたね。「食べる」ことについては、お菓子教室の後もサイクリングしますので、補給食程度ということでパンケーキにヘルシーで冷たい寄せ豆腐のクリームは最適でしょう。
昨年、あづささんはキャンピングトレーラーの最高峰「エアストリーム」の可愛い小型タイプを中古で購入されました。現在キッチンカーに改装中でサイクルイベントに車で牽引して食事やお菓子を提供する計画だそうです。また、還暦を機に牧野ガイドの講習を受けて牧野ガイドの一員になられました。目的は草原でエアストリームによる草原ピクニックを提供するのが最終的な夢と言われています。
また、今後は道の駅阿蘇に納品されているフルーツなどを直接農家さんの畑で収穫させてもらい、それを持ち帰ってお菓子作りをするキッチンライドも計画中だそうです。このようなあづささんのイベント情報も道の駅阿蘇のブログやフェイスブックで紹介しますので楽しみしてください。
最後に今回の菓子教室から楽しんだこと以外に得たのは、多くの男性のみなさんと同じように「お菓子教室」は(なんて)自分には向かないものと決めつけていました。最初はモゾモゾしながらやる気も起こらず猫背でやっていましたが、段々とハマってきて、粉砂糖降らせて完成したパンケーキの眺めは峠を越えた達成感と同じ感動でした。このことは、何事も自分を枠にはめてしまわずに、いくつになってもなるべく自然体で挑戦することが大切ではないか、それが今回の大きな収穫でした。
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