コルナゴ部長こと中尾公一さんレポート「おおいたアーバンクラシック2024」

コルナゴ部長こと中尾公一さんから最新レポート「大分アーバンクラシック2024」が届きました。


Photo by Mizuki Nao

全国的にも珍しい都市型レースとして注目されている「OITAサイクルフェス!!! 2024」の取材にいってきた。大分市を舞台に2日間に渡り開催されるOITAサイクルフェスは、2014年にスタートしてUCI(国際自転車競技連盟)公認のUCI1.2クラスのロードレースに成長し、今年で11回大会を迎え海外6チーム、国内12チームの18チームが出場した。

初日となる10月28日は、大分駅南口前の「大分いこいの道」1周1kmのコースを走る「おおいたアーバンクラシック クリテリウム」(昨年までの大会名は「おおいた いこいの道クリテリウム」)と、2日目は大分スポーツ公園に舞台を移して、周辺の公道に設定された1周11.6kmがコースとなる「おおいたアーバンクラシック ロードレース」のふたつのレースをメインとするイベントだ。
参加した海外チームはアジア圏の5チームと、フランス籍のU23カテゴリーの若手選手が大半を占める育成チーム「NIPPO・EF・マルティーグ」が出場。国内チームは海外を主戦場とする「JCLチーム右京」をはじめ、福岡の「VC福岡」、鹿児島の「シエルブルー鹿屋」、地元大分の「スパークルおおいたレーシングチーム」の九州を拠点とする3チームが揃い、ひときわ熱い声援が送られていた。

会場に入りまず挨拶を兼ねて訪ねたのは、友人の紹介で提供してもらっているスポーツサングラスのメーカー「AirFly(エアフライ)」のブース。AirFlyは鯖江から誕生した鼻パッドの代わりにサイドパッドによるホールドで鼻への圧迫感を排除し、陸上競技の方に人気だが軽くて装着感の違和感がないことからロードでの愛用者も多く、グラベルでは連続する段差でも汗でずれていくことがなく長時間装着してもストレスにならない。
私はAirFlyの調光レンズタイプを使っているが、特に朝練や曇りのとき、暗くなるまで走る可能性があるとき重宝している。今回の大会では入賞者の副賞にもなっており、11日から始まるツールド九州の小倉城クリテリウムから14日の福岡ステージのメイン会場と、20日の壱岐ウルトラマラソンの会場にも出店され、ほぼ全ラインナップの試着・購入ができるそうだ。

続いて大分市で刺繡入りのイベントグッズなどオリジナルグッズの企画・製造・販売をされている「イトダネーム」を訪ねた。こちらも友人の紹介で自転車の刺繍をあしらったサイクリングバッグなど提供してもらって今でも愛用している。


「マイナビツール・ド・九州2024」のブースも自転車仲間と挨拶にいった。黄色のツール・ド・九州応援ジャージを着ているのは、午後から開催される市民自転車パレードに参加するためだが、このジャージの人が多いと思ったら私と下城さんだけだった。


競技本部の後ろにある大分銀行 宗麟館の2Fオープンデッキは一般開放されて観戦できるようになっていた。10時からは1kmのコースを30周する「おおいたクリテリウム甲子園」という高校生の大会が開催され強豪校が集まり、熊本からは九州学院と千原台が出場していた。そのあと「競輪選手エキシビジョンレース」がありプロの男女競輪選手による模擬レースも披露された。


クリテリウム開催直前の会場を走る市民自転車パレードに参加した。先着60名となっていたがカウントされることがなく、走行ルールを守れば自由参加みたいなお祭り的な感じだった。これから選手が走るコースを体験できるなんて最高に楽しかったし、観客に見られる側としての領域の心地良さは得難いものだった。詳しくは最後に述べる。


スタート前には大分県知事と大分市長の挨拶がありこの大会の注目度の高さを痛感した。スパークルおおいたレーシングチームを最前列に、VC福岡、シエルブルー鹿屋が並び大分いこいの道周辺特設コース(1.0 km×40 Lap = 40km)のクリテリウムがスタートした。


同時に飛び出したのはVC福岡だったがすぐに捕まった。その後もコーナーの立ち上がりや、また3回設定されたスプリントポイントを利用したアタックが何度も繰り返されたが決定的な逃げにはならなかった。



スパークル応援団も定番の位置で太鼓やカウベルを鳴らして熱い応援が続いた。


集団が横を通ると駅で通過する列車のような風圧が起こる。

サイクルロードレースの迫力を、大分駅前という身近なところに集まった年配の方から子供さんまで目の当たりにされたようだ。

Photo by Mizuki Nao
スパークル住選手

Photo by Mizuki Nao

阿曽選手


Photo by Mizuki Nao

竹村選手

Photo by Mizuki Nao

黒枝咲哉キャプテン


Photo by Mizuki Nao

黒枝士揮選手

Photo by Mizuki Nao

そして優勝候補の沢田選手

昨年はフィニッシュ直前で岡本隼(愛三工業レーシングチーム)がスパークルのキャプテン黒枝咲哉をまくっての優勝だった。


今回はタイチームでドイツ人のカーステンセン ・ルーカス(ルージャイ・インシュアランス )が優勝、2 位がフィリピンチームのカジュコム イアン(ヴィクトリア・スポーツ・プロサイクリング )、3位 岡 篤志(JCL TEAM UKYO )、4位 孫崎 大樹(キナンレーシングチーム )、5 位に沢田 桂太郎( スパークルおおいたレーシングチーム)という結果で終わった。


レースが終わり黒枝監督、選手、谷内メカニックが応援団にお礼の挨拶に来られた。

黒枝美樹監督のメールマガジンのお礼の言葉より

『2024シーズンの最も重要な大会であるOITAサイクルフェスの1日目が開催されました。
真っ白なスペシャルジャージに身を包み、自転車ロードレースの素晴らしさと選手の真剣な走りを見てもらおうと選手、スタッフは一丸となって走りました。
結果は、沢田選手の5位が最高位でした。
地元でのレースであることの重圧と勝利へのプレーシャーのなか選手全員が全力で走り抜きましたが勝利することはできませんでした。多くのファンや地元の皆さんが応援に駆けつけていただいた会場は熱気に包まれ、大分の中心部がレース会場となる景色は毎年のことながら、「また今年もこの舞台に立てた」と感動と感謝で胸がいっぱいになります。多くのファンに支えられ、主催者、関係者の方々に素晴らしい環境を準備していただいたこのレースは、本当に僕らには特別なレースです。「やっぱり、勝ちたい」…そう思ったレースです。
今年も素晴らしい大会をありがとうございました。』

OITAサイクルフェス2日目は、メインイベントとなるUCI1.2クラスのロードレース「おおいたアーバンクラシック」が開催された。会場となるのは大分市郊外にある大分スポーツ公園付近のレゾナックドーム大分、商業施設のパークプレイス大分、高尾山自然公園近隣、それに住宅街の公道という国内でも希少なコースになり、1周11.6kmの周回コースを13周する150.8km。実際に自転車で半周ほど走ってみたが、細かなアップダウンがあってタイトなコーナーが連続するコースはアグレッシブの一言、レースにおいても高速の展開となり、集団内にいても消耗させられるコースレイアウトはコースプロフィール以上にハードで脱落していく選手があとを絶たない。


公道を封鎖したコースなのでレース中は大分県警の白バイ隊が先導する。


この会場ではチームピットの出入りは自由になり、ルージャイ・インシュアランスチームに行くと、昨日優勝者のカーステンセン ・ルーカス選手にサインを求める人が多かった。


ルージャイ・インシュアランスは、UCIアジアツアーのなかで2024年9月上旬時点で2位につけているタイの強豪コンチネンタルチームで、9カ国の16名からなる国際色豊かなメンバーが揃っている。気さくなカーステンセン ・ルーカス選手は調子が良さそうなのできっとでツール・ド・九州でも活躍されるだろう。


クリテリウム4位の孫崎選手。絞り切った身体は見事だった。スパークル在籍中は何度もサイクルイベントでご一緒させてもらった良き想い出である。


81番が孫崎選手の愛車コルナゴV4RS


黒枝監督にもご挨拶。惜しくも沢田選手の優勝はかなわなかったものの、チーム理念であり監督が追い求めている「九州に熱狂を生む」は多くの方に伝わっているはずだ。


実はチャンネル登録している自転車系ユーチューバーで今回「OITAサイクルフェス」のゲストでありMCも冴える「まさ(高倉正喜)さん」。この日のMCには感動した。


「OITAサイクルフェス」MC担当で九州各地のサイクルイベントで活躍されている大分ケーブルテレコムのアナウンサーのご存知、工藤友美さん。大分・福岡・宮崎・長崎・鹿児島で放送中の大分県を中心に各地を自転車で巡ってその地域ごとの魅力を紹介する番組『友チャリ』はファンの方も多い。阿蘇編ではご一緒させて頂いたが、重い自転車で阿蘇パノラマラインをスイスイと上られていた。


スタートが近づいてくると涼しかった曇空から太陽が射し、この日も猛暑になりそうで過酷なレースの予感がした。


この日も大会アンバサダーのスパークルおおいたレーシングチームが先頭に並んだ。

レゾナックドーム大分前では、小学生の野球チーム、サッカーチーム、剣道、柔道などスポーツ少年少女が小旗を振り声援を送って、とてもいい雰囲気でスタートした。

レースはスタート前から緊張感が漂う雰囲気だったそうで、それが影響したのかパレード走行中に数名が絡む落車があった。再スタートすると2周目、ジョン・ウホ(ソウル・サイクリングチーム)、孫崎大樹(キナンレーシングチーム)、レオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島)、阿部嵩之(ヴェロリアン松山)ら4名が飛び出し逃げグループを形成した。後続との差は一気に1分以上まで開き、その後2分30秒まで差が広がっていった。


4名の走力は強力で残り 2周半になるまで同じ展開でレースは進んだ。

Photo by Mizuki Nao


Photo by Mizuki Nao


Photo by Mizuki Nao


アウディA7のゲストカーに乗ることができた。

強烈な加速でスタートした。皮シートに引き込まれるようなGだった。やがて集団に追い付くと落ち着いた自転車のスピードになった、しかし、下りでは70km近くになり、そのまま急カーブに突っ込むスリルは痺れるものがあった。

自転車に乗って歩道で移動した。これができるのがこの大会のいいところだ。


先頭4人の勢いは強烈、キナン81番、孫崎選手を大声で応援した。

しかし孫崎選手やキンテロ選手が上り区間でペースアップを図るがペースを上げたメイン集団は残り2周で20秒差まで詰める。吸収を嫌った孫崎選手が先頭集団から単独で飛び出してメイン会場に入って来た時は涙が出そうだった。最終周回に入ったところで全ての先行を吸収した集団はアタック合戦が始まり、7名の集団が先行。なんとそこに孫崎選手も加わり先頭を引く姿がモニターに映し出された。最後の仕事、キナンメンバーを力のある限り引く姿に今度は涙した。

優勝はイェロン・メイヤース(オランダ、ヴィクトリア・スポーツ・プロサイクリング)、2位 山本大喜(JCLチーム右京)、3位 ルーベン・アコスタ(コロンビア、宇都宮ブリッツェン)。孫崎選手は29位でチームメイトの宮崎選手が5位、新城選手が7位、スパークルおおいたレーシングチームは阿曽選手が14位と唯一完走された。


アジア最優秀選手賞は山本大喜選手(JCLチーム右京)、こちらは彼の愛車。


優勝したイェロン・メイヤース選手のコメント
「日本のレース特有の常にアップダウンがあってコーナーが連続するコースでアグレッシブな展開のレースだった。レース中盤に2分30秒も差が開いてしまったのでチームで牽引して差を縮めた。吸収したところで新たに逃げが形成され、チームメイトのニコラスがそれに加わったのを見て自分もジャンプを試みた。誰もついて来ずに先頭に合流することが出来て、ニコラスが最後のスプリントに備えてアシストしてくれた。登りスプリントの勝負は自分向きだったことも勝因だったと思う。これまで日本のレースはジャパンカップ、ツール・ド・熊野、ツール・ド・北海道などに出場して、今回5回目。初めての大分のレースで優勝出来てとても嬉しい。次はツール・ド・九州に出場するので、また大分に戻ってくるよ」

Photo by Mizuki Nao

阿曽選手のレースレポート
「本日のロードレースは自分がエースで優勝を目指し、最低限UCIポイントを獲得できるtop10を目標に作戦を組みました。コースは短い登りと下りを繰り返すスピードコースで少人数の逃げきりができやすいレースです。そのため他のチームのエース級の選手たちをみながら、最後は少人数のスプリントができるように前に残って勝負する事を目指しました。
2周目に4人の逃げができたため、逃げに乗せてないチームが先頭交代しながら集団をコントロールしますが、上手くコントロールできず、スピードの上げ下げ、また補給場でのアタックなど周回を重ねるごとにメイン集団は人数を減らしながらレースは進んで行きました。自分は無駄な力を使わないように、またチームメイトにも助けてもらいながら集団で足を温存し走りました。
ラスト4周を切るとペースが上がり、最大で1分45秒近くあったタイム差も徐々にそのタイム差を詰めていきます。ラスト1周に入る前に逃げを捕まえ、そこからアタック合戦となり一瞬の迷いで7人を行かせてしまいトップ集団でfinishはできませんでした。でも、最後まで諦めずにトップ10を目指しスプリントしましたが、結果は14位となりました。目標としていたトップ10にも届かずに悔しい結果となりましたが、地元大分のレースでたくさんのファンの皆さんやスポンサー様のおかげで最後まで力を振り絞ることができました。ありがとうございました!
次は10月11日から始まるツール・ド・九州となります。
日本最大級のステージレースでいい結果を目指したいと思います。
引き続き応援をお願いします。
阿曾 圭佑」

Photo by Mizuki Nao

最後にこの大会で感じたこと。
初日のクリテリウムの会場付近はお祭り広場になっていた。子どもから大人まで遊べるショーやパフォーマンス、BMX・スケボー体験ブース、グルメブース、自転車関連ブースなど盛りだくさんだった。サイクルロードレースファンには、公式ガイドブック購入(1000円)特典にピットウォークができるようになっており、選手と一緒に写真を撮ったり、応援の言葉をかけたり、選手との交流が楽しめるようになって自転車乗りではなさそうな方も多くいらした。
やはり自転車愛好者だけでなく応援する人をもてなすことがスポーツ観戦だと思った。そして、九州にサッカーやバスケットと同じようにプロロードレースチームが誕生して地域にもたらす効果は大きいと思う。

Photo by Mizuki Nao

参加して良かったこと。
クリテリウムコースでの市民自転車パレードはいい体験だった。フェンスに並ぶ観戦者に応援され、知り合いには写真を撮られて道路規制のない道を走るのはこんなに気持ちいいのか、ほとんど快感だった。それに圧巻のスピードになるホームストレート、折り返しの180度ターンの位置取り、左右カーブする複合コーナーを抜けた後の猛烈なダンシングでの加速、1周1kmの短いコースにはいろんな戦略をあることが体験できた。
また、この日走る選手、男女の競輪選手、高校生選手と一緒に走ることができて、プロ選手の細い女性のようなふくらはぎを見てこれがロード選手かと思い、真逆の競輪選手の力こぶが2個あるふくらはぎは驚きだった。九州学院の選手には「応援してるよ」と声を掛け、久し振りに再会する自転車仲間とは短い打ち解けた会話、スパークルの沢田選手の後ろは大柄なので無風となり、ここに付けると足を温存出来ると身をもって知った。
市民自転車パレードに参加するに当たり、自転車の保管や最後までジャージでいること、それにそもそも楽しくないのではと悩んだが、最後の一周を知らせる鐘が鳴るクリテリウムの実体験と、応援される喜びが心地よく参加して大正解だった。60数年生きてきたが、あとで後悔しないよう「迷ったら前に進む」なのだ。

 

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