コルナゴ部長こと中尾公一さんレポート「ガイド講習会と大山町&みかん山ライド」

コルナゴ部長こと中尾公一さんから最新レポート「ガイド講習会と大山町&みかん山ライド」が届きました。
みかん山のライドは景色も素敵で、下り坂だけなら参加してみたい!なんて思ってみたりしちゃいました^m^
ご覧ください★


阿蘇くじゅう国立公園地域協議会・阿蘇地域草原利用部会によるガイド講習会「千年の草原を活用した持続可能な観光ガイドライン2024」に阿蘇で活動されているガイドのみなさんと参加してきた。
講習会は東海大学客員教授小林寛子先生より「わかりやすく伝えるガイディング」のタイトルで阿蘇山上ビジターセンターの座学と、草千里ヶ浜でフィールド演習が行われた。自然や歴史・文化の魅力や価値を紹介し、地域と来訪者を結びつける観光ガイドの仕事で必要とされる技法である「インタープリテーション」によって、阿蘇地域の魅力や草原の価値を来訪者に正しく分かりやすく、楽しみながら伝えてくれるガイド、インタープリターを目指すものだった。

インタープリターは、ツアー全体を演出し参加者に驚きや感動を与え、さらには地域の代弁者として阿蘇とお客をつなぐコネクターの役割までも担う人であり、普段の生活では当たり前になって気が付かなかった地域の宝を掘り起こし、その価値を訪れる人にも地域住民にも伝え、一緒に守っていくきっかけを作ることもミッションとして掲げている。

ツアー参加者の満足度を上げるためのポイントは次の3つ。
簡単なようで難しい正しくわかりやすく伝えること、楽しく伝えること、そして肝心なことは客の反応を見て伝えること、小林先生の私たちを見る目視線がまさにそうだった。

草千里ヶ浜を散策しながらのフィールド演習は極寒だったが目から鱗のようなツアーテクニックが満載だった。

草千里ヶ浜は無料で牧野ガイドの案内も必要なく、歩きのみで立ち入ることができる唯一の牧野だ。東西の小高い丘や中央の高さ20mの駒立山から杵島・烏帽子、中岳火口の眺めも良さそうだ。サイクリングの休憩でレストハウスからや、走りながら草千里を歩いたり丘を上ったりしている人を見て何が楽しいのだろうと思っていたが、この日生まれて初めて草千里を散策して大観峰と双璧な阿蘇観光のスポットということが分かった。

阿蘇ライドの冬季対策として、真冬でも走れて魅力もあるフィールド探しに日田市大山町へ行った。きっかけは下城さんの知人の方が自分の山を自由に使っていいとのことだったので下見を兼ねたが、現地に着くと一面モミジが植えられた美しい山だったが、走るには不向きだったので、コンタクトを取られていた道の駅水辺の郷おおやまをベースに旧道や田舎道を試走することにした。

道の駅水辺の郷おおやまでは、裏の河川に作られた道を走るバギー体験イベントをされており試乗させてもらった。このバギー体験はオートポリスが自社の敷地内にコースを作って提供されているもので、こちらではオートポリスのドライバーが運転するバギーに同乗する体験になっていた。

スピードを上げて鋭角なコーナーで始まり、水たまり、道の両脇の石のセクションの走破には驚いたが、最後は目の前の階段を上ると言われてちょっとビビった。

さすがKawasaki製バギー、何事もなくクリア!実に楽しい!
私たちの前に体験された子供連れの方も大満足の様子だった。

道の駅水辺の郷おおやまには、このような集客を目的に満足度を高めるイベント以外にも、弁当や総菜の販売が少ないため10台以上のキッチンカーを集めたり、駅長自ら仕入れた高原野菜が格安で販売されていた。なかでも館内に2021年オープンした【進撃の巨人 in HITA ミュージアム】が一番の魅力になるだろう。
作者の諌山創(いさやまはじめ)さんは、大分県大山町(現日田市)生まれで18歳まで大山町で過ごされた。道の駅に隣接した日田焼きそば「想夫恋大山店」は、諌山さんが高校時代にアルバイトをされており、店主宛てのサイン色紙が飾られて、館内のミュージアムと合わせて進撃の巨人の聖地となっている。
駅長さんから大山ダムにある進撃の巨人の登場人物の銅像に続いて、近くに記念植樹された公園があると聞いたのでサイクリングコースにできるか行ってみることにした。

道の駅から大山ダムの銅像の入口まで4.5km、その先を右折して集落を抜けると立派な長い上り道になりダムから4.5km先に大きな広場があった。それは2016年にオープンした「田来原(たらいばる)美しい森づくり公園」。大山ダム建設時の残土処理場の跡地を利用した公園でダム建設の促進や水源地域の生活環境、産業基盤の整備などを目的とするという。
公園内にはウォーキングやジョギング用の1kmと1.5kmのコース、会議室・畳部屋・シャワールームがある森づくり交流館、軽いスポーツやコンサートなどの森づくり交流広場、芝生広場にはベンチやトイレ・東屋など、辺ぴな山の上に立派で規模も大きく整備も行き届いた施設だった。
先客は家族連れの車が1台だけですぐに帰られた。日曜の昼頃に40分くらいいたが誰も来なかった。広大な公園が貸し切りになったところでグラベルバイクで1.5kmのコースを試走してみた。路面は最高に良く道幅もそこそこあってクリテリウムに最適な感じだった。
芝生広場の手前に銅像があったので進撃の巨人関連かと思って行って見ると、公園がある田来原地域で椎茸種菌の人工純粋栽培法「種駒」を発明し、全国の栽培農家から「椎茸の神様」と呼ばれている森喜作博士という方の銅像だった。銅像が指さす方に小高い丘があり頂上に支柱に支えられた10mほどの木があった。(後で調べると指さす方向は博士の郷里の群馬県桐生市だそうなのでこの木とは関係ない)

日田市と地元企業などでつくる「進撃の日田まちおこし協議会」の企画により、2023年11月18日にテレビアニメ「進撃の巨人」の放映開始10周年を記念して植樹されたものと小さな石のプレートに書かれていた。

アニメに登場した「あの丘の木」にちなんで芝生広場の丘にメタセコイアが植樹されていた。式典には主人公のエレン・イェーガーを演じた声優の梶裕貴さんも駆けつけ、「この場所が新たな『聖地』のひとつとして愛され続けることを祈っています」と話されたという。
大山町でサイクルイベントをする際に、道の駅水辺の郷おおやまの駅長さんから従業員駐車場を使っていいと言われていた。しかし、期待していたプライベートの山はコースに不向きだったので、付近の車の少ない旧道の田舎道を試走してみたが10km程度の短いコースしかとれなかった。大山ダムの進撃の巨人の銅像までの上りまではコースに出来るが、それでも短い。そこから更に4.5km続く田来原公園までの上りはまったく楽しくないので大山町近郊のサイクリングコースは諦めて、日田市内まで往復する比較的車が少ないコースで検討することにした。

大山川沿いや三隈川沿いの道はいい感じだった。日田市内ではサッポロビール工場見学も道の駅おおやまから8kmと近く、敷地にある道の駅おおやまの【進撃の巨人 in HITA ミュージアム】の別館として2023年8月20日にオープンした【進撃の巨人in HITA ミュージアムANNEX】もありかも知れないと訪ねてみた。


最初に案内されたのは、漫画の世界に没入したかのような巨大デジタル展示「イマーシブコミック」、なかなかの迫力だった。

展示は諌山さんが選んだ印象的な作品について、思いや考えを重視した進撃の巨人の設計図のような内容になっていた。

一例がこれだ。

諫山さんのこのようなコメントによる作品キャプションは貴重だ。
進撃の巨人は、壮大で独特の世界観と魅力的な登場人物たちの心理描写、それに社会問題や現代の複雑な世界を反映したテーマが描かれ世界中の人々から高い支持を受けている。
せっかく日田市内や大山町をサイクリングするなら、今回訪ねた進撃の巨人の聖地巡りも阿蘇ライドのコースのひとつとしてありかも知れない。それに阿蘇から大山までは車で1時間なので雨天対策にもなりそうだ。

こちらも阿蘇ライドの冬季対策として、牧野ガイドの清田あづささんが主催する「みかん山と有明海ライド」の手伝いに行って来た。金峰山の麓にある「金峰森の駅みちくさ館」をベースに、みかん山を見ながら河内町のサイクリングを楽しんで、海沿いの寿司屋で海鮮丼や海苔専門店、みかん農家を訪ねて、最後はみかん狩りが付いた16kmのサイクリングイベントだ。

サイクリングのコースとなる河内町は、熊本駅から30分もかからないところにあり、みかん山の段々畑が広がり、遠くには有明海越しに雲仙普賢岳が望めるロケーションと温暖な気候が魅力。

サイクリングの魅力としては、みかんの木は背が低いので見晴らしも良く、イタリアやフランスの葡萄畑の雰囲気もあったり、多少の上り下りもあることから「走る」本来の楽しみもあり毎年恒例になっているので県外からの参加者も多い。

ゆったりとしたペースの軽いサイクリングなので、いろんなタイプの自転車や服装で参加するのも「みかん山と有明海ライド」ならでは。

奥さんと一緒に参加して「仲間が増える」サイクリングの楽しさを知ってもらう機会にもいいだろう。

北九州から参加されたベキ子は新幹線輪行で熊本駅から自走で来られた。
ベキ子さんは南フランスのサイクルウェアブランドCafe du Cycliste(カフェドシクリステ)のアンバサダーをされている。このブランドはカフェなどに立ち寄っても違和感がなく、これまでのサイクルウェアにはないデザインと生地が特徴的でグラベルライドの方に見かけることも多い。新幹線輪行のベキ子さんはオールCafe du Cyclisteだったが、街中でも車内でもまったく違和感なく溶け込まれていたようだ。このような新しいスタイルがきっかけとなりサイクリストの層を厚くしていくのではないかと思う。

絶景スポットも多い

特に有明海に滑空するような3.7kmダウンヒルは素晴らしい!
ただし、初心者も多いのでゆっくりと下る。

海まで下りたら清田さんの友人の海苔生産者の方からお話を聞く。
有明海は九州最大の川である筑後川をはじめ、本明川、鹿島川、塩田川、六角川、嘉瀬川、矢部川、諏訪川、菊池川、白川、緑川など大小100を超える河川が豊富な養分を運びそれが美味しい海苔の源になっている。
海苔養殖は水槽で牡蠣殻に海苔の種を植え付け育てることから始まる。秋になると海苔が胞子を出すので網に胞子をつける「種付け」作業。種付けを行った海苔網を海中に張り育てて、冬に育った海苔を摘み取り洗浄して加工して海苔が製品となる。このような現場の方からの学びが食育となって海苔の価値を生む。

海苔の生産者の方が「道が入り組んでいるからね」とママチャリで案内してもらい昼食の店へ。

この店の海鮮丼は絶品、加えて・・・

「有明のり研究所」の代表で海苔ソムリエYUMIKOさんこと嶋田由美子さんのお話を聞きながら、海鮮丼と一緒にたくさんの試食をさせていただいた。

私は嶋田さんの話は3回目だったが、その年の海苔の状態と新海苔の美味しい食べ方に聞き入るばかりだった。

食事の後、気に入った方は有明のり研究所でお買い物。サポートカーが付いているので持ち帰りも便利。

私が選んだのこれ、素パスタに最高!

河内港の風景を見ながら続いて行くのはみかん選果場

ウシジマ青果さんの工場見学と美味しい試食のあとはみかん狩りへ

みかんの木のどの部分に実っているのがより美味しいのか、そんな食べ比べも面白いし、いいことを教えてもらった。今年の収穫は例年の6割、よって価格も高くなっているらしい。

金峰森の駅みちくさ館へゴールしたあと希望者のみ夕景の雰囲気を味わいに清田さんの案合で芳野方面へ行った。そこは河内が地元の清田さんが、最も好きな時間の、最も愛する場所だった。まだ太陽は高かったが、それでも有明海に染まるオレンジ色の濃淡の雲と、真紅の夕陽という華麗な黄昏が訪れることが想像できた。

このような阿蘇ライドの冬季対策は、牧野ガイドが冬でも活動できることへの試みだ。
今年4月から始めたグラベルライドは、ゆっくりとしたペースで、オンロードのようなスピードではないので比較的寒くはなく、風が吹かない林道をメインにするとこれから迎える厳冬期でも大丈夫そうでもある。ただ、ひとりだとくじけてしまいそうなので、みんなで万全の防寒対策をして検証して行きたいと思っている。

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