2月24日(月・祝日)の阿蘇満喫ライドは、いつもガイドするメンバーでコースを作った緑川流域に場所を移して開催するがその経緯について少し長くなるが説明しよう。
昨年7月、インバウンドを対象にした「ツール・ド・九州」観戦について、解説者の飯島誠さんや福岡在住の欧米の方の現地視察があり、熊本阿蘇ステージの一部をガイドする業務を熊本の業者から受託した。
これが好評だったこともあって、同じ業者から西鉄サイクルカーゴバスを利用した「ツール・ド・九州」開催日当日に、欧米等の外国人による観戦モニターツアーを、久住町、天ケ瀬温泉~日田市、阿蘇市~南阿蘇で3日間ガイドすることになり、阿蘇満喫ライドのガイドのミユキさんと案内し参加された方から高い評価を得ることができた。
これが縁で緑川流域4町連携によるサイクルルート開発事業について同じ業者から相談があり、阿蘇満喫ガイドメンバーの協力を得て企画書を提出したところ、プロポーザルを通り受託することになった。
内容としては、美里町、甲佐町、山都町、御船町の各スタート地点と、指定された立ち寄りスポットをつなぐ形となり、コースは4町の各サイクリングコースと、その4町を通りどこからでもスタートできる緑川流域周遊コースということだった。昨年12月の初めに受託の連絡があり、今年の1月末にはコースデータ及びコースプロフィールを納品するという少し忙しい行程になった。
そのため、阿蘇満喫ライドに参加される地元の方にも協力してもらい、長いトンネルを避けて比較的車両が少ないコース案が決まり、詳細は車で試走を重ねて4町各ロングとショートの2コースと、緑川流域周遊のロングとショートの計10コースが決まった。
ということで、なかなかいいコースなったので毎月開催している阿蘇満喫ライドでも緑川流域周遊ショートコースを走るライドを募集をしている。その実走を2月9日行ったが、参加予定の阿蘇満喫ライドメンバーや、コース提案をしてもらった地元の方の都合により私と下城さん、素晴らしい写真を撮られる地元の鬼塚さん(クレジットはOnimasa)の3名で御覧の通りの極寒のなか走ってきたので紹介しよう。
コースは緑川流域周遊ショートコース(美里町スタートコース)
道の駅美里佐俣の湯(美里町スタート地点)をスタート、霊台橋、エコーライン、松本商店、緑川ダム休憩所、脇瀬橋、内大臣橋、鮎の瀬大橋、通潤橋ミエルテラス(山都町スタート地点)、道の駅通潤橋、チポリーノ、日向往還、軍見坂、御船町ふれあい広場(御船町スタート地点)、恐竜博物館・御船町観光交流センター・御船町なかギャラリー、田口橋、甲佐町総合運動公園(甲佐町スタート地点)、甲佐町やな場、八角トンネル(入口より押し歩き可)、二俣橋、道の駅美里佐俣の湯ゴールという距離84km・獲得標高1657mになる。
Photo by Onimasa
9時に美里町道の駅佐俣の湯に集合し、鬼塚さんは自宅から10数キロ自走で来られた。その際、サイクルコンピュータの気温はマイナス8度という阿蘇と変わらない凍りつくような寒さだったそうだ。道の駅佐俣の湯でも氷点下だったので、防寒具やダウンジャケットを着込みスタートしたが、手先はすぐに痺れるような感覚になった。その点、鬼塚さんは電熱線入りのグローブだったのでポカポカすると夢のような話をされていた。
霊台橋までは車の少ない旧道で途中川沿いの道があったりとても雰囲気のいいルートだった。美里町には42橋もの石橋があり、緑川に架かる江戸時代末期の霊台橋は国の重要文化財に指定されている。ここにはトイレもあるのでフォトスポットを兼ねた休憩にもいいだろう。
Photo by Onimasa
霊台橋から445号を横断してエコーラインに入ると車が通らない広葉樹の木漏れ日の道になる。
Photo by Onimasa
これが緑川地域らしい感じでフォトスポットになるだろう。
エコーラインで美里町総合運動公園から本来は緑川ダムを渡るのだが、対岸の153号は寒波で凍結が予想されることから、445号で美里町物産館よんなっせの先からこのコースの魅力のひとつである(こちらも凍結がかなり怪しい)内大臣橋とあゆの瀬大橋を目指すことにした。
Photo by Onimasa
エコーラインから445号に出たところにある松本商店は必須のエイドポイントになる。
松本商店の熊本を代表する郷土菓子「いきなり団子」は、鬼塚さん曰く「熊本一美味しい」と言われており、ガイドメンバーのミユキさんも絶賛されていた。自転車乗りはこのような店があったらよく立ち寄るが、この周辺に来た、もしくはこの店を目指して来たという方が正解かも知れないが、サイクリスト人気の補給地点となっているのだろう。私も試走で来た際に1個から買えて、もっちりとした皮に包まれたさつまいもとあんこの美味しさが120円とは驚きだった。
Photo by Onimasa
田舎にあるのに客は多い。私たちのあと来た観光客風の方はドアを開けるなり「米粉万十10個ください」と常連なのだろう。店の方に聞いたら午前中で売り切れることもよくあると言われた。予約もできるそうだが、本番当日何名の人が買うのか読めないのでちょっと今悩んでいる。
Photo by Onimasa
いきなり万十で幸せ感がみなぎって元気に再スタートすると、見晴らしが良くなり雪化粧した五家荘方面の連なる山々が美しく輝いていた。
Photo by Onimasa
勢井阿蘇神社の先から雪が道沿いでも残るようになってきた。
Photo by Onimasa
この先がどうなっているのか、考えなくても理解できたが3名とも口には出さなかった。
Photo by Onimasa
そんなことより幸せ感が勝った。
Photo by Onimasa
上るにつれ雪景色の中を走る夢のような体験が段々と色濃くなってきた。
Photo by Onimasa
集落を過ぎて陽が射さない杉山に入るとすぐに道路は凍結して押し歩きになった。
ビンディングシューズなので凍った道はペンギンみたいなヨチヨチだ。
Photo by Onimasa
内大臣橋に降りる分岐でその先は積雪のままになってコース上を走る(歩く)のは諦めた。ではどうするか、6km押し歩きで445号を目指すか、それとも引き返すか、答えは笑顔で「目指そう」だった。
Photo by Onimasa
50m押し歩きしたら、陽が当たり凍結していない道を10m乗って、また押し歩きが続いた。
Photo by Onimasa
車が通った跡があるが両側の集落を結ぶ道になっているので4駆に冬タイヤの地元の車両だろう。慣れた人でないとすぐにスタックしてしまうだろう。
Photo by Onimasa
峠のピークを越えたのか下りになって益々歩きにくくなってきた。
Photo by Onimasa
やっと集落が見えてきた。
Photo by Onimasa
凍結道路が終わったところで後ろからバイクがこけないよう足を付きながら走ってきた。
郵便バイクだった。もしかして私たちが歩いてきた道を走ってこられたのだろうか。尋ねると、「はい、毎日通っていますよ、後輪は冬用タイヤで、今日は積雪がないので前輪はノーマルでしたが、一昨日は深い雪だったのでチェーンを付けて走っています」、プロだな。ちなみに内大臣橋へ行く分岐の先はと尋ねると、あの道は無理ですといわれた。
6kmの押し歩きは1時間40分かかった。445号に出て4km行けば山都町の街中に出るので、通潤橋ミエルテラスに寄ってどこかで昼食を取ることにした。
美里町運動公園からコースを変えて通潤橋ミエルテラスまで19km・+608m、正式なルートの場合は23km・695mなので極端にショートカットしたわけではないので一応難易度としての試走になっていそうだ。
昼食は私の希望により有名店「おちかラーメン」に行った。もちろん行列だがとんこつモードに入っているのでほかの選択肢はなかった。
いやはや、美味しかった。ここまで一杯のラーメンを求めて来る人ばかりのようだ。ただし、4~5人ならまだしも24日の本番はぜったい無理なので、サイクリストに人気のパン屋でイートインが出来る「チポリーノ」になるかも知れない。多くの種類のパンをはじめとして、焼き菓子やスイーツまで商品が安価な価格で並んでいる。しかし、こちらも人気店なので20名とかなると不安がよぎる。
Photo by Onimasa
食事のあとは39号・222号・57号は同じように凍結の可能性があり、かなり時間も押しているので445号で少しコースの内側で帰ることにした。
Photo by Onimasa
ブルック像で写真を撮りたかったが、こちらもスルーして御船町から甲佐町に入り本コースに戻った。緑川沿いの道は実に気持ち良かった。正面の五家荘方面の雪山は北イタリア北東部のドロミテの岩山のように見えた。
Photo by Onimasa
甲佐町の街中に入ると少し車は多くなるが川と街並みのセットは風情を感じるものだった。コースから少し入ると人気のパン屋やカフェなどいい感じの店を数軒、鬼塚君に教えてもらった。やはり地元サイクリストの情報は貴重だ。何回かコースを走ってトイレや補給スポットだけでなく、その時の気分で立ち寄りたいところが案内できるようになればと思う。
Photo by Onimasa
甲佐町の鮎やな場はシーズンでないと寂しい。季節ごとに立ち寄るスポットはどこかのサイトで紹介したがいいだろう。もちろんサイクリスト目線の情報になるが。
Photo by Onimasa
コースの中でも最も人気が出そうな美里町にある八角トンネル。南熊本駅から宮崎県延岡市への鉄道敷設をめざして1915年(大正4年)に着工した熊延鉄道跡の遺構になる。1932年(昭和7年)に下益城郡砥用町(現:美里町)まで完成したが建設は中断され1964年(昭和39年)に廃線になった。
トンネルといっても八角形のコンクリートの塊が7つ連なり、それぞれに隙間が同じくらいの間隔で並んで落石を防ぐ施設のようだが、その先は異空間に彷徨いそうな雰囲気があって面白い。最初に下見に来た時にトンネルの200m手前に車・バイク・自転車は通行止めとなっており、やはり自転車とセットで写真を撮りたいので押し歩きが出来るよう美里町に提案したところ可能になった。
Photo by Onimasa
最後に訪ねたのが二俣橋、11月~3月の11時~12時にかけては、太陽の光が橋の下にハートの型を写し出すことで有名なスポット。釈迦院川と津留川の合流点一帯にかかる石橋でたもとにイチョウの大木があり、紅葉期は撮影ポイントとしても人気のようだ。
ここから800mで道の駅美里佐俣の湯へゴールした。ゴールのあとは温泉でさっぱりして帰ることができるのもこちらのコースの魅力だ。この日の走行距離は70kmと道路状況からするとまあまあの試走にはなった。本来のコース84kmは、スタートして美里町と山都町の44kmが上りが多く、御船町までは20kmのダウンヒル、甲佐町から美里町までの20kmはフラットになる。
各コースは「ライドウィズGPS」で作成したのでサイクルコンピュータやスマートフォンでナビすることができる。よって4町を周遊するロングとショートのコースは、スタート地点ごとに作成した。
私のガーミン(Ege830)にコースを保存した場合、コース名の表示は9文字までになるので、ライドウィズGPSのタイトルは、緑川ショート美里町(緑川流域周遊ショートコース ・道の駅美里佐俣の湯スタート)として、コースとスタート地点が分かるように、「緑川ショート美里町」が表示されるようにしている。
試走で来た際、帰りに必ず立ち寄るのが、甲佐町の443号沿いにあるニラが入ったメンチカツ「にらメンコ」の高田精肉店。かなり美味しくて家内から必ず買って帰るようリクエストが毎回ある。にらメンコの誕生は14~15年前で、甲佐町はニラの特産地であることから役場などから依頼があったのがきっかけらしい。店内で揚げたてをイートインできるのでライドが終わったら是非立ち寄って食べて手欲しいし、自宅への土産にも最適だと思う。
Photo by Onimasa
2月24日の「緑川流域周遊ショートコース・美里町スタート編」は、道の駅阿蘇のサイトから30名の募集をしている。当日はサイクルイベントのサポートライダーとして人気のベッキーさんや、大分ケーブルテレビ「友チャリ」の工藤友美さんも参加の予定なので賑やかなライドになりそうだ。
コースは阿蘇満喫ライドのように私が勝手に選んだのではなく、緑川流域の4つの町が連携して地域を盛り上げようというものなので、各町の自慢のスポットをつないで、どこの町からもスタートできるコースになっている。
対象と考えたサイクリストは、県内だけでなく、県外からも自分の自転車を持ってきて走りたいというコースにしたので中級者程度になる。よって4町を巡るのはショートコースでも山が多い地域なので距離84km・獲得標高1657mになってしまうのは仕方ない。
スタートして天候や体力的に軽くというのであれば、今回のように最もいいところだが、内大臣橋と鮎の瀬大橋をカットして、内回りで445号だとかなり難易度は下がるのでそこは臨機応変に対応して頂きたい。
道の駅阿蘇を拠点に阿蘇満喫ライドなどで活動する私たちは、厳冬期の阿蘇は走る環境に厳しいのでほかの地域に遠征したり、その地域のサイクリストでないとコースが取れないグラベルライドも開催している。このことはサイクリストに人気の阿蘇だけの活動ではなく、他地域との相互交流というガイド力として学ぶため道の駅阿蘇が育成するサイクルガイドの取り組みに繋がっている。
今回のコース造営は、阿蘇満喫ライドのガイドメンバーと6年目を迎える阿蘇満喫ライドの参加者で行った。このような他地域でのサイクリングコースも、私たちが連携することにより可能になるのではないかと考えている。今後も緑川のコースを季節ごとに阿蘇満喫ライドとして開催し、多くのサイクリストに紹介していきたい。
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道路情報や店舗情報など道の駅阿蘇Facebook、道の駅阿蘇ホームページでもお知らせしておりますのでご活用下さい。
道の駅阿蘇(NPO法人ASO田園空間博物館)
TEL:0967-35-5077
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