コルナゴ部長こと中尾公一さんレポート「野焼き見学ライド」

コルナゴ部長ことな中尾公一さんから最新レポート「野焼き見学ライド」が届きました。
阿蘇は2月下旬から3月上旬にかけて野焼きが行われます。

「野焼き見学ライド」は天候に左右されますが、今年は予定していた通りに開催され阿蘇の草原をライドし、町古閑牧野の野焼きを間近で見学されたようです。ご覧ください。
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阿蘇に春が来た3月23日、阿蘇満喫ライドは燃える箱石峠に期待をよせて町古閑牧野の野焼き見学に行った。阿蘇山麓と北外輪山、ミルクロード一帯の野焼きはイベントと重なり残念だったが、この日は野焼きが終わった直後の煙くすぶる真っ黒の世界を案内することが出来た。

参加されたのは熊本から2名と福岡の4名の方、井上君とミユキさんは別のグループの野焼きライドを担当されたので私と下城さんで案内した。好天に恵まれていたが、野焼きするには風が強く、中止を想定して代わりのコースを考えながらスタートした。

265号に向かって走っていて、本来なら正面の外輪山の上から煙が上がっているはずだが見えない。町古閑牧野のショウ君に確認すると、時間は遅れているが野焼きはあるとのことだった。そこで時間潰しに冬季牧野から麓に移された牛を眺めながら雑談の合間にこの風景に合う質問をしてみた。
☆「ここに30~40頭の牛が放牧されています。右にある白いのは牧草をロールラップした牛馬の餌となるサイレージで1個が約200kgあります。そこで問題です、このサイレージは1日何個必要でしょうか。」
★「答えは午前中に5個、午後に5個の10個です。」
☆「牛を飼っている町古閑牧野組合では年間何個のサイレージを作るのでしょうか」
★「答えは年間2000個です。」

箱石峠の中腹でやっと煙が見え出した。見学を予定していた町古閑牧野展望所に着いたが気配がない。しばらく待機していたが煙はまだ遠かった。

そこで先に進んで行くと野焼き直後のところがあり遠くに火の手を眺めることができた。

その先では火元が近くなり、「バチバチッ」と萱(かや)が焼ける物凄い音と、強風で竜巻のようになった炎の熱風が吹き荒れ、煙と飛び交う燃えカスでまともに目を開けられない。そんな状況だが野焼き関係者の姿がないのは、牧野の道が広く防火帯となって延焼はないということだろう。

午前中に野焼き遭遇も出来たことだし、14時から野焼きが終わった牧野道を農業基地側から走る予定だったので道の駅波野へ食事に行くことにした。波野はそばの産地ゆえに定食にはそばが付いている。私が注文したのは牛丼定食、ご飯はこの先走るにはためらう盛りの良さ、サラダは高原野菜の産地でもあるので高価になったキャベツがたっぷりだ。こんな時に話題になるのは野菜の高騰の話、「キャベツ、レタス、買えないよな」みんなスーパーには行っているらしい。

おっと、天候不順で阿蘇でなかなかお目にかかれない高菜が制限付きで販売されていた。
阿蘇の人にはかかせない高菜の品薄感は、野菜全般と同じく庶民の味方も高値になるのではないだろうか。となると補給食では私の好物の高菜饅頭や高菜おにぎり、食堂ならば高菜ごはんや高菜チャーハンも値上げになるかも知れない・・・と思っていたら4日後に道の駅阿蘇で多量に高菜が販売されていたので一安心。

57号線から町古閑牧野道に入った。農業基地から景色が一変した。あたり一面真っ黒、後ろから静かな驚きの声が聞こえた。道の両側はきれいに焼かれ、まだくすぶっているところもあり煙たい匂いもした。丘の上からは狼煙(のろし)のような煙がいたるところから上がっていた。空を見上げると、ここの生態系の頂点に立つ猛禽類、数羽のノスリがホバリングしていた。火の手から逃げ惑うハムスターのように愛らしいカヤネズミを狙っているに違いない。そして、見晴らしのいい焦土の先に根子岳という景観に吸い込まれた。これが阿蘇の野焼きだ。

下城さんが野焼きで延焼した場合の責任問題について説明されていた。野焼きのリスクを知ってもらう大切なことだ。

どんなに輪地切りという防火帯を幅広く取っていたとしても、突然の強風で火が飛び森林を焼いてしまうことは珍しくない。その責任をとるのは火を点けた人になってしまう。
現にこの日、南阿蘇の野焼きが山に延焼し一晩中に燃えていたそうだ。運よく一番で鎮火したそうだが、近年の森林火災のように消火が長引き民家まで延焼が広がることもある。
そのようなリスクを考えると、「野焼きを止める、もしくは植林にする」、このようにして阿蘇の草原は減少の一途をたどっている。

阿蘇の広大な草原は、野焼き、放牧・採草により維持されてきた。カルデラに住む人々のこのような営みを通じて、地域固有の文化や生物多様性、独特の景観が形成されている点が評価され平成25年に世界農業遺産に認定されたが現状では草原の維持は厳しい。
草原が蓄える水により、阿蘇を源流として九州各地へ流れる6つの1級河川、大分の大野川・宮崎の五ヶ瀬川・熊本の緑川・白川・菊池川・福岡の筑後川へ供給される水が守られている。また、熊本県内に数多くある豊かな湧水も、阿蘇が水がめの役割を果たすことによって生まれている。
古くから阿蘇をはじめ、下流域にあたる熊本の人々が生活用水や農業用水として利用してきた水は、広大な草原のたまものなのである。TSMCなど半導体関連企業が熊本に進出するのも豊富な水資源であり、野焼きによって守られるものは牛のための牧草地だけではない。

さて、町古閑牧野展望所のアンテナが見えてきたが、強風で時間が遅れているのかその少し手前で野焼きがあっていた。火を点ける際に延焼しないよう水を撒く動墳を積んだ軽トラックと飛び火を消すボランティアの人たちのグループだった。強風で炎は舞い上がっていたのでしばらく距離を置いて待機することにした。

炎が収まって野焼きボランティアの方を通り過ぎる際に声を掛けられた。よく見ると福岡の自転車仲間だったのでびっくりだった。

町古閑牧野展望所に着くと箱石峠側を焼き始められた。

強風が吹き上げているので、どこにいても煙と煤から逃げられない。右のアンテナがある側は焼かれないとのだったので野焼き遭遇はかなり体験できたので帰ることにした。

これは昨年4月のアンテナ側の野焼き。一人の牧野の方が火を入れられた。

火は瞬く間に広がった。トルネードようになった炎は10mを越えた。

猛烈な音を立て一気に谷を焼き尽くす様は恐ろしくさえ感じた。炎の熱でガードレールが不気味な音を放っていた。ここを最後に見せてやりたかったがこの日は十分だろう。

野焼きが終わった直後の牧野の道を走ることが出来た。参加された方々は観光的な物珍しさだけではなく、草原を維持するために1000年続く野焼きの厳しさを肌で感じてもらえたようだ。

黒光りする艶やかな焦土の景色、まだくすぶる煙の匂い、燃えカスを飛ばす強い風の音、そんな異星にいるような体験は阿蘇だけのものだ。根子岳を見ながらここを走らせることができてよかった。最後はNHKスペシャルの「阿蘇の大草原 火山と生きる」で終わりにしよう。
【NHKスペシャル】阿蘇の大草原 火山と生きる

 

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