道の駅阿蘇の近くに店を構える『菓心 なかむら』。皇室のお土産にも選ばれた「火文字焼」をはじめ、数々の銘菓を世に送り出した創業60年を数える老舗です。
その中でも「中岳ショコラ」は店主のアイデアが光る一品。レンジで少し温めるとチョコスポンジの中の餅が膨れあがり、まるで阿蘇中岳火口が噴火しているかのようです。奥行きのある店内のショーケースにはケーキ類もバリエーション豊富に揃っています。
阿蘇中岳火口の湯だまりにちなんでネーミングされた「湯だまりプリン」(200円)。阿蘇の牧場で搾った牛乳、波野で放し飼いされているニワトリが産んだ卵、きび砂糖のみで作られており、添加物は一切入っていません。焼き上げられている表面はしっかりしていますが、スプーンをスッと入れると中はとろーり。ほろ苦いカラメルが程よいアクセントになり、卵の風味が生きたシンプルながらも素材の濃厚な美味しさが楽しめます。
「坊中の石畳パイ」(160円)。坊中の石畳のように表面がゴツゴツした四角いパイに、注文を受けてからたっぷりのカスタードクリームを注入してくれます。
バターの香るサックサクのパイにかぶりつくと、中から濃厚なカスタードクリームがトロリとあふれ出してきます。皮の心地よい歯ざわりとクリームのなめらかさのコントラストを楽しむために、ぜひ作りたてを味わって下さい。大ぶりなパイなので食べ応え十分。これで160円は安い!
なお、名前の由来となった坊中の石畳は店から歩いてすぐのところ。西厳殿寺をはじめとした古寺跡が集まる静かな町並みが残っています。スイーツを堪能した後はのんびりと散歩を楽しんではいかがですか。
三代目店主の中村浩さん。東京の代官山で修行した後、同店を引き継いだ約30年前から、和菓子中心だった店に洋菓子メニューを取り入れ始め、現在の姿にしました。お菓子を通じて伝えたいのは、阿蘇の自然の美しさと食べ物の美味しさ。そのためイチゴ、牛乳、卵など素材の多くに、生産者から直接仕入れた阿蘇で取れた物を使用しています。
多くの商品の名前に阿蘇にまつわるキーワードを入れているのも、買った人には食べながら阿蘇のことを思い出してもらいたい、お土産としてもらった人には阿蘇の地名に興味を持ってもらいたいとの思いから。
「ネーミングは思いつき、インスピレーションですよ(笑)。」と仰いますが、温めることで噴火するような動きを見せる中岳ショコラ、石畳の形そっくりな坊中の石畳パイ、往生岳の旧名を冠したこんもり山型の玉岳シューなど、一目見ればなるほど!と思う納得のネーミングばかりです。
これからも新商品を通じて、知られざる阿蘇の名所、地名を多くの人に伝えてもらいたいですね。
【菓心 なかむら】
住所:熊本県阿蘇市黒川1490-2
電話番号:0967-34-0321
営業時間:午前9時〜午後7時(日曜日は~午後5時)
定休日:元日のみ