コルナゴ部長こと中尾公一さんレポート!「MTB E-Bikeによる阿蘇ファムトリップ」🚴

メリークリスマス!!
ということで、本日は、コルナゴ部長こと中尾公一さんに12月3日~6日に行われた台湾ブロガーのファムトリップをレポートしていただきました。

日本一広大な草原農地である阿蘇の牧野において、トレッキングやマウンテンバイク(MTB)を楽しむ人たちに開放し、観光資源として有効活用しようと道の駅阿蘇が取り組みを始め、「草原(牧野)ガイドツアー」として専門の講習を受けたガイド付きのトレッキング(草原トレイルウォーク)や自転車(草原MTBライド)による草原をフィールドにした阿蘇のアクティビティを2018年12月から商品化した。

商品化の背景として、阿蘇の草原は千年以上前から人々が放牧や採草、野焼きを行いながら利用されることで守られてきたが、農業の変化とともに減少し続けていることだ。
阿蘇の草原景観は九州随一の観光資源であるとともに、九州の水がめであり6本の一級河川の源流域にあたり約500万人もの人々の暮らしと多くの産業活動を支えている。環境省発行「いざ草原へ」によると草原を守る取り組みは3つあり、第一に草原の利用を増やすため阿蘇に牛が増えること、次に草原に親しんでその価値を知ってもらうこと、最後に野焼き作業に人手不足を補うボランティア活動や草原を守る取り組みへ支援するための募金にある。草原ガイドツアーは阿蘇サイクルツーリズムとしての提案であり、阿蘇に来てもらい農産物を食べて、草原に親しみ阿蘇の人々と交流し、ツアー費用の一部は草原を管理する牧野組合に使用料として支払う草原を守るための取り組みである。

当初、MTB草原ライドは九州内のサイクルショップオーナーが牧野ガイド養成講座を受講されガイドとしてショップのメンバーと走りに来られた。観光用には阿蘇でサイクリングツアーを主催するトリムカンパニーと道の駅阿蘇によって阿蘇のサイクルアクティビティとして商品化し、モニターツアーを開催しSNSやサイクルメディアに紹介している。

今回はインバウンド向けの第一歩として。世界一の自転車産業を有しサイクリング愛好家が多い台湾第二の都市高雄から、有名なサイクルブロガーやMTBプロライダーに実体験を発信してもらうファムトリップとして阿蘇に招いた。高雄は熊本空港から直行便が週3便運航し2時間30分で行けるという交通の便の良さと、サイクルツーリズムの先進地でもあることから今回のプロモーションをきっかけに双方向の観光交流への展開を図っている。

ファムトリップは影響力のある外国人の目線で実体験したツアーやサービスをすぐに情報発信してもらい、意見交換することで適切な評価や対象とする人の視点を知ることができる。また、雑誌やメディアの広告と違い継続的な広告費を必要とせず、地方において海外まで情報が届きにくい特化した情報がインターネット上に残り続ける持続性も効果的である。

台湾側の参加者として今回の窓口であり通訳の高雄市駐在で熊本・高雄交流促進アドバイザーの朱(しゅう)さんと、ブロガーでありサイクリストの黄(こう)さん、それに女性ブロガーでサイクリストのLaLaさん、ブロガーでMTB女子プロライダーのペニーさんにお越しいただいた。体験するプログラムは電動アシストマウンテンバイク(MTB E-Bike)による草原ライドと、ロードバイクでの阿蘇サイクリング、それにエル・パティオ牧場での乗馬、阿蘇中岳火口近くの原野を全地形対応型車両で走る阿蘇アドベンチャートラックである。

阿蘇市では「阿蘇シェアバイク導入実証事業」という3つのタイプのE-Bikeに無料で乗れるサービスが8月から始まり11月いっぱいで終了したが、牧野ガイドからの要請があれば12月中は貸出可となっており、将来有償の観光サービスにつながる検証を目的としている。今回のMTB E-Bikeによる草原ライドはこの事業のインバウンド向けの実証でもあり、活発な火山活動が続き不安定な阿蘇観光の戦略の見直しも視野に、地理的にも火口から8キロ離れた冬季のみ利用できる町古閑牧野と、17キロ離れ年間通して利用できる下荻の草牧野をフィールドとしている。

阿蘇側の受け入れ責任者として道の駅阿蘇マネージャーの下城さん、阿蘇市担当者武城さん、ライド担当の道の駅阿蘇サイクルアドバイザーの私、中尾とトリムカンパニーさんで同行した。
来熊2日目に町古閑牧野でMTB E-Bikeによる草原ライドを体験してもらった。気温10度を切る阿蘇用にダウンジャケットとフリースをユニクロで購入され防寒対策をされていた。厳冬季用のグローブは持参されていなかったため道の駅の方で用意したが写真や動画の撮影をするために必要ないと言われた。確かに時間をかけ凝りに凝った撮影をされていた。その多くがスマホでペニーさんはGoProで動画撮影をされていた。撮られた写真を見せてもらうと「定番のいい写真」というよりも「独特の伝わる写真」という印象で3人それぞれがモデルになりカメラ目線でないものが多かった。

北外輪山のミルクロード付近の牧野は平坦な丘の上を牛の飼料として採草するが、地形の違う町古閑牧野は谷の底が採草地である。そこはなだらかな谷がいくつも連続するためMTBで走るには絶好の起伏のあるフィールドとなり、ゴルフ場のようにホールを代えながら楽しむことができる。MTBの最も楽しいのはダウンヒル、下りなので登ることが必然となってくる。この上りがMTB E-Bikeの利点でありアシストにより上りのキツさや苦労は皆無でスキー場のリフトのように谷を上ることができる。よって脚力がない初心者や女子の方でも上級者と同じコースを走れてサイクルスポーツを一緒に楽しめるユニバーサルな自転車である。
また、電動アシスト機能により自転車が重くなる分ダウンヒルは安定している。ブレーキも油圧式のディスクなので握力に関係なく軽く指で引くだけで確実に減速することができる。

トリムカンパニーの草原ライドには草原にテントを張り、そこをベースにライドしてコーヒーやランチが楽しめるプランも用意され、草原ライドをより長く別の視点から満喫することができる。ちょっと驚いたのがスノーピークに統一されたキャンプグッズに大いに感動されていたことでブランド品として台湾でもよく知られているようだった。

午前中のコーヒータイムは原則として草原は火気厳禁なので保温ポットのお湯のインスタントコーヒーだが、ケトルとシェラカップで雰囲気は十分、ゆったり寛げるローチェアの包み込まれる座り心地も相まってスノーピーク最大容量のランドステーションは撮影会場となった。(※道の駅阿蘇で貸し出すボンベ式消火器を持ち込むことを条件に牧野ガイドのみ火気の使用ができる。)

ランチは阿蘇の草原といえば放牧のあか牛ということで道の駅阿蘇でも1番人気の「2種のあか牛丼」。部位の異なるあか牛が丼に埋め尽くされ、温泉玉子を割って食べるとみなさん満面の笑顔になられた。

午後のティータイムは道の駅阿蘇用に作られた阿蘇のパン工房豆の木の「木の実の阿蘇パネトーネ」だ。イタリア・ミラノの伝統的なパンでドライフルーツやナッツ類を混ぜ込んで焼いており、本来形はドーム型だが食べにくいので横長にしたそうだ。国産小麦と阿部牧場の阿蘇ミルクを乳酸発酵させた天然酵母使用のこだわりの逸品をフィールド・ブレッド・ナイフで切って取り分けるとテーブルや椅子を持ち出して外での撮影会となった。
これと同じことを何度か取材やツアーでやってきたがピクニック気分程度でこれほどの感動はなかった。奥深い阿蘇の草原の中で、自然とのつながりを優しくするソフトなグランピング風な体験は、価値を重視するインバウンドの方にとって草原ライドが単に走るだけではなく、よりインパクトのあるアクティビティに価値を高めたようだった。

本来の草原ライドもそれぞれ大いに楽しまれたようだが、女性プロライダーのペニーさんの安定した走りは完璧で、丘のてっぺんから斜面を猛烈なスピードでスラロームしながらのダウンヒルや、マッドな上りのセクションをいとも簡単に駆け上がるテクニックはさすがプロの技、GoProの動画も迫力満点のことだろう。このようにMTBに慣れた人や激しく走りたい人は、よりアグレッシブに草原を駆け抜けスリル感溢れる走りができる。このように上級者と初心者が混在して楽しめるところがMTB E-Bikeツアーの利点である。

また、たとえ落車しても草原は柔らかいので公道のアスファルトとの危険性とは雲泥の差である。それに最大の危険な相手となる車両もなく参加者全員の安全性は高い。ライドのグランドルールの周知も簡単で、日本の交通法のコンプライアンスも必要なく、外国人を対象とするアクティビティとしてはとても適しておりターゲットとする人も幅広くなる。

3日目はロードバイクで草千里や阿蘇火口近くまで走る予定だったが寒くてちょっとだけ走って米塚、草千里、阿蘇山西駅、大観峰、北山展望所での写真撮影のみになった。やはり冬の阿蘇の寒さは厳しくロードバイクの季節ではない。

最終日はエル・パティオ牧場で乗馬体験と阿蘇火口近くの原野を走るアドベンチャートラックの体験をした。初心者の乗馬はどちらかというと静かな癒し系で馬とのふれあいには感動されていた。乗馬中は手綱と鞭を持つため写真撮影が厳禁で体験をリアルに伝えることができなかったことが少し残念だった。

阿蘇ネイチャーランドのアドベンチャートラックは、火口から2キロほど離れた山の斜面をロシア製全地形対応型車両で爆走するもので、縦横無尽の走行性と陥没箇所も急角度で走破するパワーに私たちも絶叫しっぱなしだった。

また、眺めの良いビューポイントでは運転する方が斜面を駆け上がり写真を撮ってくれるサービスはとても好感が持てたし、いい画像により告知もできたようだった。この2つの体験は小雨程度ならエントリー可能なので草原ライドと組み合わせると年間通して楽しむことができるようだ。

草原ライドでもっと寒くなると草原に積雪しスノーライドが出来るようになる。阿蘇の草原が白銀の世界となったときMTB E-Bikeは旬を迎えるのではないだろうか。その時が来たら是非取材し写真や動画で伝え、冬の阿蘇のブランディングとしてインバウンド向けにポジションを確立できるのではないかと思う。

放牧や採草、野焼きを行いながら千年という歴史の中で育てられた阿蘇の草原は「草原ガイドツアー」により今後の観光資源の発掘を秘めたものである。ガイドを伴うことにより管理された利用となり草原を保全することが可能となる。ツアー料金の一部は草原の維持管理費に企てられ草原ガイドという仕事により雇用が発生するとともに環境保全意識の向上が民間にも広がり、しいては阿蘇観光環境の向上につなげていく。また、阿蘇山の噴火活動に影響されない「安全に離れてから阿蘇を楽しむ」という阿蘇観光の狼煙でもある。このように環境・社会・経済の3つの観点から持続可能にしていくサスティナビリティが草原ガイドツアーの取り組みの目指すところである。

台湾のみなさんと3日間交流し自転車に乗れる人なら誰でも駆け抜けることができるMTB E-Bikeによる草原ライドの手ごたえは十分感じた。是非阿蘇の地へ導入していただきたいものである。すでに4か月あまり実証してきたので一過性の取り組みにはならないが、大切なことは土地に根付かせていかなければならないことだ。

私は2016年に台湾花蓮市で開催された「MAXXIS 太魯閣国際ヒルクライム」という国際的にも有名な大会に参加した。そこで感じたのはサイクル愛好家の年齢の幅の広さと女性の多さもだったが日本人ライダーに優しいことだった。大会のエイドポイントでの接待や一緒に走る選手からの声掛けも嬉しかったが、大会の前後に海岸線のサイクリングロードや街中を走っているときに、すれ違う人や食堂の人など出会った人が自転車乗りに優しくて、花蓮市の風景にとけこんだような気分になれたことだった。

以降、サイクルツーリズムの原点は、受け入れるその地の人がサイクリストを歓迎することだと思っている。そのことは私がいた2つの旅館においてスタッフによるサイクリストへのもてなしによって集客することができたことにも確証は持っている。今後はまずは台湾のみなさんと相互交流を深めながら道の駅阿蘇が草原のグランピングのような存在になり、少しでも多くの阿蘇市民を巻き込んで迎えることができればと思う。

道の駅阿蘇サイクルアドバイザー 中尾公一

 

「草原(牧野)ガイドツアー」についての詳しい内容はコチラ↓↓
https://www.aso-denku.jp/bokuyaguide/

 

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道の駅阿蘇(NPO法人ASO田園空間博物館)

TEL:0967-35-5077

HPhttp://www.aso-denku.jp/

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あかうしのあくびvol.24

 

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