~仙酔峡の震災直後と現在(いま)~

 ■仙酔峡

 
 阿蘇五岳の中腹位置する仙酔峡はミヤマキリシマの名所であり、“その花の美しさに仙人も酔う”と名付けられた名勝です。阿蘇山が噴火による溶岩流によってつくり出された壮大な景色のなかに、5万株もの花々が彩を与える様は訪れる人々の心をとらえて離しません。花々の見ごろを迎える5月上旬には「つつじ祭り」が開催され、多くの人で賑わいを見せます。

 同地の標高900mの高さに建てられたに展望台からは、阿蘇カルデラの北半分を一望できる景勝地ともなっています。

 永く訪れる人々に愛され続けてきたこの地も、熊本地震の際には周辺道路が崩落するなど大きな損害を受けています。地震から数えること3年、昨年4月の復旧まで立ち入りができない状態が続きました。

 被災直後より仙酔峡復旧工事に携わっている 阿蘇市土木部建設課の西村和幸さんにお話しを伺いました。

「地震発生のすぐ後に、道路被害が発生しているという通報を受け、担当課である阿蘇市建設課の職員と共に現場の確認に赴きましたが、国立阿蘇青少年交流の家から先の道路の被害が大きく、人、車両ともに通行は不可能と判断、ドローンによる状況確認という手段をとることとしました。結果、法面の崩落や道路の陥没など、五ケ所について甚大な被害が発生していることを確認しました。

 復旧工事のための速やかな対応をとることを心掛け、状況を詳細に確認、必要予算、工期などの査定を行った後、平成28年12月より復旧工事を開始いたしました。

 車両の通行もできない状況から工事開始であったため、麓付近の被災箇所から順に着手していくこととなりました。一番崩落の激しかった地点の工事がおおよそ完了した段階で仮設道を建設、このときからやっと最上部からも工事を行うことができるようになりました。

 工事中、多くの方々から“開通はいつ?”といった問い合わせを受けました。そのたびに皆さんが開通を待ちわびておられると痛感いたしました。工事関係者との連絡調整や現場確認など大変なことが多々ありましたし、ある程度工事完了の目途が立つと、平成31年4月に開通することが決定したので、予定通り工事を無事に完了させなくては…というプレッシャーもありました。しかし、人数不足、厳しい現場作業など、一番大変だったのは工事関係者の方々だったとも思っています。復旧工事の際には、併せて火山ガスでザビついていたガードレールも付け替えています。

 最近は火山活動が活発で、火山ガスも多く排出されています。ミヤマキリシマが火山ガスの影響を受けず無事開花することを期待しています。」

 以下では、地震直後と復旧後の様子を写真でご紹介します。

 ・一番大きく崩落した箇所


 
多くの方の尽力で見事復旧を遂げた仙酔峡、ぜひ足を運んでみてください。

 

【仙酔峡】

 住所:熊本県阿蘇市一の宮町宮地6029-1
 駐車場:あり
 トイレ:あり

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