今月より道の駅阿蘇サイクルアドバイザーに就任していただいたコルナゴ部長こと中尾公一さんに、「阿蘇牧野RIDEモニターツアー」の模様をレポートしていただきました~🚲🚲🚲
阿蘇の自然や景観を活用した阿蘇牧野(あそぼくや)ライドが、各地で推進される景観や風光明媚さを活用したサイクルツーリズムの参考になると、一般社団法人九州スポーツツーリズム推進協議会より、九州各地において様々な立場でサイクルツーリズムに取り組む行政担当者に呼びかけ「阿蘇牧野RIDEモニターツアー」が5月25日から26日の1泊2日で開催された。
25日(土)13時に道の駅阿蘇に集合し、参加者紹介・コース内容及び注意事項の説明のあと、下荻の草牧野へ移動しMTB(マウンテンバイク)にて牧野ライドを体験、その後、夕食を兼ねた意見交換会は、阿蘇を訪れる自転車乗りに人気の精肉店カルキフーズにてBBQを開催、終了後はオプション参加で星空ツアーも行われた。
26日(日)5時に道の駅阿蘇に集合し大観峰へ早朝の雲海ライド、朝食後は阿蘇でサイクルアクティビティを提供するトリムカンパニーのプログラムによりマゼノ渓谷をMTBで体験し、道の駅阿蘇で昼食のあと意見交換会をもって終了となった。
阿蘇側の受け入れは、ガイドのトリムカンパニー橋本さん安倍さん、阿蘇市武城さん、道の駅阿蘇下城さんと、6月より道の駅阿蘇サイクルアドバイザーに就任した私、中尾である。
牧野とは阿蘇の広大な草原農地を指し、牛を放牧し餌となる牧草を採取する野原のことである。その阿蘇の草原をトレッキングやMTBを楽しむ人たちに開放し有効活用しようする取り組みが一昨年より始まり、専門の講習を受けたガイド付きで立ち入ることが可能となった。ガイド料の一部は阿蘇の牧野の維持管理費に充てられる。草原を走ることによって、年々減少する草原の再生に協力できる牧野ライドは2018年12月からスタートした。
牧野には牛が放牧されており、通常立入禁止のため防疫対策上、牧野ガイドの指示のもと、靴やタイヤの石灰による消毒を必ずしなければならない。また、家畜の誤食(反芻できなくなり痩せて商品の価値がなくなる)を防ぐためレジ袋や携帯品はもってのほか、飴の包紙でさえ牧野に残さないよう厳重に注意しなくてはならない。
参加者にはレンタルのMTBのほか2台のe-bike(電動アシスト自転車)も用意した。自転車は楽しいスポーツだが、長く走ったり坂を上がったりするのが苦手の方にもe-bikeは自転車の楽しいところだけを切り取って遊ぶことができる。これからのサイクルスポーツの推進には欠かせないユニバーサルな自転車の体験も準備した。
いよいよ阿蘇くじゅう国立公園というビッグスケールなスタートラインに立つ。
前方に九重連山、後方に阿蘇五岳が屏風のように立つ絶景に参加者も緊張のほぐれ満面の笑顔になる。
スタート!
コースは初めての方でも初心者用コースだったらゆっくり走れば安全に楽しめる。上級者はスピードを上げればスリル感溢れる走りができるし、ちょっと脇道に入ると上級者のコースもあり、初級者上級者が混在して楽しめるところがこのツアーのいいところだ。
また、MTBに熟練した九州各地のサイクルショップ店長も牧野ガイドのメンバーで、専門家の意見を参考に安全にスリルを楽しめて自然を壊さないコース作りも配慮されている。
難所や面白そうなポイントに挑む前に、実力に応じてどう走ればいいかガイドがアドバイスしたり、そこをクリアしたら自然に出る満面の笑顔をガイドや仲間同士で気兼ねなく写真に撮ったりもできる。誰もいない貸し切りの山の中だからこそ、好きなことが好きな瞬間に出来るのも草原ライドの楽しさであり公道を走るサイクリングの違いでもある。
たとえコケても草原の草や柔らかい土なので、公道のアスファルトの危険度とは雲泥の差。それに当然ながら最大の危険な相手となる車両が皆無というのも参加者全員の安全性は高い。
終盤には変化に富んだコースにも慣れて、初心者の方も見違えるように悪路を走破されていた。これがMTBを楽しんでもらえた何よりの証拠でありリピートにつながる。
公道を走るサイクリングと違う点は走行時間にもある。短い距離に変化のあるポイントが多いので、短時間でも濃縮した気分になって、2~3時間走っただけでも十分楽しめるところが草原ライドのいいところだ。このようなことも滞在時間が限られる旅行者を対象としたサイクルツーリズムにMTBツアーが適した点ではないかと思う。
夕食を兼ねた交流会は道の駅阿蘇に近い精肉店カルキフーズさんの庭でのBBQだ。
道の駅阿蘇ではサイクリツーリズムの実証の試みとして、旅館型・キャンプ地のバンガロー型・ゲストハウスや公民館型と、多様なニーズに応えるべく宿泊施設を変えてきた。その際に食事付きの旅館以外ではバンガロー型はカルキフーズさんによるBBQの出張、ゲストハウスや公民館型ではカルキフーズさんの庭でBBQを行ってきた。そもそも非日常的体験を期待して来られているならば、現地の新鮮な食材を簡単な調理法で現地の人と交流しながら楽しむのもニーズとして考えられるのではないだろうか。単なるサイクリングでは魅力に欠けるし、旅行者の立場になった上で従来のサイクルツーリズムに欠けるピースを埋めていかねばならない。
キャンプ場ではなく自分の実家や親戚の家のような印象が期待度を高める。
カルキさんのBBQは一人分ずつそれぞれの部位がパックになっており、自分のペースで自分で焼いて食べる方式。これだと遠慮なく食べれるし、焼け焦げて無駄になる残飯もない。
今回は特別に地元サイクルショップ「Nao’s Base」オーナーで、阿蘇サイクルツーリズム学校「コギダス」協議会会長、そしてバイクトライアルプロライダーでもある松山直樹君が交流会の場でトライアルショーを見せてもらった。このように地元人材を生かし報酬を得る場を設けることもサイクルツーリズムの利点である。
翌朝の26日5時に道の駅阿蘇に集合し17km先の大観峰へ雲海ライドに行った。
早朝ライドは国道でも車が少なくサイクリングには絶好の時間帯である。もちろん清々しい中でのサイクリングは気持ちもいい。それに泊まらないとこの時間での参加は難しい。参加者が多くても地域の人に迷惑もかけない。ということで阿蘇におけるサイクルツーリズムは、安全な公道での早朝ライドと、草原ライドの組み合わせを基本に提案することがベストではないかと思う。
ミルクロードに通じる国道212号線の中腹にある山田展望所。
自転車で大観峰に上るには休憩ポイントでもあったが、杉やヒノキの植林で覆われ何も見えない展望所となっていた。そこで阿蘇市に働きかけたところ、ASO環境共生基金を用いた事業で樹木を伐採し従来の姿に戻してもらうことが出来た。その結果、観光客も立ち止まるようになって新たな観光スポットになった。加えて、地元の年配の方も昔の景色を懐かしんで多く立ち寄られるようになった。このようにサイクルツーリズムのスポットは、新たに作るのではなく本来の景観に戻すということで観光客と地元が共に楽しむことができる相乗効果も得ることができる。車窓からの点の視線ではなく、自転車という歩きに近い線の視線により新たなスポットを探し当ててくれるはずだ。
大観峰到着、残念ながら雲海は出なかったが、早朝の阿蘇平野の美しい景色を見ることができた。
しかし、それ以上の感動は自分の足で上って得た達成感であり、このことが何よりも忘れられない記憶になる。
早朝ライドを終え9、時に道の駅阿蘇に再び集合し、トリムカンパニーのプログラムツアーのマゼノ渓谷へ。
眩しいほどの広葉樹の新緑と草原の緑が素晴らしい。ウグイスの澄んだ鳴き声だけが響き渡る。
上りはe-bikeの強みだ。
後ろから淡々と息も上がらずに巡航速度も落ちない。
さあ、ここからダウンヒル
ガイドの橋本君が距離を空けて走ることを喚起。
最高の気分!
視界が広がるとここは気持ちがいい
そしてダウンヒルで森の中へ
このスリル感がたまらない
初心者でも十分楽しめる
e-bikeの女性も笑顔でダウンヒル
みなさん大満足で森の中を走られた。
ちょっと暑くなったのでマゼノ滝へ
浅い川に挑戦
最初はあと一歩が踏み出せなかった方も、子供の頃を思い出して無邪気に楽しまれた。
参加されたみなさん大満足の様子だった。
それぞれ体験されたことを職場に持ち帰り、健康増進、健康寿命を伸ばし病気知らずで家庭円満、しいては医療費の削減などなど自転車のもたらす効果は絶大なエコスポーツだ。自転車のイベントに参加すると、60歳代のカテゴリーは当然あるし、70代、80代の方も参加されている。これからの社会にぴったりのスポーツではないだろうか。
現在許可を得ている牧野は2箇所で、午前中の下荻の草牧野は年間通して走れるが、もう一箇所の町古閑牧野は放牧期間外の冬季に限られ、やがて許可が取れる3箇所目は年間通して利用できる。今後このように利用できる牧野を道の駅阿蘇では増やして行く予定だ。
今回利用したマゼノ渓谷はトリムカンパニーが許可を取ったコースのひとつで、季節に合わせていろいろな組み合わせで楽しめるのも阿蘇ライドの魅力だろう。
また、早朝ライドの大観峰へは持参されたロードバイクの方あったが、トリムカンパニーのプランには、大観峰でMTBに乗り換えてダウンヒルは未舗装路を走るというものや、牧野までロードで自走し、現地でMTBに乗り換え、終わったらまたロードでサイクリングを楽しむという方法も何度も検証し、実際に行われた「RIDE AID in ASO」では大好評だった。
このように管理された利用により牧野を保全しその資金も確保する。牧野ガイドという仕事により雇用が発生するとともに環境保全意識の向上が民間にも広がリ、しいては阿蘇観光環境の向上につなげていく。このように環境・社会・経済の3つの観点から持続可能にしていくサステナビリティが牧野ライドの取り組みの目指すところである。
私は過去2施設12年間の旅館業においてブログで自転車の情報を発信し多くのサイクリストに来ていただいた。そしてみなさんと接した経験から道の駅阿蘇が主催する新たな観光資源を活用するための宿泊を兼ねたサイクルツーリズムのお手伝いしてきた。
それは宿泊地を一般的な旅館・ホテルだけではなく、キャンプ場やバンガロー、ゲストハウスや公民館など、一人旅だったり、カップルやグループ、チーム合宿など、多様なニーズに応え、一過性ならないよう年間を通して土地に根付かせ、どうすれば来てもらえるかということを目的としてきた。
今回は低予算で参加できる泊食分離のゲストハウス型で、交流会を兼ねた夕食は自転車乗りがオーナーでサイクルイベントの際によく利用する地元精肉店でのBBQとし、肉類以外の飲み物やパンをなど食材は、オーナーの手配で近所の商店から用意された。このように何らかの形で地元とふれあいお金を落とす仕組みも大切で、サイクルツーリズムの第一歩はサイクルラックではなく、地域の人を巻き込むことである。そして自転車乗りが風景の一部になる地域作りを目指すことがサイクリストを歓迎する証だと思っている。
道の駅阿蘇サイクルアドバイザー
中尾公一
☆☆阿蘇アクセスルートのおススメはこちら!☆☆
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道の駅阿蘇(NPO法人ASO田園空間博物館)
TEL:0967-35-5077
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