コルナゴ部長こと中尾公一さんよりレポートをいただきました。
火口見学が可能になって初めての「阿蘇満喫ライド」の様子をご紹介します。
9月1日から1年4か月ぶりに阿蘇中岳火口の見学が再開されたので9日に試走し13日の満喫ライドで走ってきた。道の駅阿蘇から火口までの距離は16km、獲得標高が783mあり、スタートしていきなり上るのではなく、ウォーミングアップを兼ねて役犬原方面をサイクリングして、いこいの村の前から坊中線に上った。
以前に火口に行ったのは、昨年4月にインドネシアのサイクリンググループの方を案内した時以来で、その頃は草千里も阿蘇火口も多くの外国人観光客で混雑し、道路は大型バスとレンタカーで渋滞、サイクリングを楽しめる雰囲気には欠けていたが、現在はコロナ禍の影響で当然外国人は皆無で日本人観光客も、車も少なく、自転車にとってはとても走りやすい環境だった。また、新たな発見として火口駐車場から西駅・草千里方面の豪快な眺めが最高で、思わずこんな写真を撮ってみるほどテンションが上がった。
今回の参加者は7名、案内するのは私と下城さんと井上夫妻の4名で、合わせて11名のチームで道の駅阿蘇をスタートした。
道の駅阿蘇には大分や福岡から来られた自転車のグループや輪行旅の方を見かけた。走りやすい季節になったこともあるかも知れないが、自粛ムードを解いたのは「GO TO トラベルキャンペーン」の後押しが大きいのではないかと思う。
役犬原方面に向かうと稲刈りが始まっていた。阿蘇平野がいい景色になってきた。これから阿蘇サイクリングの土産は新米をすすめる。翌朝の家族の笑顔、次の阿蘇サイクリングは家族が後押ししてくれるに違いない。
平坦コースをゆっくり走ったら、「いこいの村」の前から上りが始まる。と、同時に話が途切れ、ギアの変速音が聞こえ出す。ここから坊中線に上るのは初めてだったが、斜度のあるところが数カ所あり意外と汗をかく道だった。
坊中線に出ると開けた草原の景色に歓声が上がる。
草原の先には阿蘇平野と外輪山、遠くには九重連山も霞んで見える。
草原では馬の放牧を多く見ることができる。親子連れの仔馬の姿は阿蘇でも珍しい光景だ。
あか牛も親子連れをよく見かけた。
農家の方が草原の草だけでは得られない飼料や塩分となる味噌を食べさせに来られていた。
高岳の頂上は雲の中
暑くもなく、寒くもなく、牛や馬の親子の姿、ススキもちょっと見えだして、坊中線は今が一番の自転車の季節ではないだろうか。
草千里展望所到着、火口に行けることを思えば、ここの景色は薄れてきたような、贅沢過ぎる感想。
草千里を過ぎてヘリポート前には、阿蘇ネイチャーランドのアドベンチャートラックに乗って原野を走り小高い山に上ることができる。わたしが乗ったのは台湾の方との体験と、娘と孫と3人で乗った2回、外国の方はもちろん、30代の娘もはしゃいでいたし、わたしもロシア製全地形対応の水陸両用車「TINGER」の威力には圧倒された。原野の凹凸や、あり得ない斜度を走破するパワーであっという間に100m上ると、そこには火口を見下ろす絶景!
絶叫から絶景へ、真逆の展開に静かに感動、ただし安心してはいけない。次は下りが待っている・・・運転される方はフォトポイントに熟知されているので見事な写真も自慢できる。
これは是非一度体験すべき!
予約はここから
http://www.aso.ne.jp/~natureland/truck/
阿蘇山西駅に到着、ここから有料の阿蘇公園道路で1.4km先の火口を目指す。
運行料は車が800円、バイクが200円、自転車は無料。
火口へは車、バイク、自転車、遊歩道を歩いても行けるし、シャトルバスも運行している。
左側最前列の席はくまモン専用。この日はマスク着用だった。
ここでも体温チェック
これが公園道路
最高斜度は18%
火口到着、自転車を停めるところは現在案内はされていないが、以前指定されていた簡易トイレの横に停めよう。ロープウェイの建物は取り壊されて壁面だけが残っている。
「これから先自転車乗り入れ禁止」の看板は以前もあったが、新たに「ソーシャルディスタンス」の看板が加わっていた。火の国橋は噴火で壊れてその横に作られた道で火口へ渡る。
噴火で飛んできた巨大な岩石
以前はこうだった避難壕が・・・
痛々しい姿になっていた。
火口は白い噴煙で中を見ることはできなかった。
景色では火口より感動するのが駐車場の奥からの展望だ。
上ってきた公園道路の先に西駅、坊中線を辿っていくと右奥には草千里の施設、雄大な景色が一望できる。
これが今、阿蘇で一番の展望スポットじゃないだろうか。
最高!
火口から豪快なダウンヒルが堪能できるが自分のペースで安全に下ろう。
南阿蘇の小池水源まで15kmのダウンヒルだ。
途中、800mの火の山トンネルがあるので火口を出るときに前後のライトを点灯しよう。
南阿蘇を一望できる吉田線の絶景ポイント、ここから国道325号を突っ切り、次の信号も突っ切ったどん詰まりのロータリーの横が小池水源だ。
小池水源到着
水底から滾々と湧き出す冷たい名水、白川水源のような喧騒もなく、誰もいない静かな水源は自転車乗りにおすすめだ。この先に道はなく南阿蘇鉄道の駅舎のような建物には鍵がかかっているがトイレは使える。以前来たときは、ちょうどトロッコ列車が目の前をゆっくりと通っていった。運行は土日祝と春休み・GW、夏休みの期間のみ、高森駅から中松駅の片道25分を1日4往復している。トロッコ列車遭遇の昼頃の時間帯は、高森駅11時45分発、もしくは13時30分発、中松駅12時15分発あたりだろう。
そば花を見ながら、南阿蘇の田園地帯を抜けて、南阿蘇村役場の先にある天然酵母パンの「パンダイゴ」を目指す。
幹線道路から外れたところにあるので場所は分かりづらい。住宅地の坂を少し上ると広い庭があり自転車の置き場も迷わない。静かで眺めのいいパン屋で自転車乗りの補給にはおすすめだ。
ここの熊本震災で大きな被害を受け500日間休業しこの新店舗で営業再開したそうだ。地元の食材を包んだパンや、あっさりした塩パン系、それにボリュームあるサルシッチャ風のパンまで選択肢が広い感じだった。南阿蘇にはパン屋が多いが天然水に含まれているからだろう。
店の外にはテラス席もあって自転車乗りには快適そのもの、極めつけはご主人がたっぷりの氷が入った天然水を大きなピッチャーで持って来てくれて、美味しくいただき残った水と氷はボトルの補給となった。
最後に東海大学阿蘇キャンパス近くから架け替え工事中の新阿蘇大橋、国道57号の南側迂回路となる長陽大橋、南阿蘇鉄道の鉄橋を眺め、その先には熊本市内、そして金峰山まで見えた。
見下ろすと地震で崩れた谷底には、阿蘇谷を流れてきた火山灰を含む濁水の黒川が白波を立てていた。新阿蘇大橋の600m上流にあった阿蘇大橋は山からの土砂で崩壊したと言われていたが、実は橋の真下に断層があり、橋の両側から力が加わり、はじけて落ちたと震災遺構となった東海大阿蘇キャンパスをこのライドで見学した際にガイドの方からお聞きした。
新阿蘇大橋の下は断層が存在するということで、地盤がずれる前提で建設され、橋脚と橋桁の接合部を外れやすくして落橋を防ぐ構造になっている。将来再発するその衝撃にも耐えられる設計となっているというから日本の技術は半端ない。
右側の山の斜面に目をやると8月8日に開通した豊肥線を2両編成の昔ながらの普通列車が通って行った。鉄とコンクリートの巨大な工事現場と地震のままの荒々しい谷底、そこにゆっくり走るディーゼル列車は人の温もりを感じることができた。来月のライドは立野駅からもう一度輪行し車窓からこの景色を眺めてみよう。
赤水からは阿蘇平野の真ん中を通る5kmの一直線の農免道路で、走り足らない人のために少しスピードを上げた。半数以上が付いて来られたのでもっと加速した。それでも喘ぎ声がすぐ近くから聞こえるので特に40kmで巡行して「案内」を忘れ、個人的なインターバル練になった。あとで聞くと気持ち良かったというから次回からは定番にしようかとも思う。
阿蘇中岳火口見学は再開されたが、火山ガスの量と風向きにより立入禁止になったり、突然退去しなくてはならない場合もある。火山は生き物なので期待して行っても門前払いになることは知っておかねばならない。
また、「立ち入り再開」とは単なる人が決めたことなので、天気予報ですら外れるのに地下のことが確実にわかるわけないと思っていたがいい。要は急に噴火する可能性があるということで、そのリスクを承知の上で火口に近づくべきである。
比較すべきものでもないが事故の確率が高いのは誰が考えても自転車に乗っているときである。特に下りには危険が満ちている。小石を踏んでも1㎝スリップしても落車である。そのためにも自分の技量に応じて減速することと、自転車の点検、それとヘルメット自体の安全性と正しい装着の仕方が大切である。また、事故後の対応も重要で街中と違い山には救急車両が来る時間も長くなる。
阿蘇地域におけるサイクルスポーツはいつも走っているが発見と感動の連続で奥が深い。これからも旬の魅力が体験できるところを紹介していこうと思っている。ご一緒したいという方は気軽にどうぞ、ただし万全の装備で阿蘇を走ることを忘れずに、そうすることが常に安全への習慣となれば幸いだ。
☆☆阿蘇アクセスルートのおススメはこちら!☆☆
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TEL:0967-35-5077
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