阿蘇サイクルツーリズム学校「コギダス」は台湾の高雄市国際サイクルツーリズム促進協会(台湾)とサイクルツーリズム推進にかかわる包括協定を結びました。本来ならば昨年春にお互いの代表者がお互いの地を訪問して終結する予定でしたが、コロナの影響で延期となっていました。熊本から高雄までは直行便で約2時間30分、国境を越えてサイクルツーリズが益々盛んになりそうです。それではレポートをお楽しみください。
阿蘇サイクルツーリズム学校「コギダス」と高雄市国際サイクルツーリズム促進協会(台湾)は、相互に連携強化を図ることで地域に根付いたサイクルツーリズムの発展及び地域の活性化を推進することを目的に、2021年6月10日協定が締結されました。協定書を手にするのは高雄市国際サイクルツーリズム促進協会の楊忠原理事長。
こちらは阿蘇サイクルツーリズム学校コギダス協議会の松山直樹会長。本来は昨年春にそれぞれの代表者がお互いの地を訪問し、一緒にサイクリングをして締結する予定だったそうですが、コロナ禍のなかPDFでのやり取りになりました。撮影されたのは両代表とも自身のサイクルショップです。
連携事項としては、観光やブランド振興・文化、地産地消・他産他消や食育、自然環境の保全や生活環境対策、サイクルツーリズムコンテンツ開発、サイクリスト及び観光誘客、地域社会の活性化になります。
2013年には熊本県・熊本市・高雄市の3者で国際交流促進覚書を締結し、物産展の開催、マラソン交流などを実施、2014年には定期便が就航するようになり、2017年には「熊本県・熊本市・高雄市友好交流協定」が締結されています。
現在、熊本と高雄の直行便は運休していますが、飛行時間が2時間30分という利便性と、世界最大の自転車メーカーがあり、自転車王国といわれる台湾はサイクリスト人口も多いことから、草原をフィールドとして商品化した草原MTB・E-MTBライドや、特徴的なカルデラを走る阿蘇サイクリングによる誘致を2019年7月からコギダスの事業として道の駅阿蘇が取り組んできました。しかし、コロナの影響により包括協定が止まったままでしたが、双方のサイクリストの熱意により今回の運びとなりました。
左から道の駅阿蘇の下城さん、高雄市国際サイクルツーリズム促進協会の楊理事長、わたくし中尾です。
2019年12月に高雄市のサイクルブロガーやMTBプロライダーの方に阿蘇へ訪問してもらい、翌年1月には阿蘇市観光課の武城さん、道の駅阿蘇の下城さん、それに私の3人で高雄市と台南市を訪問し、阿蘇市のプレゼンと阿蘇に来られたみなさんの体験を自分たちで撮られた動画や写真を使ってプレゼンしてもらいました。
また、高雄市国際サイクルツーリズム促進協会のみなさんや、台南市のサイクリストのみなさんと2日間一緒にサイクリングして、自転車乗りの特権である「一度走ればお友達」の関係を築くことができました。
この模様を簡単に紹介しますが、詳しくは道の駅阿蘇のホームページや、ブログに書きましたのでリンクをご覧ください。最後に台湾の東部の花蓮市の太魯閣国立公園を舞台に行なわれる、海抜0mから3275mまで88.83km駆け上がる世界的にも有名な「太魯閣国際ヒルクライム」に2016年に遠征しましたのでこちらも合わせて紹介します。
2019年12月の寒い阿蘇に招いた理由は冬が旬の草原ライド、運が良ければ雪原となった草原を走るスノーライドでしたが、残念ながら雪は降りませんでした。左がブロガーでサイクリストのララさん、隣がブロガーでMTB女子プロライダーのペニーさん。ご覧の通り2人とも絵になる配置と表情にこだわって体験したくなるような写真や動画を撮られました。
中央がブロガーでサイクリストの黄さん。日本語も少し話せてまとめ役のような存在でした。この3名の方に阿蘇へお越しいただきました。
小雨でも可能なアクティビティも体験してもらいました。阿蘇ネイチャーランドのアドベンチャートラックと、エル・パティオ牧場の乗馬も絶賛されていました。特にアドベンチャートラックを運転される方の応対が良く高く評価されていました。
左側の方が今回の窓口であり、通訳の高雄市駐在で熊本・高雄交流促進アドバイザーの朱さんです。相互交流のスケジュールから訪問先の選定、訪問の際の土産の交換のマナーまですべてコーディネートしていただきました。ちなみに日本の歴史が好きで特に江戸時代に詳しく参勤交代の知識には驚きました。
3名のみなさんをサポートしながら阿蘇を一緒に走ったのは多いときで6名でした。ところが台湾に行って驚いたのが、サイクリングの際に集まった方の多さでした。朱さんから「明日の朝は9時にホテルの玄関前に集合してサイクリングに行きます」と言われましたが、まさかこんなことになろうとは・・・
翌朝玄関に行くとこの人数!
何事かと思いましたね。この日は土曜だったので学校が休みなのでしょう、子供さんも参加されていましたし、女性の方や年配の方も多くいらっしゃいました。自転車愛好家の層の広さを感じました。
自転車はレンタルでお願いしたので身長を聞かれていました。そこで用意されていたのは、DIZOフルカーボン製S6-egoの新車。このメーカーはハイエンドモデルのLookやBianchiのOEMも手掛けており、翌々日にDIZO社訪問になっていました。一般的なレンタサイクルと思って普通に使い込まれた入門機種かと思っていましたので2度の驚きでした。
プレゼンには主に一緒に走ったメンバーが参加され、会場設営や資料配布などは、すべて高雄市国際サイクルツーリズム促進協会のみなさんにしていただきました。
高雄市国際サイクルツーリズム促進協会副理事の徐さんの巧みな司会によりテンポよく進行し、阿蘇市のあとにララさんと黄さんがファムトリップでの体験を写真と動画で説明されました。
プロライダーのペニーさんは、この日レースのため参加できませんでしたが、事前に徐さんがインタビュー形式の動画を撮られており、MTBプロライダーと女性の視点から阿蘇の魅力を伝えられました。トークも上手でしたが有名な選手なのでしょう、参加された方は集中して聞かれていました。
プレゼンは高雄市と台南市で2日間行い充実したPRができたように思います。質疑応答は多くの方が手を上げられ強い興味をもたれているようでした。なかでも草原のスノーライドと放牧の牛、それに馬刺しに大きな反響がありました。
高雄市・台南市のサイクリングの魅力について説明しましょう。
まず、季節に関してですが訪問したのが1月末から2月に掛けての日本では厳冬期になりますが、ご覧の通り右側の下城さんは半袖ジャージで、隣の寒がりな私は長袖ジャージを着ています。この時期台湾は短い冬季になり平均気温は18度くらいでしょうか、台湾南部の高雄・台南の気候は熱帯気候ですが、蒸し暑くもなく走るには快適でした。なので台湾遠征をするには、日本では寒くて走れないこの時期に訪ねるのがおすすめかも知れません。
道路状況については、街中を外れると素晴らしいサイクリングロードがあり、子供さんから年配の方まで多くの方が楽しんでいらっしゃいました。自転車でフェリーに乗って島に渡る際もとても便利で、観光地に行っても「自転車通行禁止」の看板や表示は今回の遠征では見かけませんでした。
また、台湾名物ともいえるスクーターが集団で走っていますが、大きな道では専用の枠があり普通に走ることができました。このようなことから、さすが自転車王国という自転車に対する環境の良さを感じました。
台湾の魅力といえば食事でしょう。私は激辛というイメージがありましたが、台湾南部に辛い料理は少ないようでした。それより海鮮料理が抜群に安くて美味しく、市場に行けば南国フルーツがこの時期でも多くありました。
ホテルだと料理を取り分けるための円卓に回転テーブルが一般的のようです。
味は日本人に全く違和感がなく美味しくいただけました。
地元の人と一緒だと街の人気店での食事も台湾の魅力でしょう。こちらは山羊料理専門店ですが、ララさんや徐さんなど女性にも人気のようです。注文はテーブルにメニューを書いたメモ用紙がありますので、注文する品に数字を入れて店の人に渡します。当然、日本語も英語も全く通じませんし、どれがお勧めなのか分かりませんので、地元の方がいると助かります。「黄さん、お世話になりました!」
朝食は地元の人が通う豆漿(トウジャン)の人気店「寛來順」が美味しいと案内してもらいました。豆漿は台湾グルメには外せない逸品のようです。豆乳に酢や塩分を入れたもので、見た目は茶碗蒸しのくずれた感じの優しい料理です。揚げパンなど浸して店の前に用意されたテーブル席でいただきます。小籠包専門店にも案合してもらいましたが本場の味には感動するばかりでした。自転車乗りは朝食が大事ですから地元の人がいるとこのような体験をすることができます。
DIZO社訪問ではカーボンフレームの工場見学もさせてもらいました。当然ながら写真は不可でしたがLookの製造ラインは貴重なものでした。手先の器用さを必要とする熟練工の作業風景や、開発スタッフから生産におけるこだわりの話を聞くと、世界でも一流のブランドを手がけるDIZOフレームのコスパとクオリティの高さは魅力的でした。日本ではあまり知られたブランドではないようですが、完成車も日本で販売されていますので有望なメーカーではないかと思いました。
2日目のサイクリングは、その後に企業訪問した商社「SYB昇陽自転車」から提供されたものでした。私と武城さんはARGON18 GALLUM PRO DISK・ホイールはVision55・コンポはSRAM FORCE、下城さんはARGON18 NITROGEN DISCでコンポは何とSRAM RED ETAPという驚きの高級バイクでした。この商社は台湾でOEMにより製造されるブランドの自転車を、主に中国本土や日本に輸出されており、チームメンバーにARGON18が多いことや、サポートカーにも大きくブランド名がデザインされておりARGON18に力を入れている感じでした。
世界最大の自転車メーカーであるGIANTやMERIDAの存在や、近年有名ブランドも生産拠点のほとんどを台湾にシフトしていることも、本場を見るという意味で自転車乗りが台湾を訪ねる魅力になるのではないかと感じました。
以上が自転車乗りの視点から台湾の魅力でした。熊本から直行便が飛ぶようになりましたらすぐにでも訪ねたい気分になります。ただし、このようなことを目的として行くには、案内していただく方がいないと、走りたいところを探すのが大変ですし、滞在時間を無駄にすることは明らかです。台湾の方が阿蘇に来られても同じことですので、台湾と日本の自転車乗りが相互に交流する意味がでてくるのではないかと思います。
最後に「世界一過酷なヒルクライム」、「最も厳しく、最も美しいヒルクライムレース」などと呼ばれる「太魯閣国際ヒルクライム2016」に参加しましたので紹介します。詳しくはこちらもブログのリンクからご覧ください。
海抜0mから3275mまでを88km駆け上がる過酷なサイクルイベントに行ったきっかけですが、そもそも私の自転車の志向としてレースにおいては、完走を目指すとか、昨年の成績を維持する、もしくは上回るというのが目標です。特にツール・ド・沖縄100kmを完走するのが年間目標にしています。
あと遠征というのが好きで「一度体験してみたい」という興味はいつも持っていましたので、「世界一厳しいヒルクライム」というフレーズに惹かれていました。そこでタイミングよく水曜会の上原さんに誘ってもらって行くことができました。いつもながら背中を押してくれた自転車仲間には感謝しかありません。
太魯閣はすべて旅行社が手配してくれるツアーもありますが、日本人に優しい国でもあるしすべて個人手配で行きました。列車やバスの輪行はありますが、宿に着いてみればちょっとした達成感もありますし遠征費を抑えることができます。旅行を兼ねた高雄市などのサイクリングは案内してくれる人がいないと無理ですが、サイクルイベントは現地に行きさえすれば何とかなります。また、太魯閣は日本人も多くエントリーされていますので手厚くサポートされています。
帰国してブログを書いたときの大会の感想としては、
「事前情報によるとハードルが高そうでしたが、マイペースで完走を目的に走ってみると、天候にも恵まれたこともあり最後は厳しいですが普通のサイクルマラソンでした。海外の近場で気軽にエントリーできるおすすめの大会だと感じましたね。受付・ブリーフィング会場となるホテルに泊まりましたがすぐ前の海外沿いのサイクリングロードはハワイみたいで最高でした。」
大会結果です。
インターナショナルクラス〈フルコース〉
標高ゼロから3,275m 距離88.83Km
140位 〈参加732人、完走504人〉
50歳代クラス
5位〈参加85人、完走50人〉
タイム6時間22分54秒
とは言えゴール直後の感想はこうでした。
「3000m超えてからの激坂区間は凄かった。空気は薄く、気温が低くなり、左膝に違和感、吐き気もしてきた。最大27%のところは前輪が浮いて2回足をついた。でも前を見てペダルを踏み続けた。走り続けられたのは圧倒的な3000m級の山々の景色だった。雲の上を走っていたらけっこうな下りになった。せっかく上ってきたのにまた延々とした坂。沿道の人からの変な日本語だが応援に励まされた。やっとのことでもう走らないでいいゴールが見えた。二度と来ないとそのとき思った。」
そして帰りのバスでは、
「でも、今はその気持ちが薄れてしまった。武嶺で笑えて嬉しい。」
どれが本当なのでしょうかね。
ホテルの前の海岸線にはこんなサイクリングロードがありました。まるでハワイのような雰囲気で凄く心地よく走ることができました。過酷な山岳コースと真逆の楽しみは台湾ライドの魅力かも知れません。
ゴールするとほとんど同時に最初の写真の完走賞を渡されたのは驚きでした。それを可能にするのは、このヘルメットのゼッケンシールと自転車のハンドルに結束バンドでつけたゼッケンシールがセンサーになっているからです。スタート地点のポールとゴール地点のポールを通過することでスタート時間とゴールの時間、それに走行時間がゴールした瞬間に印刷されるわけです。もちろんゼッケンは返却する必要もありません。通常ならジャージの背中のデザインが見えなくするゼッケンを安全ピンで貼る面倒なこともないこのスマートさ、さすが自転車王国でした。
最後に当時の感想です。
「海外の大会はとても新鮮なものでな貴重な経験となった。細々した手間のかかる問題も多かったが、その「面倒なこと」は奥深い面白さでもあり、ひとつひとつ解決すると実に楽しいものだった。この歳になって、やればできるという挑戦は海外にしか残っていないような。欧州など遠い国までの度胸と予算は持ち合わせないが、石垣島まで270kmと日本に近い親日の台湾だったら誰でも楽しむことができると思う。日本にはない安くて美味しい料理や南国の島の風景、記憶に刻まれるサイクリングコース、そして台湾のイメージを覆す自然豊かな花蓮市で開催される日本人ウエルカムの太魯閣国際ヒルクライム レース、インバウンド戦略たる台湾サイクリング事情を探りに行ったのに、とりこになって帰ってきた。」
欧州には行けないと思っていましたが翌年イタリアに行けました。やればできるということです。自由に海外に行けるようになりましたら是非みなさんも挑戦してください。
台湾高雄市から阿蘇ファムトリップツアー
http://kikuchinokoto.blog88.fc2.com/blog-entry-1945.html
台湾高雄市サイクルPR事業(1)
http://kikuchinokoto.blog88.fc2.com/blog-entry-1954.html
台湾高雄市サイクルPR事業(2)
http://kikuchinokoto.blog88.fc2.com/blog-entry-1955.html
台湾高雄市サイクルPR事業(3)最終
http://kikuchinokoto.blog88.fc2.com/blog-entry-1956.html
太魯閣ヒルクライムレース(1)
コルナゴ部長の阿蘇天空の旅 太魯閣国際ヒルクライム 其の一 (fc2.com)
太魯閣ヒルクライムレース(2)
コルナゴ部長の阿蘇天空の旅 太魯閣国際ヒルクライム レース結果 (fc2.com)
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道の駅阿蘇(NPO法人ASO田園空間博物館)
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