コルナゴ部長こと中尾公一さんから「夏の終わりのサイクルツーリズムの取り組み」についてレポートが届きました。今回は夏の阿蘇山の自然を走る楽しさをお伝えします。マウンテンバイクに乗り親子で体感するモニターツアーのご報告も!阿蘇のサイクルツーリズムはコロナ禍でも前に進んでおります。どうぞお楽しみください。
コロナ禍のなか夏のサイクルイベント等はすべて中止しましたが、8月後半に取り組んだ阿蘇サイクルツーリズムについて紹介します。
2020年秋から取材が始まり、2022年春に発売される八重洲出版のムック本、「ニッポンのじてんしゃ旅」シリーズ7冊目になる阿蘇特集号の最後の取材を終えました。宿泊施設や食事処、それに峠道や林道、そして表紙飾る写真撮影が5日間かけて行われました。
林道の撮影は根子岳と高岳の鞍部を通って阿蘇谷と南郷谷を結ぶ九州自然歩道の日ノ尾峠です。この峠道は車社会になる以前の古道で阿蘇山を横断して宮地と高森を結ぶ大切な生活道でした。しかし、車が普及すると使われなくなり、握りこぶし大の石や土砂、堆積した木の葉や枝により狭い道は荒れ、改修もされないことから車やバイクはほとんど通らず、逆に自転車乗りには安心してグラベルを楽しめる道になります。
もうひとつの林道は、ミルクロードを菊池方面に下り、菊池渓谷の先にある念仏橋手前から菊池人吉林道を通り、四季の里旭志からミルクロードを結ぶヒルクライム向けの鞍岳林道になります。ここは登山する人の車が多少通りますが、頂上を過ぎた阿蘇側はフラットな牧場の中の道になり、あまり知られていないルートになります。撮影は広大さを出すためドローンが使われました。
林道の上り口にある四季の里旭志は、九州を代表する登山用品店の老舗「シェルパ」さんが今年4月から指定管理者になり、リニューアルされてキャンプ場も見違えるようになっています。オーナーの阿南さんはサイクルスポーツにもよく理解されている方で、九重連山の登山口の長者原に新たに営業された「SHERPA KUJU BASE」とも今後連携を取りたいと思っています。
阿蘇山上ターミナルから火口に続く阿蘇山公園道路では陽が差さず、早朝を諦め午後から2時間ほど粘ってやっと撮影することができました。ここは秋や春にも撮られていましたが、やはり夏の写真がこの道に相応しいと納得の写真が撮れました。
表紙の候補になったミルクロードの撮影ポイントは、鞍岳無線中継所の先の電波塔から二重の峠方面に下ると、車帰風力発電所の風車3基と、俵山の阿蘇にしはらウィンドファームの風車10基が重なるように見えるところをドローンで撮影しこちらもいい写真が撮れたようでした。
外輪山の縁を縫う道の先に風車が13基、まだあまり使われたことがない写真になると思います。ここのダウンヒルは豪快の一言、目の前に広がる絶景が次々に飛び込んできて、叫びたくなるような感動があります。
大観峰の上り口にある212号沿いの「はな阿蘇美」は、阿部牧場さんが指定管理者になり今年の7月15日から「ASO MILK FACTORY」としてカフェと物販部門を開業されています。10月にはレストランとチーズ工場を加えて正式オープンされるそうで阿蘇ライドの定番スポットになりそうです。取材では「ASO MILK」の牛乳を使ったバウムクーヘンにソフトが乗ったバウムソフトとジェラートを紹介しています。
次にサイクリングとお菓子教室をミックスした「キッチンライド」がゲストハウス「阿蘇の森」で開催され、サイクリングガイドとして参加してきました。前回は「キッチンライド」を阿蘇サイクルツーリズムのプログラムとして企画する一員として体験しましたが、今回はモニター募集したお子様連れの2家族を、お菓子作りの材料となるブルーベリー畑までe-MTBで収穫に行く案内を担当しました。
今回の内容は、ブリーフィングのあとe-MTBの乗り方教室、ブルーベリー畑へサイクリング、収穫、阿蘇の森へサイクリング、お菓子教室、試食を兼ねて意見交換後に解散という流れです。
e-MTBのサイクリング教室は、操作方法と乗り方を説明して阿蘇の森の敷地内を試走しました。大人の方はいつものようにすぐ慣れられたものの、子供さんの一人が最近自転車に乗っていなくて自転車の乗り方から始まりました。
自転車が苦手な子供さんの諦めずに練習する姿に、何とか乗れるようにしてあげたいという気持ちになりました。自転車は買ったものの自転車通学は諦めたとお母さんから伺いました。
何度も周回を重ねて乗れるようになり畑までのサイクリングをスタートしました。
本塚近くにある小笠原さんの有機JASマーク認証のブルーベリー畑で収穫します。こちらは農薬や化学肥料を使われていないので子供さんも安心です。お菓子作りに使うブルーベリーは事前に用意されており、畑ではブルーベリーが食べ放題でお土産用は販売になります。
小笠原さんのブルーベリーは道の駅阿蘇で販売されています。
暑いし、虫もいますが、子供さんは大喜びでした。
収穫が終わると料理教室です。
今回はブルーベリーと阿蘇天然アイスさんのベルギーチョコアイスでパフェ作りになります。料理の模様は前回紹介しましたのでここでは省略します。
完成!
ブル―ベリーを潰して、計量されたいろんなものを足して混ぜていく工程は楽しいものです。段々とパフェらしくなってくると食欲もグッと増して集中力が高まります。
「キッチンライド」を主宰する清田あづささんが、自転車が趣味のフランス洋菓子の先生なのでこのイベントを企画されています。道の駅阿蘇で販売されている阿蘇の食材を使ったお菓子教室と、メインの素材を収穫に行くサイクリングの組み合わせは子供さんにも大好評でした。
お菓子作りは食育に最適でしょう。火を使うことがありませんので安全です。素材を潰す、かき混ぜる、電動ミニクリーマーは大人でも楽しいものです。作ることで学ぶ食育以外にも余ったブルーベリーは、清田さんがシロップ漬けやジャムにしてお土産に渡されます。食材を無駄にしない「もったいない」という考えの食育も大切なことだと思います。
サイクリングにおいては車道の右側を走る子供さんや中学生高校生を見かけます。サイクルスポーツは、「走る」、「停まる」、「曲がる」の他にも、「周囲をよく見て人や車の動きを想定する」、「自分の存在を知らせる」ことが安全の基本にありますので、私たちが教える自転車教室は自転車事故の確率を大幅に下げてくれると思います。
今回、自転車が苦手で自転車通学を断念した子供さんが諦めずに真剣に練習に取り組まれた理由は、「ブルーベリーの畑に収穫に行ってパフェを作る」というマストな目標があったからでしょう。そんな明確な目標を持つことの大切さをあらためて知ることになりました。。
最後に一番気に入っている阿蘇ライドのコースを、坂が苦手な女性やシニアと、坂好きな男性と一緒にライドして退屈しないか、それと川を渡るために堰堤を走る感想を聞きたくて試走してもらいました。
私は阿蘇でグループライドする際に車の多いところ、特にトラックなど大型車両が通行する57号と南阿蘇の325号の片側1車線の国道は極力避けたコースを走ります。理由は私たちを追い越す際に大型トラックは加速が弱いため対向車があると追い越せないので渋滞の原因になることです。趣味としてサイクリングしているので、あえてそのようなところは通る必要はありませんし、私たちも楽しくはありません。
よって基本は交通量の少ない道や農道や牧野道などです。そして、走りやすく眺めのいい阿蘇らしいところを繋いでコースを作ります。また、阿蘇山の噴煙があるときには、降灰(阿蘇ではヨナ)を避けるため風上側や、状況によっては火口から離れたコースを選びます。また、阿蘇は木々がない吹きっさらしのところが多く、風の強い日や真夏などは影響を受けにくいところを走ります。阿蘇といえば長い峠道の宝庫ですが一緒に走る方の体力に合わせてコースを選びますが、私が月2回開催する阿蘇満喫ライドは距離70km・獲得標高1200m程度を壁にしています。
道の駅阿蘇をスタートして(ストラバのスイッチ入れるのを忘れていたので少し空白になっています)コースは反時計回りで坊中線を上って赤水線を下ります。猿まわし劇場の先から149号に左折し、南阿蘇橋から新阿蘇大橋を眺めてファミマ長陽店を右折し、パンダイゴでランチ、これからは説明困難な道を繋いで南阿蘇鉄道の阿蘇白川駅へ、そこからがポイントの堰堤を渡って見晴台駅、高森駅から265号で箱石峠、町古閑牧野展望所から帰るルートになります。
坊中線の上りは交通量がやや多いですが10時まではそこまで多くはありません。午後は16時以降少なくなります。最も阿蘇らしい景観が楽しめて何度走っても飽きることはありません。
熊本震災の記憶を蘇らせる新阿蘇大橋付近は南阿蘇橋からの眺めが素晴らしいです。駐車場から遠いので貸し切りの展望スポットになります。
少し早かったですがパンダイゴで補給を兼ねたランチです。この日はいつも食べるテラスに先客がいたので芝生の庭の木陰にしました。ご主人は自転車乗りに優しく、必ず氷入りの美味しい水をピッチャーでサービスしてくれます。サイクルラックがありトイレの利用も、ボトル補給も出来るスペシャルなエイドポイントです。
南阿蘇の農道です。たまに軽トラックが通る程度でほとんど車は通りません。
南阿蘇鉄道の阿蘇白川駅
定番の風景となりました。トロッコ列車と駅舎カフェ「75thST」のお母さん、それに「駅長犬」の見送りです。
ではいよいよ堰堤の川渡りです。
思わず少年少女の歓声!
車も通る堰堤です。
ここから200mのグラベルになります。軽い砂利ですので高価なホイールでもそんなに気にならないと思います。
見晴台駅は男女年齢に関係なく喜ばれます。女性の方は午後の紅茶のCMの上白石萌歌さんのポーズで写真を撮られます。どうせ撮るならいろんなポーズと表情に挑戦したいものです。
高森のマルキチ醬油さんで醤油モナカアイスをいただきました。
店の方から「いつもありがとうございます」と挨拶されました。そういえばパンダイゴさんからは「いつもより早いですね」と、顧客感がちょっと嬉しくなりましたね。
高森駅ではワンピースのフランキー像で写真を撮って265号で箱石峠を目指します。
月廻り温泉の先からは帰るルートとして、小倉原牧野コースも、日ノ尾峠コース、箱石峠コースの3つがあります。今回は町古閑牧野展望所からの眺めを見せたかったのでそのまま265号を進む箱石峠コースにしました。
町古閑牧野展望所の絶景を眺めて箱石峠の豪快なダウンヒルを楽しんで帰りました。
今回の試走に置いて男性の早い方は、峠を上ったら遅れた方のところまで下り、また上り返して走り足らなさを補われて退屈されることはないようでした。堰堤はみなさん感激に近い満足をされていました。少年少女に戻れるスポットだと確信しました。
コースのまとめとして、放牧の牛や馬がいる坊中線の上りと赤水線の気持ちいいダウンヒル、熊本地震を想い起す新阿蘇大橋からの眺望、人数に関係なく待たずにサクッと補給できるパンダイゴ、南阿蘇らしいのんびりした農道と南阿蘇鉄道の駅舎、明治創業の醤油さんのアイス、最後に阿蘇谷に帰る選べる3つのルートがあり、道の駅阿蘇から阿蘇山を一周するコースとしては一押しのルートではないかと思います。
最後にせっかく景色のいい所に来たら普通の写真だけではなく撮り方やポーズなど若い方から学びたいものです。今回は少しまだ「恥じらい」がありましたのでソフトな感じになっています。
こういう振り向きポーズや
後ろ姿
斜めですが
ひとりづつカメラ目線が面白いです。
これはスマホのポートレートモードで撮ったもので背景がボケて被写体を際立たせた写真を撮影できます。
記憶が最近怪しい両脇各62歳、走るだけでなく記録に残る写真撮影もサイクリングの魅力です。自分の殻に閉じこもらずに自転車の時くらい思いっきり弾けましょう。以上、コロナを吹き飛ばす今回の試走のまとめでした。
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道路情報や店舗情報など道の駅阿蘇Facebook、道の駅阿蘇ホームページでもお知らせしておりますのでご活用下さい。
道の駅阿蘇(NPO法人ASO田園空間博物館)
TEL:0967-35-5077
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