みなさん、こんにちは。今回のコルナゴ部長のサイクリング記事は、晩秋のすばらしい風景と、紅葉の絨毯を駆け抜ける秋サイクリングのレポートです。この時期ならではの景色に、心も体もあったかくなりました(#^.^#)それではどうぞ~~♪
今月中旬の自転車を活用した取り組みとして、サイクルガイド養成講座とパナソニックサイクルテックと共催のE-MTB試乗会、そして11月2回目の阿蘇満喫モニターライドを開催したので紹介する。
阿蘇サイクルツーリズム学校「コギダス」協議会主催による2回目のサイクルガイド養成講座を受講してきた。講師はサイクリングツアー・スキーツアーコンシュルジュの高橋幸博さんで、牧野ガイドに焦点を当てた座学と実走によってスキルアップを図ることを目的にした2日間の講座だった。
高橋さんは北海道ニセコ地区で閑散期となるシーズンにサイクルツーリズムを通じた地域活性に取り組んだ実績により、サイクルツーリズムのプロデューサーとして海外へのブランド発信、ガイド育成など自ら培ったノウハウを全国各地で進められ、自転車を活用した地域活性の基礎づくりを支援されている。
1日目は11月12日に座学としてサイクルガイドに必要な知識や地域での役割や、顧客満足度アップとリピーター獲得のコツなど事例をもとに講話された。翌2日目のフィールドワークは参加者全員に伝えるブリーフィングの大切さ、安全を追求したグループ走行、満足度アップのサイクリングなど高橋さんのガイド会社のリピーター率85%の極意を伝授していただいた。
14日はパナソニックサイクルテックと道の駅阿蘇による共催のE-MTB試乗会『RIDE IS DISCOVERY in 阿蘇 E-MTBで遊ぶ「草原&紅葉ライド」』をトリムカンパニーの橋本君と一緒に案内してきた。参加されたのは前職でお会いした方もおられて懐かしい再会の場でもあった。
草原に入る決まりとして疫病予防のために消石灰でタイヤと靴の消毒が必須。
フィールドとなったのは、最近定番のかぶと岩展望所近くの西小園牧野で、数日前に草原が刈られていたので広々とした丘をダブルサスペンショのXM~D2で駆け巡る体験は、想定外の非日常的な遊びになったようだった。
豆の木さんの「木の実のパネトーネ」がランチの後のお茶にとても似合う。
草原で火を使えるのは消火器を持った牧野ガイドのみになる。
橋本君のツアーメニュの草原にターフを張ったランチのあとは、九州自然歩道で菊池渓谷の上流域にある清水谷まで往復する紅葉ライドを楽しんでもらった。
かぶと岩をスタート
最初は荒れた舗装路の緩やかな下りを草原の色付きを楽しみながら走る。
次にグラベルとなって
森に入って行く感覚がワクワクする。
紅葉は終わりに近かったが、奥山の落ち葉の絨毯を踏み締めながら、まだ赤や黄色を残す樹々の眺めは目が覚めるようで歓声が奥山に響き渡った。
路面は浮いた大きめの石がある区間や陥没箇所も多いが、XM~D2のダブルサスペンションの衝撃吸収と、先進のダイレクトドライブユニットの圧倒的なパワーにより次々に難所をクリアしていく。
MTBから離れていた方も多く、テクニックを思い出しながら自然のままのセクションを相手する。
菊池渓谷上流の清水谷に着いてここから少し下って折り返す。
それにしても晩秋の奥菊池渓谷は素晴らしい景色の連続だった。
帰りは上りとなるが電動アシストにより体力差を解消して一緒に上りを楽しむことができるのがE-MTBの魅力。
ではE-MTBならでは走行感、先進技術が結集された究極の大人の遊び模様をどうぞ。
最後は20%以上の激坂でアシストの驚愕のポテンシャルを体験して外輪山コースに行った。
このまま阿蘇谷に飛んで行きそうないい景色だった。
「では帰りましょう」といいながら、残り惜しい気持ち、もう少し遊びたい、まだ終わりたくない、そんな少年のような気分だった。
阿蘇を走って10年以上なるが3本の指に入る体験だった。E-MTBの秘める楽しさを、存分に楽しめるフィールドで、深く価値観を分かち合える人との大人の遊びだった。そして、感動を完璧に残してくれたのは、道の駅阿蘇やパナソニックサイクルの動画撮影をされているSTUDIO RUNBULLの冨田明寿さんだ。この日は私たちの販促用に無料で作っていただいた。動画の最後には参加された方のコメントが残されている。そこには内牧の旅館時代からお世話になっている、というかほとんど自転車仲間の皆さんのコメントと笑顔がこの日少年になれたことを物語っている。E-MTBは大人の遊具である。
11月2回目の阿蘇満喫モニターライドを時事通信社と西日本新聞社の取材も兼ねて19日に開催した。コースはサイクルボールの阿蘇イチショート55kmで平坦のみのコースになるので初心者の方も参加できるようにした。想定通り参加されたのはロードを始めてまだ3ヵ月と1年の女性の方、それにこのライドによく参加されるガッツリ走られる方もいらしたのでちょっと不思議だったがお会いして謎が解けた。
それがこれだ。
クロモリ、ダブルレバーの6速、フラットなコースをゆっくり走るにはお似合いのビンテージバイクだ。このようなコースはレトロなバイクで走るにはいい機会ではないかとあらたな阿蘇サイクリングの発見だった。
ただし、よく話を聴くと、自宅から自走で来られていた。その距離、片道50km、ということは阿蘇で55km走るので、この日の走行距離は155km・・・
そこで思い出したのがエロイカだった。
「エロイカ」は、イタリア中部・トスカーナ州のワイン銘醸地であるガイオーレ・イン・キャンティ市で開催される自転車大会であり、ストラーデ・デ・ビアンケ、イタリア語で白い道、すなわち砂利道を走ることを目標にした世界でも稀な大会だ。32km、78kmなど距離別に5つのカテゴリーがあり、最長は209kmでうち115kmが砂利道のコースを16時間30分以内に走る上級者向けのカテゴリーもある。エロイカにエントリーできる自転車は1987年以前に製造されたものかクロモリ、スチール製のもので、ウールのウエアや布製の帽子など昔の服装を推奨している。
エロイカが砂利道を走ることを目標にしたものなら阿蘇は牧野道がある。
阿蘇版エロイカも面白そうではないだろうか。
キャンティ市の砂利道はかって開発で消滅の危機にあったという。エロイカが2万人を集めるイベントに育ち砂利道の大切さを近隣自治体も気づき2010年にはストラーデ・ビアンケを保護する方針を打ち出し、キャンティ市は年間8万~10万ユーロを砂利道の整備に充てているという。
新型コロナウイルスのパンデミック前のエロイカは、日本、米国、南アフリカなど8ヵ国で開催されていた。舗装されていない道をあえて走る意味について大会創設者のジャンカルロ・ブロッチさんは「自転車の原点復帰」と話されている。緻密な戦略を考えチームで走る現在のレースは選手がロボットのようとも言われる。19世紀に欧州で生まれた自転車をこよなく愛するイタリア国民は、偉大なレーサーらがかつて砂利道で繰り広げた戦いに熱狂したことを忘れていない。エロイカはそんな砂利道を走破した昔の英雄たちへのリスペクトなのだろう。
阿蘇の田園も自転車の原点に戻れそうだ。
牧野道、草原の道を走るエロイカ、阿蘇らしいサイクルイベントではなかろうか。
そんなことを考えていたら「ニッポンのじてんしゃ旅Vol阿蘇編」の出版記念に自転車仲間からビンテージウールジャージを頂いた。クロモリのコルナゴを組んでみるいい機会かもしれない。E-MTBにしかり、自転車は大人の遊具である。