熊本地震から復興のシンボルとして注目を集める、阿蘇神社の拝殿が被災から5年後の今年2021年ついに完成しました。拝殿までは楼門の復旧工事が行われている素屋根(覆屋)を通り過ぎ、左に湧水をみながら砂利の道を静かに進みます。
一般祈願の受付も8月1日より開始しました。久しぶりにみる拝殿は青空の下で輝いて本当に綺麗です。
阿蘇神社で災害復旧事業を担当する池浦秀隆さんに木の薫りがする斎館でお話を伺いました。
斎館も熊本地震で柱が傾き、壁の一部が剥がれ屋根瓦が外れたため、当時はブルーシートで覆いをかけていました。今は元の部材を活かし築90年の佇まいを残しながら、清々しい建物として復旧が完了しています。
紫の袴で社務所から現れた池浦さん。お名刺には「権禰宜」とあり、そんなお名刺をはじめて頂いた私は緊張です💦 鳥居をくぐって日常の領域を越えて参りました感が高まります。
楼門や神殿など6棟が国指定重要文化財ですが、拝殿は指定を受けていなかったため「指定寄付金事業」という寄付者に税制の優遇がある特例措置の活用で再建されました。使用された国産材95%のうち、阿蘇中央高校の演習林を含む50%が阿蘇地域材です。大切に長年育てられた地元の檜を使用することで、郷土を思う心が後世までつながれていきます。
このように拝殿の再建は阿蘇地域の人たちにとって、大変意義のあるものでした。
拝殿の再建は熊本地震から復興のひとつの節目です。阿蘇地域、そして全国の皆さんのご協力があったからこその事業となりました。現在修復中の楼門は2023年12月に完了予定です。
南北の鳥居も同じく阿蘇中央高校の演習林を使い2020年12月に再建が完了しました。地元の方達が鳥居を実際に触れたりくぐることで郷土のモニュメントとなること
仕事や結婚でたとえ阿蘇を離れることになっても、帰省の際には阿蘇地域の材を使用した阿蘇神社が、地域の皆さんの心の拠りどころになることを池浦さんは願っています。
更に池浦さんはこれからも阿蘇神社を大切にして頂くため、今まで社会から大切にされてきた歴史の積み上げを礎に、現在進行中の復旧事業が建物のみの復旧にならないよう、きちんと理念を表現する必要があると仰っていました。楼門を含め再建が完了した後、大きな自然災害を乗り越えた神社として事例をまとめ情報を発信したいとお考えです。
実際再建の過程で様々な課題があったそうです。これまで台風による大きな被害を受けたことはありましたが、熊本大震災の被害はその比ではありませんでした。「幸いにも多くの方々のご協力を得られたお陰で、手探りながら復興の歩みを止めずに動くことができました。地球規模で自然災害が多発する今、阿蘇神社の事例がいつかどこかでお役にたてれば幸いです。」
さらに池浦さんは「コロナ禍で神事の継続が危ぶまれていますが、自然災害を含め、今後どんな想定外のことが起きても神社の機能を止めないようにしなければなりません。変えるものと変えないものを長い視野で見極める判断力、そしてそのバランス感覚が問われていくことでしょう。仮に変えたとしても、後戻りできる余地をのこしておくべきだと考えています。」と静かな口調で語って下さいました。(写真は今年の火振り神事です)
こういった良き想いがつながり、阿蘇神社の拝殿は遠く離れたとしても「郷土愛」のシンボルとして後世につながれていく建築になっています。
基本情報
住所 阿蘇市一の宮町宮地3083-1
TEL 0967-22-0064
駐車場:あり(無料)
トイレ:あり
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