あかうしのあくび2022の春号は千年の草原を守るために行われている取り組みについてQ&A形式で紹介します。
春:野焼き
Q.野焼きとはなんですか。
A.野焼きとは、野外で葦(あし)などの植生や刈草、作物の栽培に伴う副産物である藁(わら)、殻(から)、剪定枝(せんていえだ)などの作物残渣といったものを人為的に焼却することです。
Q.なぜ野焼きをするのか。
A.草原を燃やすことによって、草原に生息している動植物たちに寄生している病害虫を駆除するためです。また、日本は春、夏、秋、冬と四季がはっきりしているため、草をそのままにすると伸びてしまい長い年月を経てば、森林になってしまいます。それを遷移(せんい)といいます。その遷移(せんい)止めるためでもあります。
夏.放牧
Q.なぜ放牧をするのか。
A.阿蘇は赤牛が有名ですね。特に赤牛の弁当や丼がおいしいですね。その赤牛をはじめとする家畜を放牧することで、広い草原で活発に動き、草原の草を食べるため、栄養豊富なお肉ができるのです。また、家畜が草原の草を食べることによって、遷移(せんい)を抑えてくれているのです。そのため、放牧は草原を守るために行われているのですね。
Q.赤牛とはどんな牛なんですか。
A.赤牛とは褐毛和種(あかげわしゅ)は熊本系と高知系に分けられています。現在の「くまもとあか牛」は、阿蘇、矢部および球磨地方で飼われていた在来種とシンメンタール種の交配により改良された固有種で、昭和19年に和牛として登録されました。あか牛は、耐寒・耐暑性に優れており、放牧に適し、性格がおとなしく飼育しやすいという特性を持っています。肉質は赤身が多く、適度の脂肪分も含み、うま味とやわらかさ、ヘルシーさを兼ね備えています。
Q.採草とはなにをするのですか。
A.採草とは文字通り草を採ることです。阿蘇では夏と冬に分けて採草を行います。夏は家畜の飼料用となり、冬は畑の堆肥用として採取されます。また、飼料や堆肥だけでなく、茅採取も行っています。茅の生産量は日本一で、京都や広島をはじめとする地域のかやぶき屋根の建物に役立てています。
秋.輪地切り・輪地焼き
Q.なぜ輪地切り・輪地焼きをするのか。
A.輪地切り・輪地焼きは、野焼きをする際の避難場所や、森林や私有地に延焼を防ぐための防火帯のことをいいます。草原の端っこに草が刈ってある場所があります。それが輪地切りです。そして輪地切りを行った約2週間後に輪地焼きを行います。草千里では一部建物があり、輪地焼きができないところがあるので、輪地切りだけ行います。。余談ですが、輪地焼きの時にジェットシューターで火を消すときに誤って友達の顔面に水をかけてしまった経験があります(笑)
阿蘇の秋は「すすき」の草原になります。阿蘇の紅葉と言ったら「すすき」黄金色に輝くすすきはとても優雅で穏やかに踊っています。阿蘇の至る所で見ることができますが、特に県道11号線通称やまなみハイウェイはドライブが楽しいですよ♪見渡す限りすすきの草原に囲まれていて、壮大な景色に包まれます。
Q.野焼きと輪地切り・輪地焼きはとてもきついですか。
A.もちろん、肉体労働でもあり神経を使うのでとても過酷な労働でもあります。また、火や機械を使うので危険が生じます。しかし、阿蘇の草原を守るのだという使命感があればきつさなど二の次です。
私自身、野焼きや輪地切り・輪地焼きをした翌日には筋肉痛で動けませんでしたが、とてもやりがいを感じました。また、実習の帰りのバスから望む米塚の野焼きは絶景でした。終わった後に入った温泉と食事は格別でした。
冬.白銀の世界
Q.雪はどのくらい降るんですか?
A.阿蘇の最も降雪量の多い月は1月であり、平均降雪量は41㎜です。余談ですが、阿蘇の気温は東北と大して変わりません。
このように、サイクルを繰り返すことで、日本一の面積を誇る阿蘇の草原を維持しています。近年では、少子高齢化や畜産農家の減少により草原を維持することが難しくなっています。これからも、野焼き見学ツアーやブログなどを通して、阿蘇の草原の魅力や、野焼きをはじめとする草原維持活動の大切さを発信していきたいと思います。