コルナゴ部長こと中尾公一さんプロデュースの「阿蘇満喫モニターライド」は2019年6月に始まりました。
「阿蘇を自転車で満喫して欲しい」という思いで、全国のサイクリストの皆さんにサイクリング・コースを提案しています。今回は手野の名水と呼ばれる水汲み場や真夏の緑の草原を走行しました。
2019年6月16日に最初の「阿蘇満喫モニターライド」を開催して3年2ヶ月となった。
毎月2回開催しているので雨やコロナ禍で中止もあったが、多分50回以上参加された方と阿蘇を走っているのではないかと思う。募集は20名だったが、コロナ禍以降は10名で現在は15名を定員にしている。募集してすぐに定員になるときもあれば、先日開催した8月1回目のライドはよく参加される田代さん1名だった。多い時には参加された方と接する機会はあまりないが、この日は下城さんと3人でいろんな話をしながら笑いに包まれたサイクリングを楽しんだ。
突然の悲報も知った。昨年と今年の2度参加された50代の方がサイクリング中に亡くなられた。落車や車との事故ではなく、いつも走られている車が少ないコースを、ひとりで走っていて倒れているところを発見されたという。持病は無く熱中症が原因ではないかということだった。一緒に走ったことはないかも知れないが、私と同じ歳の方も山をひとりで走っていて亡くなられた。
この日のライドも熱中症の条件が揃っていた。通り雨のあとカンカン照りになり、開けた下りから暗い森の中の上りになると、濡れた路面からは熱をもった湯気が立ち昇り、ミストサウナのドアを開けたようだった。身体全体がラップに包まれたような感覚、熱気のこもった重たい空気、そして無風、その状況でもいつものようにペダルを回していると、今までにない脱力感に襲われた。気力が抜けていくような感覚に、すぐに「危険」と反応して力を抜きゆっくり走った。身体から熱が逃げない初めての経験、あのまま走っていたら眠るように意識が遠のいていたかも知れない。あとで田代さんも下城さんも辛かったと言われた。最近の厳しい環境には身の危険を感じたがいい。単独で山を走る場合はけっして無理せず短時間で終了すべきである。
この日のコースは国造神社の坂を上りミルクロードに行った。阿蘇谷からミルクロードに行くには6つの峠道があるが、そのなかでも一番短いルートが国造神社の坂になる。
阿蘇谷の東側からミルクロードに行く峠道は以下の通り。
峠名 距離 上り区間 上り平均勾配 獲得標高
国道11号 7.6km 4.9km 5.3% 317m(県道45号まで)
国造神社 3.4km 3.4km 7.6%、 271m
小嵐山 8.0km 5.3km 6.6% 337m
212号 6.6km 6.6km 5.0% 440m
二重の峠 3.1km 2.6km 7.7% 193m
ミルクロードへのいつも定番の峠は小嵐山の木落ロードだ。8kmと長いが草原の中の下りや平坦もあるので距離はそれなりだが、車が少なく走りやすく阿蘇らしい道になる。国造神社の坂道は3.4kmと短いが、12,13%が続いて16%越えもあり足を休める平坦や下りは一切ない。途中に「手野の名水」という水場があるので、小休憩すれば日陰が多く個人的には好きな道だ。今回の清掃活動は水汲み場で行ったが、地元の方がいつも清掃されているのか、訪ねる人が多いにもかかわらずゴミは少なかった。
風に波打つ草原、緑の阿蘇谷と阿蘇五岳、そして力強い夏雲がセットになった景観、写真ではこの絶景を切り取ることはできないが、「阿蘇のベストシーズンは」とよく尋ねられて雲海が多い秋だとよく答えているものの、この日は訂正したくなった。
8月11日、毎年長崎の実家へ自走で里帰りされる「弱虫ペダル」の作者の渡辺航さんは、ミルクロードのこの場所で写真を撮られてブログ「弱虫ペダル今日も全力で走ります!」にアップされていた。
https://ameblo.jp/pedaru-rurumo-seihuku/entry-12758261016.html
「阿蘇外輪山の上、
めちゃ景色が素敵!
走り飽きない
今から外輪山下って、
熊本市内の友人宅を目指します!」
翌12日、熊本港からフェリーで長崎に入り、雨の雲仙のヒルクライムから18時37分長崎の実家にゴール、渡辺先生の5日間の「ツールド夏休み」を終えられた。
いつも先頭で案内するので写真を撮る機会が少なくて、参加された方から写真を頂くことが多いが、今回ばかりは3人とも走ることに夢中になって数枚だけになってしまった。よって走ったコース上ではあるものの過去の写真と合わせて紹介する。
この日のコースは秋を想定し、西湯浦園地展望所の信号をまっすぐ菊池方面に下り、涼しい菊池渓谷を過ぎて念仏橋の手前から林道を上り菊池人吉林道を走るというものだ。信号から念仏橋までの12.4kmのダウンヒルは豪快で、特に秋になると木漏れ日の紅葉のトンネルという、思わず絶叫したくなる感動の区間になる。このコースは八重洲出版より昨年秋に発売された「ニッポンのじてんしゃ旅」シリーズ第7弾となる『阿蘇サイクリングガイド』に紹介されているので是非ご覧いただきたい。
ガイド本は菊池人吉林道の途中から鞍岳林道のヒルクライムからミルクロードに繫がるルートになっているが、この日は四季の里で休憩してから県道23号までアップダウンの22kmを走った。消えかかっているが、センターラインに路側帯もある立派な林道だが、車やバイクはほとんど通らないので私はよく走っている。13km地点にある四季の里以外は民家も自販機も何もないので注意が必要だ。
四季の里で休憩のあと夕立が通り過ぎたような濡れた道を走った。県道23号に出ると道路から蒸気のような湯気立つあの区間となり、呼吸が荒く苦しみながら3kmほど走ると爽やかな風が出て復活しミルクロードに合流する二重の峠に着いた。
二重の峠は国道57号と北側迂回路が開通しているので自転車はとても走りやすい。
峠を降りて1kmくらいのところに父娘庵(おやこ)という食堂があって、ここで食事をして帰ることにした。
辺ぴなところにある小さな食堂は自転車乗りをとても優しく迎えてくれる。店の人気はステーキや個数限定のハンバーグで焼肉のタレや田楽味噌は道の駅阿蘇でも販売している。
肉うどんやチャンポンを注文すると塩分控えめの方用にスープの味見がある。汗かいて走ってきた自転車乗りは塩分補給したいくらいなので、店の「儀式」としてとらえているがこんなご主人の配慮がうれしい。
父娘庵までペースが早かったので昼食のあとは帰ることにした。早くライドを終えると後の時間が有効に使えるので贅沢な1日になる。
厳しい暑さが続いているが、例年通りなら阿蘇は盆を過ぎたら一気に涼しくなる。コロナが流行して3度目の夏は、緊急事態もまん延防止も帰省自粛の要請もなく、好きなときに、走りたいところを誰とでも、グループ走行だって自由に楽しむことができる。ただし、コロナ渦での運動不足、連続勤務や人出不足での過労により過信は禁物、「秘めた衰え」による熱中症には厳重に注意して、阿蘇天空ライドを好みのジャージを着て満喫してほしい。最後に熊本をサイクリング中に亡くなられたお2名のサイクリストのご冥福をお祈りします。
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