コルナゴ部長こと中尾公一さんから最新サイクルレポートが届きました。
実はお隣の熊本県阿蘇市と大分県竹田市。
阿蘇から竹田へと自転車で行き、帰りはJRで豊肥本線で帰るという2日間のモニターライドの様子を前編と後編に分けてお伝えしてくださいます。
また違った魅力がいっぱいの旅になっていますよ。
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昨年の11月末に大分県竹田土木事務所の清永さんより、阿蘇と竹田が連携するサイクルツーリズムの取り組みについて提案があり下城さんと視察に行った。結果は阿蘇市に隣接しながら竹田市をサイクリングするのは初めてだったが、岡城跡や城下町の風情、ダムや滝巡り、くじゅう連山、世界屈指の炭酸泉の長湯温泉など、竹田の観光コンテンツと組み合わせたサイクルツーリズムの連携は魅力が溢れていそうだった。
連携のきっかけとなったのは台湾の半導体企業TSMCの熊本県菊陽町進出である。整備が進む大分市と熊本市を結ぶ高規格道路(中九州横断道路)竹田阿蘇道路と豊肥本線を組み合わせたアクセスにより、竹田市も通勤可能な生活圏やレジャー面での波及効果を想定して、サイクルツーリズムの取り組みが必要ではないかと考えられた。
阿蘇においても滝室坂トンネル工事が進む国道57号滝室坂道路により、サイクリングルートが竹田市側に広域化し、それぞれの地域の観光資源を活かした新たなサイクリングツアーの造成が可能となることから、道の駅阿蘇とコギダス協議会、竹田市が連携した「阿蘇竹田モニターライド」を2月11日と12日の1泊2日に阿蘇満喫ライドとして開催した。実施に当たっては、道の駅阿蘇の下城さん、コギダス協議会から阿蘇市役所観光課の宮岡さん、竹田土木事務所の清永さん、竹田市商工観光課の桑島さんが担当窓口となり詳細に渡って打ち合わせしていただいた。
参加したのは牧野ガイド6名と福岡1名に熊本市女性1名、2日目のみ参加が宇城市1名と大分市1名の10名で開催した。今回のプランは宿泊を兼ねるのでサポートカーを付けて宿泊用の荷物や防寒着等を運んだ。竹田でのサイクリングは清永さんの案内と桑島さんがサポートカーを用意され、帰りはサイクリングのあと豊肥本線の輪行で阿蘇に帰る行程である。2日間のレポートは長くなったので1日目を前編、2日目を後編に分けて紹介する。
阿蘇竹田モニターライド1日目前編のレポート。
コースは道の駅阿蘇をスタートして役犬原湧水パークから小嵐山を少し登った展望所で中通古墳群を眺め、幸せの1本道から門前町・阿蘇神社へ、滝室坂トンネルの工事現場の前を通って国道265号で箱石峠、町古閑牧野展望所で昼食のあと県道135号を走り豊後竹田駅へゴールの予定だ。
防寒着や雨具等天候の変化に備えて荷物を車で運んでもらえるのは実に安心だった。
ここは小嵐山の中通古墳群を眺める展望所だが、普段は誰もいないところなのにイギリス人観光客が3名来られてちょっと驚いた。古墳に興味がある方なのだろう。
3.4kmの直線の道「幸せの1本道」
2016年4月の熊本地震で倒壊した「日本三大楼門」のひとつに数えられる阿蘇神社楼門は、柱や梁など1万点を使って解体復元修理が行なわれ、耐震補強のため揺れを吸収するダンパーや鋼管柱4本が加わって今年12月に完成する。7年振りに姿を現す高さ21mの勇壮な楼門も大きければ、そこに掲げられる「阿蘇神社」と書かれた大きな額が印象的だった。明治維新で活躍された有栖川熾仁親王が書かれたと聞く。
最近よく立ち寄る滝室坂トンネル工事の現場の前を通って265号で箱石峠を目指す。
町古閑牧野展望所
今回のルートには昼頃に食事ができるところがなかったので、道の駅阿蘇で弁当を買ってサポートカーに乗せ箱石峠の上にあるここで絶景を眺めながら昼食をとった。
箱石峠から初めて走る県道135号(高森竹田線)に入る。道は狭いが車はほとんど通っておらず下り坂が続いた。阿蘇からのルートだとサイクリングにはとてもいい感じだった。
県道217号と交差するところで竹田から自走で迎えに来られた清永さんが待っておられた。「ここは迷いそうなところだから」と言われて、このような気持ちがとてもありがたく自転車乗りならではの心遣いだ。
清永さんから民家が数軒あった先に学校跡のような古い建物を教えてもらった。
こういうものには、かなり興味があるので行ってみることにした。
「素朴」と彫られた創立80周年の記念碑には「犬子迫分校」とあり、波野村教育長木村正成と、明治34年(1901年)創立、平成11年(1999年)年3月閉校と記されていた。あとでネット調べると、犬子迫(いぬこざこ)分校は、楢木野小学校の分校で昭和49年(1974年)に現在の校舎になり、平成11年に近隣の小学校と合併し閉校、波野村立波野小学校となった。
犬子迫分校は、1983年(昭和58年)に出版された吉田優子さんの小説「原野の子ら」の舞台となっていた。1999年には劇場公開もされている。あらすじは、野焼きがおこなわれる阿蘇の春、熊本市内の小学校から、生徒10数人、先生4人という小さな犬子迫分校にひとりの女先生が赴任してきた。分校の生徒たち、そしてその家族との心のふれあいを自然豊かな四季のうつろいの中に綴った人間ドラマだ。
かって波野村にあった知る人ぞ知る小説や映画の舞台となった学校だったとは、これついてはまた後日紹介しよう。
熊本と大分、阿蘇市と竹田市の県境の4差路、ここは135号で竹田に行く目印になるところ。
荻町の馬背野峠(高鼻公園)到着。阿蘇神社から32km、やっとトイレがあった。
明治10年竹田町が薩摩軍に占拠され討伐に向かった熊本鎮台とこの峠で戦ったとある。
そういえば西往還と呼ばれていた根子岳の麓の日ノ尾峠付近にも薩摩軍に備えて砲台座が築かれた。大砲はこなかったようだが荻町や波野の西南の役の歴史を振り返るのは面白い。
予定の15時に岡城跡駐車場に到着。
清永さんの案内でそうぞうの丘公園経由で来たので車の少ない快適な道だった。駐車場には桑島さんほか竹田市商工観光課の方に出迎えていただいた。ここで写真を撮るのを忘れて非常に残念。桑島さんのサポートカーに岡城跡を散策するためスニーカーを乗せる。このような散策がある場合はビンディングでは歩きにくいし危ないのでサポートカーがあると便利だ。輪行ではSPDシューズがおすすめ。
岡城跡には階段利用となるが、一般車両通行禁止の道を特別に許可を取っていただき自転車で行った。片側は断崖でガードレールはなく、メンテンナンス等の車両とすれ違う可能性があるので桑島さんのサポートカーを先頭に注意して上った。
上ってきた道を振り返ると右側が岡城跡の石垣になる。
上りは少々だがワクワク感があって自転車乗りにとっては素晴らしい道だ。
このような歴史を感じながら自転車で岡城跡にアプローチするのは、歩くのとは大違いの貴重な体験でこれだけでも特別な価値がある道となる。
スニーカーに履き替え桑島さんのガイドにより岡城跡へ。
城壁の段差は防御のためのようだ。
ところどころ道が狭くなっているところで敵の進軍を緩め、このような段差を付けて城から攻撃できるようになっている。
上からみると狙い撃ちだ。
石垣の角は物凄くエッジが立ってまるで軍艦の船首のよう。
いよいよ入城
当時のままの石垣だけで、あと造りの構造物がない岡城跡は想像が膨らんでくる。
難航不落の堅城といわれる岡城、周囲は断崖絶壁に囲まれ、その絶壁上には延々と築かれた石垣、そこに建つ城があったとは・・・
排水溝も備わる。
柱を立てる礎石の穴
岡城で一番大きな石。風化がないのか隙間がない石垣は見事としかいえない。
二の丸跡の一部に資料館やトイレの建物。二の丸には月見櫓や御風呂屋など特徴的な機能を持つ建物が並んでおり、来客の歓迎や藩主の愉しみの空間として利用されていた。
風呂の復元想定図。ここはサウナだったという説もあるらしく、そうであれば日本で初めてサウナを楽しまれていたのは岡藩の殿様・・・
1185年(文治元年)築城
1586年(天正14年)島津の大軍に攻撃されるが撃退、「難攻不落の城」といわれるようになった。
1771年(昭和8年)本丸、西の丸、御廟所の大半を焼く大火が発生
1874年(明治7年)廃藩置県により13代続いた岡藩が終焉、廃城令により建造物は破却された。
1936年(昭和11年)「岡城跡」として国指定史跡になる。
竹田観光のメインとなる岡城跡は、樹々の葉が落ち広大な景色が見渡せるこの時期が旬のように感じた。逆に真夏だと日陰が無くてかなり暑そうに思えた。岡城跡は冬の時期はオフシーズンなのかも知れないが、人が少ない時期こそ自転車乗りには確実にオンシーズンとなる。道の駅阿蘇付近の標高が500m、竹田はその半分なので気温も暖かい。
視察に岡城跡を訪ねたときは、太鼓楼跡の石垣の先で高らかに鳴り響く法螺貝を吹く戦国武将が迎えてくれた。今回は不在だったが翌日、偶然再会することになる・・・
宿はお宿割烹一竹のシングル部屋で快適、温泉は宿に近い花水月でゆったりと浸った。
宿には自転車を置くスペースがないことが事前に分かっていたので、桑島さんの手配で隈研吾さん建築の城下町交流プラザ内の施錠ができる屋内に置かせていただいた。
夕食はこの日、竹田のバル「食楽」が開催されていたので利用した。竹田「食楽」バルとは3枚綴りのチケットを購入し、好きな店の特別メニュー+1ドリンクをはしごできるイベントで前売り券2500円とお得。
街に繰り出すと、新型コロナの影響で3年ぶりの開催もあってかどこも大盛況だった。
あまりの賑わいに、本命としていた竹田ホルモン、通称タケホルには入店できず次回へ持ち越すことになった。
桑島さんには立ち寄り先を手配していただき大変お世話になった。最初の店では竹田市役所の副市長さんと、商工観光課長さんもお越し頂き、竹田市が取り組むサイクルツーリズムの熱意を感じた。
タケホルモードにスイッチが入っていたので、桑島さんに探してももらい焼肉・ホルモンの「千寿苑」で竹田のグルメで大いに盛り上がった。他にも暖簾の先に味覚をそそられそうな店が多く竹田の夜はリピート確実となった。
~~~後編へ続く~~~~
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道の駅阿蘇(NPO法人ASO田園空間博物館)
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