コルナゴ部長こと中尾公一さんの最新レポートです!
前半は道の駅阿蘇に新しくやってきた電動マウンテンバイクについて
後半は牧野ライドを更に楽しんで頂くため、山道を牧野ガイドのメンバーが山道を整備したことについてです。
どうぞお楽しみください。
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道の駅阿蘇に新しいE-MTB、電動アシストマウンテンバイクが仲間入りした。
今回はトレックのフルサスマウンテンバイク「Rail 5(レイル5))2台と、パナソニックのハードテールマウンテンバイク「XEALT M5(ゼオルトM5)1台で小柄な方でも乗れるよう3台とも最小サイズになっている。それでもXEALT M5E-MTBは157cmが適正最低身長になっているため150cm前後でも乗れるようにショップでカスタムしてある。
ではそれぞれ紹介しよう。
トレックRail 5はバッテリーがフレームチューブに内装されて、電動バイクとは気付かないくらいスマートかつ精悍なフォルムだ。そして誰しも美しさにため息が出るのは、濃く明るい赤色に青みを含んだ紫がかったCrimson(クリムゾン)という深紅色に輝くビジュアルの良さだろう。
走りに関しては絨毯の上を走るような快適な前後のサスペンションと、パワフルなBoschのドライブシステムにより、阿蘇の大草原の上りでは、ふっと軽くなるようなアシストにより身体に負担がなく何度もダウンヒルのスピード感を楽しむことができる。
パナソニックXEALT M5は、2019年に最初のE-MTBとして導入したXMシリーズを引き継ぐもので、スポーツバイクの経験が無い方や小柄な方でも乗りやすさと、E-MTBの楽しさを兼ねたポテンシャルになっている。詳しくはメーカーの動画があるので紹介しよう。
こちらは阿蘇の外輪山や道の駅阿蘇も出てくる動画。
トレックRail5とパナソニックXEALT M5は女性利用を意識したものなので、ガイド仲間のミユキさんに参加してもらい、根子岳の眺めながら広大な牧野フィールドが広がる町古閑牧野を走ってきたので紹介しよう。
町古閑牧野は道の駅阿蘇から30分のところにあり、前日降った雪を楽しみ行くとスノーライドのフィールドになっていた。
ミユキさんの身長159cm。サドルの上下は2台ともハンドル付近のレバーで調整するドロッパーシートポストなので、走りながら好みの高さに合わせることができる。感想を尋ねると、乗りやすかったのはトレックRail5でパナソニックXEALT M5は小さい感じがしたそうだ。
XEALT M5は今までE-MTBに乗ることが出来なかった、もしくは乗れても少し怖かった小柄な方でも楽しめそうである。道の駅阿蘇の身長153cmの女性スタッフに乗ってもらっても全く違和感なく走れたそうだ。
丘の稜線沿いにある野焼きの防火帯となる輪地はE-MTBの絶好のコースになる。
167cmの私はシートポストを高くすることで2台とも普通に乗ることができた。
乗り出しが強いアシストのXEALT M5は、脚力があまりない方に向いていると感じた。Rail5の笑ってしまうようなゴージャスなサスペンションと、豪快なダウンヒルの安定感は荒れたセクションも臆せず突き進める感じだった。
2台ともゆっくりと阿蘇の大自然を踏みしめて走るのも、さまざまな地形を大胆に攻めて走るのも、それぞれの好みで牧野を走るポテンシャルを秘めているので是非とも体験してほしいものだ。
道の駅阿蘇のサイトからエントリーする牧野ライドはレンタルでハードテールやフルサス、自分のバイクを持ち込むことができる。
このような牧野でのアクティビティは、減少していく牧野(草原)を観光資源として利用することにより保全することに目的がある。牧野は牛馬を放牧する放牧地や採草地であるため専門のガイドの案内が必須で勝手に立ち入ることはできない。ガイド料には牧野保全料として一人1000円が含まれるので草原の維持活動に参加していることになる。
道の駅阿蘇のガイド付きツアーでレンタルできるE-MTBは今回紹介した3台以外に、パナソニックXM(ハードテール)5台、パナソニックXM-D2(フルサス)3台、MERIDA(フルサス)4台がある。
阿蘇谷の集落と外輪山の上にある草原を結ぶ坂道は、かって人と牛馬が往来した古道で「草の道」と呼ばれている。実際に歩くと高低差400m以上を駆けあがる急な坂道で、ぬかるむところは石畳で整備されたり、石垣の補強や山を掘削した切通しがあったりする。草の道は生活道でもあるため石仏や地蔵が置かれたり、湧水のあるところや眺めのいいところを選んで造られたようだ。
2021年2月に道の駅阿蘇の呼びかけにより、一の宮町坂梨の浄土寺牧公園と波野の町古閑牧野を結ぶ願成就坂(がんじょうじゅざか)を牧野ガイドのメンバーで整備を試みた。
目的は町古閑牧野で牧野ライドをするためにはE-MTBを軽トラックに車載する必要があり、この坂で行き来することができれば、車載できる台数に関係なく牧野ライドを楽しむことができるためだ。
整備を進めていると、2012年の九州北部豪雨や2016年の熊本地震により途中から道は崩壊し、迂回するコースもなくE-MTBでの走行は不可能と諦めた。そのレポートとしてブログに波野の郷土史家の方からお聞きしたことを書き加えた。それは波野方面の女学生が、宮地にある明治に開校(1902年)した裁縫学校(神山学院)に願成就坂を通って通学していたということだ。
写真は昭和20年代、神山学院創設者の神山エツさん(前列右より5人目)は明治3年、坂梨生まれ。私立東京裁縫女学校で学び、同35年に私立宮地裁縫学院(後の神山学院)を創設、阿蘇の女子教育に大きな足跡を残した。
阿蘇ラウンドトレイルや阿蘇ヒルクライムで連携していたスポーツイベントの企画運営をする株式会社Local Gainに、願成就坂の存在を道の駅阿蘇の下城さんが紹介し、先ず牧野を使ったトレランのPR動画を作ったのがきっかけとなり「阿蘇トレイル女学院」の大会へと発展していった。そして、開校から120年の2022年4月に、「阿蘇トレイル女学院」というかつての通学路を走る女性限定のトレイルランニングの大会が開催され87名の参加者が阿蘇の野山を駆け抜けた。
このような古道は阿蘇市一の宮地区だけでも25以上もあり阿蘇の文化遺産であると思う。ただし、ほとんどが現在利用されることはなく廃道になっている。そこでLocal GainのASO FIELDS RUNNING実行委員会が、古道の維持と再生促進を目的にイベント開催に取り組んでいる。その取り組みのひとつに古道を活用した「阿蘇トレイル女学院」に続くトレイルランニングなどの開催を予定されている。
そこで第3回となる古道整備に参加してきた。
主催するのはASO FIELDS RUNNING実行委員会、運営サポートが株式会社Local Gain、1回目は手野地区、2回目は湯浦地区、今回は坂梨地区の馬場坂(栗の木坂)で牧野ガイドメンバー4名とあそBE隊、トレイルランをされている熊本市内や水上村、福岡から参加された方、そして地元の方3名も参加されていた。
地元の方も道を見失うほど竹が覆い水害や地震で崩壊しているところも多かった。
先頭はチェンソー、のこぎり、斧で切り開き、それを取り除くグループが続いて、最後は熊手グループが落ち葉や小枝を払うと土が現れて完了。これが3kmほど続く。
急斜面がなのでつづら折りになっていた。
雑木を切り開いていると溶岩で造られた見事な石垣が現れた。このような発見が古道整備の面白さでもある。一緒に整備に参加されていた方が、以前整備した際に石垣や岩に年号が刻まれているところもあったと言われていた。
牧野ガイドメンバーは午後から打ち合わせがあったので頂上の牧野までは行くことは出来なかった。作業しながらの少しの時間にみなさんと話すことができてトレランも面白そうだと思った。
馬場坂整備終了。素晴らしいコースが出来上がった共に地域資源が発掘された。
このような古道はマウンテンバイクでの走行は難しいがトレランなら活用することが出来る。定期的に整備して毎年大会を開催することで古道が維持され地域資源が受け継がれ残されていくことにつながる。
地域にいるために地元の地域資源の魅力についてあまりにも普通過ぎて気付いていない場合が多い。地域の新たな魅力を発見するには、地域外の新たな視点や考え方を取り込んで、地域の価値の向上につなげることも大事ではないかと今回のLocal Gainさんのイベントに参加して思った。
以前、願成就坂の整備した際に中腹にあった石像の台座には「享保4年」「11月18日坂梨村」と彫られていた。享保4年とは徳川吉宗の江戸時代の1719年、304年前になる。宮地の洋裁学校が開校した183年にすでに願成就坂は生活道として利用されていたのだろうか。
先日、願成就坂の入口に行ったら中腹にあった石像を参拝しやすいよう集落の近くに移動されていた。
今年も4月に第2期生として「阿蘇トレイル女学院」が開校(開催)され、1月30日から願書受付(申し込み)が始まるそうだ。洋裁学校は現在カフェや雑貨店が校舎の中で営業し賑わっている。明治の女学生気分になって、その足跡を再現するとは何と素敵なイベントだろう。
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道の駅阿蘇(NPO法人ASO田園空間博物館)
TEL:0967-35-5077
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