コルナゴ部長から最新のレポートが届きました。
今回は船で韓国へご旅行し、春の阿蘇のビックイベント「野焼きライド」についてのレポートです。
どうぞお楽しみください!
韓国は釜山に行っていた。
海鮮料理を食べに20年前から行っている。直近は2020年2月だったのでちょうど3年振りになった。博多港に着くと真っ赤な流線型のJR九州の新型高速船「クイーンビートル」には驚いた。
世界初の80m級のトリマラン(三胴船)で、定員は従来ビートルの約2.6倍の502席、全長は83.5m、時速70km、福岡~釜山を3時間40分で結ぶ。デザインは「ななつ星in九州」を手がけた水戸岡鋭治氏。
入船してすぐのところにスーツケース等を置くロッカー室もあり、船旅客の重い荷物で苦労することにも配慮されていた。その横には自転車もそのまま置くスペースもあり欧州の自転車旅の方が利用していた。
船内は凄く豪華で水戸岡鋭治氏の雰囲気が溢れており、1階のスタンダードクラスでも椅子が大きく3時間40分座っていても窮屈なことはなかった。
云うことなしに思えるが、行きは2m近い波でかなり揺れ若い女性の船酔者もいた。船内でスタッフが何度も船酔止めを勧めていた理由が分かった。残念だったのは飛行機では飛行ルートを示した映像がモニターから流れたり、アナウンスがあったりするが、それがなかったので対馬や玄界島を見逃してしまった。
初めて訪ねた松島(ソンド)海上ケーブルカー。
チャガルチからタクシーで5500W(約550円)と近く、松島一帯の海岸線と松林の素晴らしい景観が楽しめる。ケーブルカーは2種類あって、エアクルーズ(一般キャビン・片道12000W))と床が透明なクリスタルクルーズ(透明キャビン・16000W)だ。値段は約400円しか変わらないのでクリスタルがおすすめだ。
2年振りの釜山の印象はコロナ前に比べて、街の雰囲気も、人も、物価もまったく変わっていなくて、賑やかで活気に満ち、美味しい食事が以前通り手軽に楽しめる街だった。そんな旅行もあったので遅くなったが、今年の野焼きの日に阿蘇満喫ライドを開催したので紹介しよう。
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今年は過去に野焼き見学の駐停車中の車が焼ける事故があり、その補償がたいへんであったことから、野焼きをする道路への立ち入りは厳重な申し入れがあっていた。野焼きを行う人が足らず延焼を防止するためにボランティアに頼らず負えない状況に、野焼きを見に来る観光客の交通整理や安全確保までは行えないのは当然であり、牧野の維持に協力している立場の私たちは順守するため野焼きが終わった後に走ることにした。よって離れてから見学や、野焼きが終わった後に走るコースに変更し参加者の方にも了解してもらった。
では野焼きを近くで見ることは出来ないのか。今までのように坊中線の途中に立ち止まって野焼きがあっているなか見ることはしない。もし他の観光客がやっていても私たちはやらない。ただし、一般の方に野焼きを見せるのは草千里の野焼きが観光野焼きの位置付けだそうで、草千里駐車場及び草千里展望所からなら大丈夫とのことで阿蘇山麓とミルクロード一帯で行われた前日にガイドメンバーと下見に行って来た。
草千里展望所から見学した。
ここからでも迫力は十分
ただし、草千里駐車場は満車で行列ができていた。しかし、自転車でくれば問題ない。
真っ黒に焼けた草千里と駒立山
中岳の噴煙が一時は野焼きの煙のようだった。
係員の指示で野焼きが終わったら近づくことも出来る。
ここでの見学はトイレや食堂、カフェもあり快適だった。
さて草千里翌日の阿蘇山麓とミルクロードの野焼きに戻ろう。この日のコースは箱石峠を上って南阿蘇に降り、吉田線を上って草千里や展望所で杵島や米塚の野焼き、または野焼きの後を見て、坊中線の野焼きの直後をダウンヒルで楽しんで道の駅阿蘇まで下ることにした。焼いているときで無ければ停まっても大丈夫とのことで野焼きの終わりでも見学できればと思った。
ランチは時間があったのでパンダイゴさんまで足を延ばしイートイン、サイクルラックの前の満開の梅は記憶に覚ます春の香りがした。テラスでの食事にいい季節になった。
吉田線を上っていたらヘリポートの先でまだ火がくすぶっていた。
草千里のカフェでコーヒーでもと思ったが人が多くて断念。観光客が見ることができる草千里の野焼きはこれ以上の人数は無理だろう。ましてインバウンドのバスは混乱に更に拍車をかけるのでないかと思う。
野焼き直後の坊中線を見ながらダウンヒルを楽しんだ。
阿蘇谷からは北外輪山の野焼きの煙がいたるところから立ち昇っていた。
ゴールしてから参加者の方から迫力ある写真を見せてもらった。場所は吉田線が山上と坊中線の交差するところの手前の野焼きの写真だった。こんなに燃えてはいなかったが、望遠で炎を大きく見せて自転車はカメラの近くに置いてあるので、さもすぐ近くで野焼きがあっているようなテクニックの写真だ。
これでも十分迫力がある。今後はこのような知恵を使って野焼きのレポートが出来ればと思うが、それはそれとして、野焼きの後の牧野を走るのが何の規制も無くて車も人もバイクも少なく自由に楽しむことができる。そこで野焼き翌日に牧野ライドの予約が入っていたのでとっておきのところに案内した。
野焼きは千年前から続いていると云われている。とすると11世紀、日本は平安時代で源氏物語の頃、アメリカ大陸ではマヤ文明で、ヨーロッパでは東ローマ帝国や十字軍、東アジアは唐が滅んで宋の時代という古い時代だ。同じころイタリアではボローニャ大学、イギリスではオックスフォード大学が創立された。そんな歴史と若かりし頃を振り返りながら、卒業旅行気分で野焼きの後の牧野ライドを楽しんだ。
場所は道の駅阿蘇から7kmのところにある狩尾南牧野、野焼きで焼き尽くされた翌日なので地面にはまだ熱を残した真っ黒の焦土の世界。そこの斜面をE-MTBで駆け抜けるのが野焼きの後の牧野ライドだ。
カメラの後ろからの順光と前方向からの逆光で墨の世界は変移する。
手前が阿蘇谷、その先に屏風のように立ちはだかるのが野焼きが終わった北外輪山。
E-BIKEなので、みんなでワイワイ話しながら体力に関係なく上れるところがいい。
笑顔が止まらない。
真っ黒な地面は草だけが一瞬で燃えているので、自転車で通ると轍の後に野焼き前の地面が露出する。なので一雨降ったら山野草が芽生えてくる。最初にフキノトウ、そのあとに黄色い可憐な花を咲かすキスレミだ。
中腹で写真撮りながらお茶休憩も楽しい。
狩尾南牧野の頂上の岩山に到着。ちょっと小高いだけなのに、さえぎるものがないので物凄い強風が吹き荒れる。正面に野焼きの長い斜面の先に阿蘇谷と北外輪山、後方の野焼きの先には米塚がちょこっと顔を出す。焦土の、墨の異次元の世界を、愉快痛快にグイグイ進むE-BIKEで見渡してきた幸福な時間に体中で浸ることができた。
上った後は心躍るダウンヒルだ。
この時、 先にスタートしたメンバーの光景は、Dooble Brathersの土煙を上げながら馬に乗って走るスタンピートのジャケットのようだった。
「さて、下るとするか」と思った時、ビル・ペインのイントロのピアノが頭の中で流れた。曲はスイート・マキシム、ドロッパーでサドルが下げてぺダルを踏み込んだ。軽いドライブユニットの音とともに墨の世界のダウンヒルが始まった。トム・ジョンストンとパット・シモンズのツインギター&ジョン・ハートマンとキース・ヌードセンのツインドラムが炸裂し、トム・ジョンストンの荒削りなヴォーカルでパワー全開となった。阿蘇を自転車で駆け抜ける頂点に君臨したわたしたちであった。
今回案内したのは、UCI認定国際ロードレース「ツール・ド・九州」が今年10月に北九州・福岡・熊本・大分で開催されることから、沖縄・山口地域をサイクルツーリズムの聖地を目標に、サイクルツーリズムのブランド構築と国内外からの継続的な誘客促進により地域を元気に、活性化させようとするディスカバー九州の委員会のみなさんだ。
サイクリングルートは別途ターゲット層に応じて3つ作成したが、最も阿蘇らしく世界でもここだけしか体験できない野焼きの後の牧野ライドを案内した。野焼きは1日だけだが野焼きの後の牧野ライドは2ヶ月、草が伸び出して枯野になるまで年間通して四季の草原がフィールドとなる。非日常的な体験を安全に体力に関係なく楽しめるアクティビティだと思っている。
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