コルナゴ部長こと中尾公一さん最新レポート「みかん山と有明海ライド」が届きました!
牧野ガイドとして活躍される方々が、阿蘇が冬でオフシーズンとなる間も継続して活動できるようにと、暖かい有明海沿いでのライドが始動しました。
それではどうぞ、お楽しみください♪
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金峰山の麓に広がる段々畑の鈴なりのみかんと、干満差日本一の有明海を眺めながら河内町を走る「みかん山と有明海Ride」を案内してきた。一緒に主催したのは牧野ガイドメンバーで河内町が地元の清田あづささん。清田さんは町興し仲間のみかんや有明海苔の生産者と協力して、河内の魅力を体験してもらうために開催された。
また、その背景には積雪や道路の凍結によりオフシーズンとなる阿蘇観光の冬対策もあり、四季を通じて牧野ガイドが活動できるようエリアを拡大する取り組みの一環でもある。
集合場所は金峰森の駅みちくさ館。この施設は日頃よりサイクリスト受け入れに積極的で、今回も趣旨を理解していただき受付のテーブルや駐車場も確保していただいた。参加者は20名募集のところ家族が増えて22名、案内するガイドは清田さんと私と、初心者の方も多く隊列が長くなるため一般参加だが道の駅阿蘇の下城さんにも手伝ってもらった。着替えや途中で買った物を運ぶサポートカーには、清田さんの本業であるフランス菓子教室の生徒さんの南阿蘇のカフェ「くえびこ」の原田夫妻に帯同していただいた。
スタート10時でゴールは15時、走行距離は20キロ弱なので、ゴールしてから17時のみちくさ館閉館まで芳野方面や金峰山に上るなど、もっと走りたい人向けにブリーフィングで説明。
101号をスタートするといつもは静かなところだが、みかん狩りのマイカーも多く、優峰園フルーツランドには、下見に来た時は貸し切りバスの小学生だったが、この日はバス3台の外国人観光客がみかん狩りに来ていた。
横道ラーメンから曲がって1号線に入ると緩やかな上りになって、右を見上げるとみかんの段々畑が青空まで続き、左は眼下に広がるみかん畑を見下ろすことができる。その絶景に後ろからは参加者の歓声が聞こえて、清田さんの想いがこだましているようだった。
原口青果みかん選果場横で全員揃うのを待って、この日最も気持ちの良い有明海へ突き進むダウンヒルが始まる。
眺めのいいところで一旦集合、一気に下るともったいない。
少し下ったところがみかんの段々畑と有明海を眺めるフォトスポット。
脇の道も気持ちがいい。
ポカポカ陽気で一気に有明海へ。
河内漁港に着くと昼食場所の「寿しきよ」さんへ。
2階の広い会場に席が設けられ調理長さんより料理の説明があった。
今回選んだのはボリュームたっぷりの看板メニュの海鮮丼。厳選した美味しい素材は有明海にこだわらず近海の天草や長崎の旬の魚が盛り込んであった。
今回みなさんに是非とも知ってほしい海苔の話は、今年オープンした有明のり研究所の代表で、代々続く海苔生産者に生まれ、加工から販売まで一貫して取り組む海苔ソムリエYUMIKOさんこと嶋田由美子さんが担当。有明海養殖海苔の講話を食事しながら耳を傾けてもらった。
海苔養殖の厳しさを知る経験から、有明海の豊かな自然環境と海苔作りの伝統を守り繋ぐため、地元産の海苔の美味しさを発信し、オリジナルブランド商品を手掛けられている。そして、とことん価値を高めた結果、6年連続日本一価格で落札された河内漁協のブランド海苔「塩屋一番特等」が生まれた。
4種類用意された板海苔の試食は、商品ごとに海鮮丼のご飯に巻いて食べたり、そのまま海苔の味や風味、香りを試したりとまさにテイスティングだった。有明海養殖海苔の美味しさや豊富な栄養があるという食育となったようだ。健康にいい日本の伝統食海苔のある生活が習慣になればと思う。
1か月前に嶋田さんを訪ねた際に、嶋田さんや清田さんの息子さんたち若い人が総出で種付けを行った海苔網を海に入れる作業をされていた。
海苔の養殖について大まか以下のような工程となる。
1.水槽で牡蠣殻に海苔の種を植え付け育てる
2.秋になり海苔が胞子を出すようになると、網に胞子をつける「種付け」を行う
3.種付けを行った海苔網を海中に張り育てる
4.冬に育った海苔を摘み取り、洗浄して加工する
有明海は九州最大の川である筑後川をはじめ、本明川、鹿島川、塩田川、六角川、嘉瀬川、矢部川、諏訪川、菊池川、白川、緑川など大小100を超える河川が豊富な養分を運び、その干潟は大潮の干潮時で約188㎢に達し日本全体の干潟の約4割に相当する。日光と海の栄養で育った海苔の摘み取りは年に2回あるそうだ。
嶋田さんの案内ですぐ近くに海苔網が干されているところに行った。
こちらも家族総出での作業。
「これが海苔か、こうやって作るのか」と全員が初めての体験
「食べてもいいよ」と言われてみんなで味見をしてみた。
形状は「桃屋のごはんですよ」、磯の香りがしてまさに海苔だった。
嶋田さん有明のり研究所へ有明海産若摘みの旨味、香り、歯切れ、口どけ、色艶を吟味された海苔の買い物に行った。
一度食べると必ずリピーターになると思う。生産者直売なのでお値段も優しい。
嶋田さんの加工所の前で集合写真。
ここが嶋田さんが一番好きなところで、夕刻に海を眺めると夕陽の道ができるとのこと、
Photo by yumiko shimada
これが夕陽の道、あまりにも素晴らしいのでここにカフェを作ると言われていた。
続いてこちらも清田さんお友達のウシジマ青果さんへ
ウェルカムボードが嬉しい
ここでは2班に分かれて選果場のラインの見学と
みかんの糖度当て体験。
現在ウシジマさんで取り扱っているみかんの糖度は11度から14度らしく、味見をしてセンサーで測って当たればレモンの商品がもらえる。私は12.2度と書いたが12.7度ではずれ、次の女性の方は当たって何と14.5度もあった。それにしてもこんなに甘いみかんがあるとは驚きだ。
※このような受け入れは会社として日頃されてはいない。
最後にウシジマ青果さんのみかん畑で収穫体験をさせていただいた。
ここから4km緩やかな上りを走って金峰森の駅みちくさ館にゴールした。
お土産もたくさん頂いた。
金峰山付近のサイクリングは、熊本市内の方だったら経験あるかも知れないが、有明海に続くダウンヒルの道は知らない方が多かったようだ。県外の方にとっては熊本にみかん山の段々畑を眺めながらサイクリングできるコースは意外だったろう。
また、昭和レトロな広い会場でゆっくり食べる寿司屋の海鮮丼は好評のようだったし、有明海養殖海苔の話と体験は良き食育になったのでないかとみなさんの笑顔で感じた。それに河内みかんの美味しさも熊本のブランドとして記憶に残ったのではないだろうか。
今回のライド開催については最初に少し説明したが私たち阿蘇の牧野ガイドの冬対策にある。今後、新規にガイドになられる方のために、寒くて自転車乗りが途絶えるシーズンは暖かい地域で活動できるようにする試みだ。金峰山・河内エリアは温暖な海からの風と、15時以降は急激に温度が下がる阿蘇と違い、日没まで照らし続ける西日により夕方まで暖かく冬でもサイクリングが出来ない寒さはではない。
また、周辺には夏目漱石の小説「草枕」に登場する「峠の茶屋」や、宮本武蔵が「五輪の書」を書いたといわれる「霊巌洞」、東側の麓には宮本武蔵ゆかりの美術品を収蔵する島田美術館や加藤清正の菩提寺本妙寺など熊本の文化財が点在し、漱石・武蔵・清正の存在を示す案内看板も随所にあり、熊本の歴史を語る上では特別なところになっている。このことは歴史好きな外国の方にも興味を示される可能性もあり、その際には上り坂でも問題ないE-MTBを使った周遊もニーズがあるかも知れない。いずれにしてもいろんなメニュを用意しておくのは無駄ではなく新たな挑戦になるのではないかと思っている。