コルナゴ部長こと中尾公一さんから最新レポート「牧野ガイド養成講座~野焼き編~」が届きました。
たくさんの方にご参加いただき、満喫していただける草原は野焼きをすることで美しい草原が保たれています。
その野焼きをコルナゴ部長が体験されました。
ご覧ください。
牧野ガイド養成講座を箱石峠の北側に位置する町古閑牧野でフィールド調査と野焼き体験が開催されたのでレポートする。今回実施されたのは、道の駅阿蘇が取り組む阿蘇の牧野(草原)を地域資源として利用する牧野ガイド事業に対して、たいへんお世話になっている町古閑牧野の市原啓吉組合長さんから、野焼きがある前に野焼き体験をやってみないかと申し出がありフィールド調査を含めて実施の運びとなった。
市原組合長さんは、『先祖から受け継いだ阿蘇の草原を後世に残すこと、それが夢である』、このことをモットーに草原の維持活動に多方面に渡り取り組まれている。『草原はわたしの宝物』と語る動画、『草原を守る人々~市原啓吉さん~』 があるので市原組合長さんの草原に対する思いなどご紹介しよう。
牧野ガイドの講習会には、福岡と長崎から牧野ガイドを希望する2名の方も受講されフィールド調査と野焼き体験に参加された。今回のガイド担当は、広大な町古閑牧野をメインフィールドとして、トレッキングやE-MTBツアーを開催されている「あそたんガイドツアーズ」の藤原千草代表と弟のSHO君こと釜崎 笙さん、そしてお父さんの釜崎 満さんが案内された。
好天に恵まれた町古閑牧野はもうすぐ野焼きで真っ黒になる。やがて草が芽生えてくると麓に降ろされた牛や馬が戻ってくるので牧野ライドのシーズンが終わる。そんなシーズン後半の町古閑牧野の調査はE-MTBで移動しながら行われた。
根子岳に近い町古閑牧野は草原景観が素晴らしい。そこをE-MTB、電動アシストマウンテンバイクで走ると、体力の差に関係なくグループで軽快に、笑顔で駆けて行くことができる。この組み合わせは阿蘇だけで体験できるファンタスティックなものだ。
冬季から春の初め以外の期間は牛や馬の放牧地なので干からびた糞が残っている。それは広い牧野のどこにでもというより、過ごしやすい風の通りのいい所、特に眺めがいいところ、いわゆる絶景ポイントに集中しており、私たちが立ち寄るところにはいつも糞があるという訳だ
MTBはロードバイクのようにスピードは出ないので、冬季といっても特別な防寒具は必要なく、ダウンジャケットなど普通の冬の格好で大丈夫だ。また、E-MTBといえどもしっかりした運動になるので、暑くなって脱いだものを入れるリュックがあれば便利になる。ヘルメットやグローブ、肘や膝用のパットはツアーのセットになっている。
カップルやグループで走る楽しさを共感できるのも牧野ライドの魅力になる。
フラットなところだけでなく斜面などもコースに含まれている。体力や経験に応じて走るとサイクルスポーツ本来のスピード感も味わうことができる。
牧野は牛や馬の放牧や飼料や堆肥として採草するところなので、立ち入る前に自転車のタイヤや靴の消毒など契約した取り決めした規則があり、それを厳守するために牧野は道の駅阿蘇が育成した牧野ガイドの案内がなければ立ち入ることはできない。
広大な阿蘇の草原景観をフィールドとする牧野ライドは、他のメンバーもそうだが、多分100回以上走っているが飽きることはなく、いつも新たな感動が湧いてくる。だからこそ自信を持っていろんな方に楽しんでもらえると思っている。その牧野は野焼きすることによって維持されているが、農業者の減少、後継者不足により毎年草原は減少している。
市原組合長は「草原は利用してこそ価値がある」と言われている。そこで地域資源である草原を、このようなアクティビティにより観光活用することが私たちに出来る草原の維持活動であり、そのためにも牧野ガイドの育成が必要になってくる。
今回の牧野ガイド養成講座は、町古閑牧野に詳しい「あそたんガイドツアーズ」さんの案内で、車を停める農業基地(倉庫)の使い方、町古閑牧野の境界の確認、牧草が植え込んである立ち入り禁止区域、危険な陥没箇所、そして牧野ライドのコース試走をすることができた。初めて牧野ライドを体験されたガイド希望の2名の方も、学びとE-MTBで走る楽しさを満喫されたようだった。
昼食後は市原組合長とSHO君の指導による野焼き体験となった。まずは火を付けるカヤを束ねた松明(たいまつ)作りから始まり、延焼を防ぐ火消棒の使い方を習った。
火を付けた松明は枯草に置いたらすぐに上げる。置いて火が付くのを目視するのでは遅い。下に置いたらすぐに2mほど移動して広範囲に火を広げていく。こうすると松明が長く使える。これがなかなか難しく、組合長から何度も「上げて、上げて」と指導される。
火を付けると一瞬で真上に、次いで帯状に燃え広がり、熱さで後ずさりしてしまう。その音は「バリバリッー、ゴー」と、凄まじく爆発音の連続だ。
空に向かう炎のトルネードは空気を引き込み、一帯は熱と煙と煤が舞い嵐のようになる。
顔が熱い、吹き荒れる煙と煤で目は半開き・・・
松明での火入れは交代で行う。そこに市原組合長は付きっ切り、SHO君は全体の安全を確認している。藤原千草さんはジェットシューター(背負式消火水のう)で火が飛んだら消化できるように構えている。
ジェットシューターも体験
茶色い草原の丘は猛烈な轟音を立てながら炎が駆け抜ける。生き物のような真紅の炎が丘を燃え尽くした後は、まるで真っ黒で艶やかな絨毯のよう。目の前で、みるみる作られていく赤と黒の自然が織りなすコントラスト、凄まじくも美しい 。
火消棒を持つのは清田あづささん、ずっと火を叩いて消火体験をされていた。
長崎から家族で移住してきた22歳になったばかりのSHO君は、町古閑牧野の隅々まで知り尽くすガイドと兼業する農業後継者である。
市原組合長のトレンドマークはテンガロンハット。20歳から2年間のアメリカ暮らしがテンガロンハットとの出会いではないかと想像する。
貴重な体験をさせていただいた市原組合長は、2019年、くまもと環境賞「くまもと自然共生賞」を受賞、熊本県庁で知事による表彰式が行われた。そして、今年の1月には熊本県農林水産業功労賞を受賞、同じく表彰式があったそうだ。
蒲島熊本県知事とは、同じ農林省の派遣研修生(蒲島知事は2期生、市原さんは5期生)として、イリノイ大学で学んだ旧知の仲とのことだ。アメリカの農業と共に放牧の大切さを学び、帰国後は阿蘇で放牧をはじめ、有畜農家に放牧をすすめる活動を行われた。草原の維持活動に従事しながら、野草堆肥を利用した作物の販売、子供たちを原野に招いて今回のような野焼き体験など幅広い活動を行われている。
野焼き体験も無事終了。阿蘇の野焼きは、冬の間に茶色く枯れた雑草を焼いて、放牧の牛や馬につくダニなどの害虫を駆除し、緑豊かな草原を再生させる千年以上歴史のある伝統行事である。阿蘇の草原に春を告げる風物詩は私も特別な感動を得ることができた。来年もチャンスがあればみなさんにも呼びかけたいと思っている。
牧野ライドのコースを整備している狩尾南山牧野に西日本新聞さんを案内した。
当日は野焼きの翌日だったので、焦土となった不思議な世界と、そこでのE-MTBライドは感動だったようだ。その体験について記事を書かれたので最後に紹介しよう。
狩尾南山牧野はこのような斜面になる。中央の境は輪地切で右が狩尾南山牧野になる。上った先には米塚があって、その横を通ると赤水線に繋がっているが、また別の牧野なので立ち入ることはできない。
この牧野は道の駅阿蘇から自走で行ける近さで便利だが、道は1本だけなので変化を付けて周回できるように、地形が判別できる野焼き後にルート設定を行っていた。
これが野焼き前、背丈ほどの萱に覆われているので1本の牧野道だけの走行になる。
野焼き後は急な段差や陥没がないところであればどこでも走行可能だ。これが実に面白い。
牧野全体を駆け抜けることができる。
ただし、斜面なので中級者以上のフィールドになりそうだ。
狩尾南山牧野の周回コースが出来れば、眺めのいい景観とアグレッシブな走りを可能にするフィールドになるだろう。
西日本新聞の取材記事には、4月からのグラベルライドの紹介もしてもらった。野焼きの後の狩尾南山牧野を走った感想は、記者の方がロード乗りの方なので、自転車専門誌の取材以上にとても伝わるものだった。それは最後の感想の一言に集約されている。
『大地のエネルギーと草原の恵み。それらを脚で感じた3時間、22キロだった。』
阿蘇を自転車でワイルドに走る 熊本の「道の駅阿蘇」が4月から新企画
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