コルナゴ部長こと中尾公一さんレポート「広葉樹のグラベルとアンバウンドグラベルの魅力」

コルナゴ部長こと中尾公一さんから「広葉樹のグラベルとアンバウンドグラベルの魅力」が届きました。
雨ばかりなので楽しそうな九州自然歩道のグラベルとアンバウンドグラベルの魅力をご紹介していただけました♡
道の駅阿蘇スタッフのオリバーも登場しま~す(*’ω’*)
それでは、ご覧ください

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阿蘇で唯一の広葉樹の森のグラベルになる、かぶと岩展望所から菊池渓谷上流域の深葉集落近くの清水谷橋までの九州自然歩道を試走してきた。途中から車両の進入がないこのグラベルは、四季を通じて楽しめるが個人的には、赤や黄色の落ち葉の絨毯のフワッとした乗り心地と、わずかに紅葉を残し見晴らしが良くなった天然林の晩秋が特に素晴らしい。
かぶと岩展望所の眼下の西小園にある環境庁(省)の案内板には、内牧から菊池渓谷までの九州自然歩道のコースが示されている。地図を拡大しよう。

「展望所」はかぶと岩展望所のこと。
内牧温泉からは車の通る道で絶壁のような北外輪山の麓へ。上り口の西小園から途中で絶壁を巻くような急斜面の北外輪山を上ると(現在通行不可)ミルクロードに出て、右に250m行けばかぶと岩展望所、そこから清水谷橋までは今回試走したコースになり、菊池渓谷、その先の念仏橋までの天然林の遊歩道の15.6kmのコース。
昭和48年(1973)に菊池阿蘇スカイラインが開通するまでは、今回試走した深葉の集落近くの清水谷橋から阿蘇方面への道はなく、かぶと岩展望所までこの道が生活道として使われており、かぶと岩展望所から麓の西小園までは崖をつたうような坂道だったようだ。
深葉には大正9年(1920)に私立深葉小学校が開校し、平成15年(2003)に閉校した阿蘇町立内牧小学校深葉分校があり現在は公民館として残っている。深葉に住む年配の方によると、現在は10軒くらいの集落だが深葉分校に通っていた頃は30軒ほどあり、生徒は50名くらいで教師は宿舎住いだったという。
その方によると、山深い深葉地区の主な産業は炭焼きで、深葉から牛に炭を積んでかぶと岩まで行き、そこからは崖をつたう坂道「たけんと坂」で西小園に下りて米と交換して帰っていたと話された。「たけんと坂」はネットで調べても不明だが、草原から村へ草を運ぶ道のひとつだったのだろう。この道は熊本地震で道が崩壊したまま通行できないが、以前、紹介した「洋裁学校の女学生が通った願成就坂」がトレイルランのイベントになったように、「たけんと坂」も深葉分校跡まで阿蘇の歴史の道として親しめる古道になればと思う。

洋裁学校の女学生が通った願成就坂

阿蘇トレイル女学院
では以前撮った写真でコースを紹介しよう。
この道は散策やトレッキングの方もいるので、前後のライトを点灯して人がいることを前提にゆっくり走って原生林の森を楽しんでもらいたい。また、今の時期は笹や木の枝が張り出しているので肌は露出しないが無難。
かぶと岩展望所から草原景観の下りが続く。

薄暗い杉林に入ると道が荒れているので路面を見ながらゆっくり走ること。車止めの先から古い舗装が残る林道に合流するまでは、景観が良くなるが、こぶし大の浮石がゴロゴロしている区間が何カ所かあるので要注意であることと、片側は崖なのでそこは押し歩きが無難だ。
菊池阿蘇スカイラインの開通前は、車も通っていた道なので、舗装やガードレールの名残も所々見ることができる。ちなみに私の3歳上の菊池の方は、阿蘇高校だったのでこの道をバイクで通学されていた。

2カ所倒木があるので下をくぐって進む。
そのようなことを注意して走れば最高のグラベルライドができる。
往復しても景観がまったく変わるので面白い。しかし、路面状況や荒れた道の下りに自信がない場合は、菊池阿蘇スカイラインのダウンヒルを楽しんで清水谷橋に入り、上りながらゆっくり景色を眺めながらのライドもおすすだ。
この道を下りてきたところが3差路になる清水谷橋、ここで折り返す。

清水谷橋から6km先の念仏橋は菊池渓谷を過ぎた下流に架かる橋だが、ここから先はかなり道が荒れている区間があるのでグラベルバイクだと厳しく、無理してメカトラや怪我しても車は入らないので清水谷の先には行かない方がいい。
3差路の右に行けば菊池阿蘇スカイラインで深葉の集落がある。
清水谷まで往復の距離は9.23km、獲得標高は155mアップ、所用時間1時間程度。
次回の阿蘇満喫グラベルライドで走る予定、ご期待ください。
下記は秋に走ったE-MTBの動画で1分10秒からこのルートになるので参考に。環境省 阿蘇くじゅう国立公園管理事務所よりインバウンド用の牧野ライドの動画撮影があったので、道の駅阿蘇スタッフのオリバーさん(左)と元スタッフのナタリーさん(右)をモデルに案内した。お二人ともE-MTBでの牧野ライドは初めての体験で楽しんで走られていたが、特にナタリーさんはサイクルスポーツが盛んな自転車王国ベルギーの方なので、走るのが上手いしエディーメルクスやトムボーネンなど出て有名選手の名前も出てきて知識も豊富だった。
ベルギーといえば100年以上の歴史あるフランダース・クラシックスがあるが、その大会と前回紹介した世界で最も有名なグラベルレース「アンバウンド・グラベル」が今年から提携する。ヨーロッパで開催されるグラベルレースが、アンバウンド・グラベルの出場権を得るための予選となるわけだ。
フランダース・クラシックスの中でも有名な「パリ~ルーベ」が今年121回を迎え、対するアンバウンド・グラベルは前身の大会を含めても18回、そんなヨーロッパと歴史の浅いアメリカの大会が連携し、ますますグラベルレースが盛り上がっていくようだ。
そこで前回のレポート「REBOUND ASO GRAVEL RIDE ( リバウンド阿蘇グラベルライド ) 」のきっかけとなった「UNBOUND GRAVE ( アンバウンド・グラベル )」 は、今後のグラベルイベントとして学ぶところが多いので紹介してみよう。
UNBOUND GRAVEL( アンバウンド・グラベル)とは
アメリカのカンザス州にあるフリントヒルズという北米最大の大草原がフィールドとなる自転車レースで二つの大学がある学園都市エンポリアで開催される。コースとなるのは地元の生活道である未舗装の道、グラベルを駆け抜けるため選手たちの持久力と技術が試される。アンバウンド・グラベルは2006年に始まり、年々規模と人気を拡大し多くのプロサイクリストやアマチュア選手が参加する世界で最も有名で過酷なグラベルレースになっている。
歴史:
最初の大会は2006年に地元に住む二人の若者によって開催された。
エンポリアを選んだ理由はどこまでも広がる自然保護区の大平原、太古の昔から変わらない美しい土地、車が少なく人口が少ない僻地、グラベルロードはあちこちにあるというアドベンチャーサイクリストが求めるものがすべて揃っており、加えてエンポリアの人々がサイクリストを歓迎する気持ちに溢れた素晴らしいコミュニティがあることから、グラベルイベント 「DirtyKanza (ダーティ・カンザ) 」として34人のレースで始まった。

オンロードからオフロードへの:
2014年に主催する一人が交通事故で亡くなり、自転車とは関係のない事故だったが、その年はアメリカ中で立て続けにサイクリストが交通事故で命を落としたことから、サイクリストが舗装路を危険と感じて車が少ないグラベルへ向かうきっかけになったといわれている。このことは今後日本でも同じような流れになるかも知れない。
経済効果:
2018年に「DirtyKanza」がLife Time Fitness社に売却され、「Unbound Gravel」に名を変え今や5,000人の参加者と選手の家族やサポーター、150ブランドのエキスポ(展示会)や100社以上のメディア関係者、それに年間通して試走や自己流Unbound Gravelを楽しむサイクリスト、レンタサイクルを利用した観光客が人口24,916人の小さな街 エンポリアにやってきている。

発展し続ける理由:
このようにUNBOUND GRAVELは、エンポリアの観光・経済の発展に大きな影響を及ぼしている。エンポリアの街中の商店には「ウェルカム・グラベルライダー・サイクリスト」というバナーが掲げ、地域の人々がイベントで訪れる人々を街を上げて歓迎している。そのような背景には2008年から選手として出場し、UNBOUND GRAVEL前身のDirtyKanzaのオーナーが、2018年からエンポリア観光局長に就任してイベントの拡大に重要な役割を担い現在の「グラベルシティ・エンポリア」となっている。
人気の理由
最初は200マイルのみで始めたが、200マイル以外の距離を用意することで新しい人たちの参加が簡単になった。15(24km)、25(40km)、50(80km)、100(160km)、200(322km)、350(566km)マイルというように、短い距離から始め成長できるステップを用意してあり、それぞれのライドのコミュニティの体験など、誰もが世界中の人と楽しめるイベントになっている。
男女エリートともに1位から10位までが賞金対象となり、優勝賞金$30,000、賞金総額$250,000のレースとなり、「オリジナル」と呼ばれる200マイルクラスのプロカテゴリーには、UCIワールドツアーチーム所属のプロロード選手や、マウンテンバイク、シクロクロス、そしてグラベルレースを専業にするプロ選手が多く参加し、グラベルキング&クイーン座を目標にハイレベルなレースを展開される。
また、レース前日までに頻繁に催されるグループライドは、数日前からエンポリア入りする世界各国の参加に選手に本番以外にも楽しむことができている。
開催しやすい理由
このレースではどのクラスも参加者たちは、大会公式サイト上で発表・掲載されるルートデータを自身のGPSサイクルコンピュータにダウンロードし、セルフナビゲートしながら走ることになる。レースの基本ルールは他のグラベルレースとほぼ共通で、すべてが自己責任のセルフサポートをベースとしている。
以下にシクロワイヤードにより抜粋した基本的なレギュレーション。
コースのマーキング(サイン)、立哨員、車両等によるサポートは無い。200マイルレースでは2箇所、100マイルレースでは1箇所あるチェックポイント(以下CP)でのみ外部からサポートを受けられる。(※CP間で必要な飲食料は全て持参すること。またパンクを始めとするトラブルが起きたら自己対応出来るよう必要な道具も持参する必要がある)
バイクの種類、ホイールサイズ、タイヤサイズに制限なし。電動バイクは禁止。レース途中でのバイク交換は禁止。
レース前に公式ウェブサイトにコースが発表された後、道順の書かれたキューシートの印刷、GPSサイコン等へのコースファイルのダウンロードは各自の責任で行う。
各CPに足切り時間までに到達すること。翌日午前3時までに完走すること。前後のライト、携帯電話、2本以上のスペアチューブと修理キットを携帯すること。
サポートは参加者の責任でアレンジできる。家族・友人・チームなどのサポートが用意出来ない場合は、「Crew for Hire」が事前購入可能(200マイル$85,100マイル$50)。
自身で用意したボトルや補給食を預けてCPで受け取ることもできる他、提供される補給食やドリンクも利用できる。
途中棄権する場合は誰も回収や救出に来ないのでサポートが必要になる。
200マイルの制限時間は20時間。
世界中からUNBOUND GRAVELに参加したのは世界45か国 約5000人で、日本からは、シマノのスポーツサイクル部門の製品開発担当者や、大会公式スポンサーをつとめるiRCタイヤの社員、パナレーサー社長、フカヤ社長、Cycle Sports誌、Bicycle Club誌、シクロワイヤード編集長、それに入賞を目指す選手まで、グラベルという日本ではまだ新しいジャンルで展開する自社製品の開発、取材、自身の経験を活かそうと一昨年は7名、昨年20名から今年は31名が出場するなど、グラベルライドの将来に期待を向ける業界の姿勢が伺える。
©LifeTime
アメリカ人は申し込んでも抽選になるので数倍の狭き門らしいが、日本人で今まで抽選に漏れた人はいないそうだ。大会は国際化を目指しており、海外からの参加者は大歓迎のようで今後日本で開催される大会を含めて参考にすべきかも知れない。
阿蘇に来られた方もUNBOUND GRAVELに参加者されていた。阿蘇サイクルガイド本でお世話になったCycle Sports誌の江里口さん、ユーチューバーのけんたさん、インフルエンサーの神楽坂つむりさん、200マイルを走るチーム選手のサポートを兼ねて100マイルをハムスタースピン代表の福田昌弘さんも走られている。ちなみに最高齢91歳の男性も100マイルを見事に完走されているから驚きだ。
緑の草原に地平線まで続く舗装されていない一本道を、ある者にとって、そこは天国かもしれないし、地獄かもしれない。自己責任のセルフサポートをベースに万全の準備で挑むグラベルライド、これから九州でも開催したいサイクルスポーツに間違いない。
参考:自転車情報サイト・シクロワイヤード
2024 UNBOUND Gravel RACE HIGHLIGHTS

Unbound Gravel 2024 – Elite Mens Raw Highlights
2023 Garmin UNBOUND Gravel presented by Craft Sportswear | OFFICIAL RECAP

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TEL:0967-35-5077

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