避暑地阿蘇の水辺スポット~乙川湧水群・水掛の棚田~

 

北外輪山の麓、阿蘇五岳を正面に見晴らす小高い場所に68枚の棚田が広がっています。ここ『水掛の棚田』は、カルデラ内に広大な平野が広がる阿蘇市において唯一の棚田。一説には弥生時代に阿蘇で農耕が始まった際に、最も早く耕作された場所ともいわれています。古代の人々が、この雄大な景色を見ながら農耕に勤しんでいた姿を想像すると、大自然と共存してきた阿蘇の歴史ロマンを感じることができます。しかし、この美しい棚田も地域住民の高齢化や後継者不足から長らく耕作放棄地となってしまい、木々が覆う原野に戻りかけた時代がありました。それを現在の姿に蘇らせたのが平成23年。以降、清流で育った米を天日で乾燥させる、掛け干し米を毎年生産しています。また、水路には何カ所か水場が設置され、そこには絶えず水があふれています。清涼感のある水音に癒されながら、喉を潤してみてはいかがですか。

水掛の棚田から林道を登った山中にいくつもの水源が点在しています。毎分20トンという豊富な湧出量を誇る、それら『乙川湧水群』の湧き水が集まり乙川となって棚田を潤し、麓の山田地区の水道として活用されています。写真の場所は水源からやや下ったところで、そのかたわらにハート型の葉が生い茂っていました。これはワサビの葉。きれいな水のある場所でしか育たないワサビが自生しているのです。天然のワサビは辛味だけではなく、爽やかな香りが際立つのが特徴。専用の目の細かいおろし金ですり下ろすことで空気を含み、その風味をより強く感じることができます。また、葉と茎も塩揉みして水にさらし、細かく刻んでポン酢などと和えると、ピリッとした辛さを味わえます。捨てるところがなく、すべてを味わえるのが天然物の醍醐味といえますね。

※水源は私有地のため立ち入りが禁止されています。

※所有者の許可なくワサビを採集することは禁止されています。

サテライト代表者の太田黒元吉さん(左)と『肥後の水とみどりの愛護基金』の河津誠蔵さん(右)。原野に戻りつつあった棚田を蘇らせようと立ち上がったのが、「肥後の水とみどりの愛護基金」です。平成23年に行われた工事は、再び開墾するような大規模なもので、多くのボランティアが参加して見事な石垣の棚田を再生しました。大きな耕作機械を入れづらい棚田という立地上、春の田植えや秋の稲刈りといった農作業もボランティアの手作業が頼り。例年であればそれぞれ700人規模のボランティアの手で行われるのですが、コロナ禍にある今年は100人程度に人数を絞った形で行う予定だそうです。「肥後の水とみどりの愛護基金」が管理している棚田は約3ヘクタール。生産量が限られるため一般に流通することはありませんが、この棚田で収穫された米は「阿蘇水掛の棚田米」として、熊本県が認定する「地下水と土を育む農畜産物等認証」を受けています。

 

住所 阿蘇市山田
駐車場 なし
トイレ なし

 

 

 

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