手野地区を車で走っていると、道路脇に円錐型の帽子の様な不思議なものを見かけます。これは草泊りといって、北外輪山周辺で牧草を集める作業の時に、ススキで作ったテントの様なもの。昭和30年代までは、草原の中にこの草泊りを作り、泊まりがけで作業を行なっていたそうです。現在見られるのは再現したものなのでこぢんまりとしていますが、実際にはもっと大きく、布団や炊事道具などを持ち込んでいたのだとか。
そんな牧畜文化を残している手野地区は、集落内のいたるところから水が湧く、名水に恵まれた場所。『垂谷の滝』は集落の中を抜け、林道を歩いて登った先にあります。やまなみハイウェイが開通する前は、この滝の横を通る道が小国や産山方面への幹線だったそうで、滝の水が人々や牛馬の喉を潤していたとか。季節によって水量の増減はありますが、滝は小ぶりなのですぐそばまで行くことができ、また水源がすぐ真上にあるので、現在も落ちてくる水をそのまま飲むことができます。ここまで、かなり急な坂道を登ってくることになるので、この滝の水がその疲れを吹き飛ばしてくれるに違いありません。
滝のそばには不動明王が祀られています。古くから信仰を集めていた場だったようで、かつては滝に打たれて修行する人もいたそうです。現在の不動明王像は二代目で、初代は3mもの巨大な像が滝の上に祀られていたとか。しかし、平成24年に起こった九州北部豪雨で流され壊れてしまい、平成29年に現在の像が再び安置されました。初代の像がこの地に祀られたのが昭和30年頃。重機などはない時代で、馬車や荷車を使って引き上げたとのことで、どれだけ大変な作業だったかが偲ばれます。また、像の横にはお堂が建てられています。ここは厄除のほか安産のご利益もあるとされており、赤い布を奉納するのが習わしだとか。像もお堂も三重県に住む信者が個人で寄贈したもので、無人であるにもかかわらず掃除や管理が行き届いており、いかに地元の人に愛されているかが分かります。
豊富な水資源を守り、地域を盛り上げる活動をしているのが「手野名水会」。今回、案内してくれたのがメンバーの3人で、写真左から山部今朝範さん、山部一幸さん、会長の山部輝明さん。手野地区には「垂谷の滝」だけでなく、樹齢数千年といわれる手野のスギがある「国造神社」、6世紀後半に造られ県内でも屈指の規模の石室を持つ「上御蔵古墳」、カエルの形をした巨石「わくど石」など見所がいっぱい。それらを2時間で巡るボランティアガイドのコースも設定されています。地域の歴史や、地元の人ならではの思い出話なども聞かせてくれ、楽しい時間が過ごせること請け合いです。なおアップダウンのあるエリアなので、歩きやすい靴で参加するのがオススメです。
住所 阿蘇市手野
問合せ 手野名水会
☎︎ 0967-22-2750
駐車場 なし
トイレ なし
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